最終章 1
最終章
ザザーン ザザーン
「ここって、シスの海岸じゃ、ないよな?」
1人の戦士風の冒険者が、後ろの2人の僧侶の男と
盗賊風の男に声をかけた。
「ああ、何度も見てるんだから間違いようが無いな。
ここは、違う海岸だ。」
盗賊風の男が返事をする。
「じゃあ、もしかして・・・俺らは抜けたのか!
あの海域を!」
3人が表情を明るくし
ひゃっほー!!やったー!
はしゃぎ回った。
「とうとうたどり着いた!苦労した甲斐があったな!!
回帰の海域を抜けたのは、俺達が初めてなんじゃ
ないか?!」
戦士の男がはしゃぎながら話しかける。
「そうだろうな!陸がある事だって知られてない
はずだ!回帰の海域を抜けた先は未開の地だ!
どんなお宝が眠ってるか!」
同様にはしゃぐ盗賊。
「2人とも、落ち着いて下さい。未開なのですから
どんな妖魔が居るか分からないのですよ。
気を引き締めていきましょう。」
僧侶の言葉に、2人がハタッと止まる。
「そうだ、その通りだ。
慎重に辺りを探索して行こう。」
3人は顔を見合わせて頷く。目の前に見える林に
向かって歩き出した。
「シスにはまだ現れてないってさ。」
俺が目を覚ました次の日。
ヤムが警備隊で聞いてきてくれた。俺は3日間
昏睡し続けてたらしい。
そりゃ、メイもセフィルも頭ぶつけるほど
心配してくれるよな。
その間警備隊は毎日、速馬を出してシスの様子を
確認している。
「本当にそこに居るのだろうか。」
ヤムと一緒にリビングに来たカルソさんが
俺に聞いてきた。
「この石は光の強さと方向でしか分かりません。
なので、確実にシスかは何とも。」
「現地に行っている隊員達が捜索をしているが、シスの
町の中も近辺にも見つかっていない。」
俺は少し考える。結構な深手を与えた筈だ。回復の
方法としては、人が襲われるだろうからシスが
危ないって思ってた。
けど、セフィルの話を思い出すと、シスはセフィルの
お父さんの思い出の地。だから、襲わずにいる・・
のかな。でも、だとしたらシスではなく他の町に行けば
いい。だけど、光の方向は明らかにシスの方。
その先は海だから、海を超えた先というには光が
強過ぎる気がするし。
「ともかく、俺も回復したので行ってきてみます。
未だに現れて無いのは幸運と思いましょう。」
「分かった。では出る際は馬車を用意させるから
出る時が決まったら教えてくれ。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「じゃあ、わたしらも準備しないとだね。」
ヤムがその場にいたメイ、セフィル、コッツに
声をかける。俺は立ち上がりその行動を制した。
「いや、シスには俺1人で行ってくるよ。」
「は?何で?」
ヤムの訝しむ顔。
部屋を出ようと立ち上がったカルソさんも止まる。
俺は真剣な顔をして
「正直、どこで出くわすかも分からない。
手負いでかなり危険と思っていい。
いくら何でも危なすぎる。」
「だからこそ私達も行くんじゃない!」
セフィルが口を挟んだ。
「いや、本当に危ないんだよ!
みんなを危険な事に巻き込むのは」
ガツン!
「いったー!!」
目からチカチカと星が飛んだ!
急な頭の衝撃に後ろを振り向くと、握り拳を作った
ロナールがいた。
「ジュンよー、お前はほんっといい奴なんだけどよ?
その頭の固いとこだけは治してもらわねーとなぁ。」
呆れ顔のロナール。
「え?何?なんで?」
ロナールが椅子に腰をかけた。
「お前がな?俺らの事を大事にしてくれてるのは
分かってるんだよ。流浪の魔術師相手に、俺らが
役不足なんだって事もな?」
「え?いや!そんな事!」
言いかけた俺を、ロナールが手で制する。
「まー聞けって。
ジュンにとってよ?俺らは何だ?
俺は仲間と思ってるぞ?」
「当たり前じゃん、そんなの。仲間だよ!」
俺のその言葉に、フッとロナールは笑い
「んじゃー聞くけどよ?
ジュンにとって仲間ってのは守るってだけの対象か?」
「え?」
「もちろん仲間だ。守るさ。助け合うさ。支え合うさ。
けどよ?それは俺らにとってジュンも同じなんだよ。」
「あ・・・」
「もう少しばかり、仲間を頼ってくれても
いーんじゃねーかな。
まー相手が相手だから、仕方ねーかもしんねーけど。
それでも、守られてばかりで
肝心な所で助けられねーんじゃ、仲間の俺たちの
立つ背がねーぞ?」
俺はみんなの顔を見回した。
みんなが、俺をジッと見つめる。
俺は、何をしてるんだ。
今、俺がここに居られるのだって、みんなに助けられて
来たからじゃないか。
調子に乗っていた。何1人でどうにか出来るつもりに
なってるんだ。俺はみんなに頭を下げた。
「ごめん!ロナールの言う通りだ。
これは、俺の思い上がりだった。」
顔を上げてみんなを見回す。
「あんな啖呵切って今更なんだけど、みんなにも
来てほしい。お願いします。」
再び頭を下げる。
「そういうとこが頭固えって言ってんだがなぁ。
まー、それがジュンらしいか。」
笑って言うロナール。
「そうねー、ジュンの真面目過ぎるとこは、きっと
どんなに偉くなっても変わらないよね。」
呆れた顔のセフィル。
「でも!そこはジュン様の良い所ですよ!」
フォローありがとう、メイ。
「ジュンに頼まれなくたって、みんな一緒に行くつもり
だったんだから、今更頭下げる必要無いって事だよ。」
・・・コクコク。
優しく笑顔で見てくれてるヤムとコッツ。
カルソさんが俺に
「良い仲間達が集まったな、ジュン。」
声をかけてくれた。俺も本当にそう思います。
「んじゃよ!早速作戦会議と行こうぜ!」
仕切ろうとするロナールに
「ロナール、リーダーはジュンなんだよ。」
ヤムがピシャリと抑えた。
「わ、分かってんよ!?ヤムさん。」
あははは。みんなが一斉に笑う
「じゃあ、作戦会議しようか。」
俺が改めて切り出した。




