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2人のこの買い物行動は、あっという間に

街に広まる。

尾ひれを付けた噂は、2人が仲睦まじく楽しい時間を

過ごしていたという話になって、城内や使用人の

元にも届いていた。

一方城内では、シンシアと抱き合っていたジュンも

同時に話題になっていて、ジュンに対する黒い噂も

出つつあり、使用人内ではアシャに言うべきか

どうかで意見が分れている。

「ユン、今の話、もう少し詳しく聞かせて下さい。」

「ひゃ!あ、アシャ!」

アシャに気付かず、他の使用人と話していたユンが

アシャに後ろ襟を捕まれ、引きずられて

連れて行かれた。使用人休憩室に入り、ユンを

椅子に座らせ、自分は仁王立ちのアシャ。他の

使用人達も心配で、扉の外から覗く様に様子を伺う。

「あ、あのね?ただの噂話だからね?

「ええ、もちろん分かってます。ですから詳しく

聞かせて下さい。」

椅子を引き、座るアシャ。テーブルに肘をつき

笑顔を見せる。ユンは、見たことない形相で笑う

アシャの顔に顔が引きつる。怖いよー。

「なんか、ジュン様が、メイちゃんと」

「メイちゃん?」

「あ、あーメイラールさんと、街を2人で

歩いてたってだけだよ。」

「さっきユンが話してたのは、それだけでは

なかったと思いますが。」

・・・えーん!助けてー!ユンは扉の所にいる

使用人達に目線を送るが、使用人達は苦笑いで

首を振る。

「あくまで噂だよ?噂だからね?

・・・なんか、ジュン様とメイラールさんが

仲睦まじく腕組んでお買い物してたって、はなし、

で・・・。」

アシャの表情に言葉が詰まるユン。

「・・・それだけですか?」

えーん!怖いよー!

「メイラールさんが、ジュン様を応援してたのは

元々話題になってたから・・・街では・・・

お似合いの・・・恋人同士、だねなんて

言われてる・・・みたい。なんちゃって。」

ユンは取り繕うようにおどけてみせた、が・・・

動じぬアシャの表情に、再び固まる。

アシャはゆっくり立ち上がり

「ユン。明日は、早く終わらす為に

厳しくいきますので、今日は早く寝て下さい。」

へ?・・・今以上に厳しくいくの??

産まれたての子鹿の様にプルプル震え、はい、としか

言えないユンだった。


「ジュンが、メイラールと恋仲になってる?」

シンシアは、使用人達の噂話を詳しく知りたく

リシェから話を聞いていた。

「あくまでも噂です。

何処まで本当かは不明ですが、メイラール様は

ジュン様を慕っておりました故、何かしらの行動を

起こされても不思議は無いかと思います。」

「メイラールがジュンを慕ってる話は以前

聞いたけど。でも、こんなに早く?」

「ずっっっと、ジュン様が出てくるのを待ち焦がれて

いらしたのでしょうね。」

ほぅ、と顔を緩ますリシェ。

「・・・リシェは誰の味方なの!」

シンシアがちょっと不貞腐れ気味に怒った。

「もちろん、シンシア様です。こんな話をするのは

どんな噂が出てもあくまで噂で、ジュン様はそんな

腕を組んで歩いたりなど軽率な事はされない、と

分かっているからです。」

「ん、まぁ、そうだけどさ。分かってるよ?

もちろん。ジュンがそんなことしないなんて。」

「では、それほど慌てなくても

宜しいのではないですか?」

「うーーー!でも!離れてると不安!

メイラールって会ったことないけど・・・

かわいいんでしょ?」

「はい!それはもう。とびっきり。」

「もー!リシェのいじわる!」

あぁ、こんなシンシア様が見れるなんて。ジュン様本当にありがとうございます。やはりわたくしの読み通り、ジュン様が外に出てからの勝負になりました。アシャにもきっとこの話は届いているはず。本来ならば、ここでわたくしがシンシア様を外にお連れする事でジュン様を前にして御三方のジュン様の取り合いを堪能したかったのですが、想像以上にシンシア様を外にお連れするのは難しいです。それならば、アシャにジュン様をお連れする様に伝えた方が間違いないですね。アシャはこの噂で絶対にジュン様の所に行くでしょうから。ここは噂を聞いたシンシア様とアシャのジュン様へのご対応で我慢しておきましょう。ですが御三方が相見える所も何とか実現出来ないでしょうか。いっそメイラール様を使用人として雇い城内に呼び込んでみるのは・・・

リシェは、不貞腐れているシンシアを眺めながら

頬を緩ませつつ、頭をフル回転させていた。

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