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流浪の魔術師が放った魔法は、東区で放った

魔法 豪雷 よりも範囲は少し狭いものの、威力は

その比ではなく、範囲にいた者たちほぼ全ての命を

焼き尽くした。

範囲外に退避した者も多かったが、その焼き尽くされた

人々の凄惨な光景を目の当たりにし

「あ・・・うぁ・・・うわぁーーーーー!!」

1人が叫び逃げ出した途端に、泣き叫ぶ様に

ほぼ全員がその場から逃げ出した。

セフィルは、周りから聞こえてくる叫び声と共に

強く閉じていた目をゆっくり開いた。

上に覆い被さる様に伏せるジュンが目に入る。

「セフィル・・・大丈夫?・・・怪我は、無い?」

「う、うん。ジュンのおかげ、で」

言った言葉と同時、ジュンの脂汗の酷さ、顔色の

蒼白さに気付く。

「ジュン!ジュンこそ大丈夫?!」

多少の怪我くらいなら大丈夫と答えるジュンが

しかめた表情で返事をしない。

セフィルがジュンの下から抜け出すと、ジュンは

そのままうつ伏せに倒れた。

「あ・・・あぁ・・・」

ジュンの背中が焼け爛れている。

「待ってて!今治療薬を!」

さっきメイから渡されたメイお手製の治療薬を

持っているだけ背中にかけ続ける。

私を庇ったせいだ。

あの時すぐに動き出さなかったから。

ジュン1人ならこんな事になってない。

「ごめんなさい!ごめんなさい!私のせいで・・・

ジュン、ごめんなさい・・・」

涙を流しながらバックに入っていた治療薬を

全てかけ終え、傷が早く癒えるのを祈る様に

ジュンを見つめるセフィル。

大量の汗をかくジュンのおでこを撫ぜる様に触れた。

その瞬間、強い意識がセフィルに飛び込んでくる。


ジュン!起きて!頑張って!負けちゃダメ!ジュン!!


これは、この声って

いつの間にかジュンの意識の声と同調して、声の元に

声をかけようとした瞬間、意識の外で嫌な予感が走り

ハッと意識が戻るセフィル。

正面を見ると、まだ距離のある流浪の魔術師が

詠唱しているのが聞こえてきた。


空中浮揚


詠唱と共に魔術師の身体がゆっくりと宙に浮き始める。

10mほどの所まで上がると


ゴ・・・ゴ・・・ゴ、ゴ・・・


まさか・・・隕石を呼んでいる!

「ジュン!お願い!起きて!ジュン!ジュン!!

起きてこの子の名前を呼んであげて!」


・・・また、声が聞こえる。またこの声だ。

セフィルの声も、聞こえる。

・・・名前を、呼ぶ?

セフィルが、今呼んでいる名前、か?


覚醒する意識の中、声を出した。

「・・・勇気の精霊・・・ヴァルキリー

・・・おいで。」

「ジュン!気付いた!」

セフィルが叫ぶと同時、うつ伏せに倒れているジュンの

顔の前が光輝く。精霊が姿を現した。

「・・・こんな、事って。」

勇気の精霊ヴァルキリーに呼び掛ければ、心が

奮い立たされて、気持ちを強く持てるのではと思って

名前を呼ばせたのだけど・・・まさか・・・

ジュンが、精霊を召喚した。精霊語じゃなく

自分の言葉、で。それも、ヴァルキリーを。

親和性が高い程、契約が強力な程、精霊は明確に

顕現する。

ジュンの前に現れたヴァルキリーは光を発しながら

身体をくっきりと明確に顕現させていた。

「セフィル、これはどういう事?」

「え?!ジュン!起き上がって大丈夫?!」

「うん、セフィルが掛けてくれたメイの治療薬が

効いたみたい。

まだ痛むけど、何とか身体を動かせるよ。」

ジュンは身体を両腕で起こし上げていた。そのジュンの

顔に向けて突進する様に抱きつくヴァルキリー。

わぷ!

「ジュンのバカー!!やっと会えたー!!」

「この声、ずっと俺を夢の中で呼んでた子?」

「そうだよ!ジュンの中で覚醒してから、ずっとずっと

ジュンに呼んでもらえるの待ってたんだから!」

「そっか。

いつも、俺が気を失った時に声をかけてくれて

ありがとう。おかげでまた、目を覚ませたよ。

ヴァルキリー、でいいのかな?」

「うん!」


ズズゥゥン・・・


「な!」

一つ目の隕石の着弾音が響く。

上空を見ると、隕石が次々と降ってくるのが見えた。

「マズい!流浪の魔術師はどこに?!」

「あそこなの!」

セフィルが上に向けて指を指す。上空?!

10mほどの所で空を仰ぐ流浪の魔術師。

「マジか!くそぉ!あの距離じゃ手も足も出せない!」

「そんな事ないよジュン!大丈夫!立ち上がって!」

ヴァルキリーがジュンに声をかけた。

「分かった。どうするの?」

立ち上がった俺の肩に乗るヴァルキリー。

「右腕を横に伸ばして手のひらを上に向けて。

手のひらに槍を持つ様に思い描いて!長い長い槍を!」

「槍?槍・・・」

槍使いの人とは何度か戦った。イメージは湧く。

長い、槍・・・伸ばした腕の手のひらを

ジッと見つめて、思い描いていると

手の上に・・・光が膨らんできた!

そのまま横に、輝きを増しながら長く伸びていく。

まばゆく、光輝く槍の様になった。

「これが・・・ヴァルキリーの光る槍。

こんなに綺麗な光なんだ・・・お母様の話では

聞いてたけど、ヴァルキリーを顕現出来る人なんて

エルフの男性の中ですら居ないと思ってたから。

見れる日が来るなんて。」

セフィルが、綺麗に輝く槍に見惚れる。

「これが私の武器、光槍だよ。

ジュン!狙って!飛ばして!

光槍が飛んで、あいつに当たる想像をして!

ちゃんと思い描ければ、光槍は絶対に外れないから!」

思い描く。イメージする。

この槍を、投げて、飛んで、身体に当たるイメージを。

流星のかけらを狙いたいけど、かけらの周りの影は

常に厚い。光槍の威力がどのくらいか分からないから

影で止められてしまうかもしれない。

なら、ダガーだ。狙うのは刺さったままのダガー!

「よし!行くぞ!」

キッと睨む様に狙いを定める。

見つめるは一点!ダガー!

「行っけー!! 戦乙女の光槍!! 」

ヴァルキリーの叫びと共に、助走からステップ

左足を強く前に付き、右腕をフルスイング!

バシュゥ!!

小気味の良い音を立てて右手から放たれた光槍は

光の帯を残しながら一気に速度を上げ、地面スレスレを

通過した後、跳ね上がる様に流浪の魔術師に向かう。

光槍に気付き、影が壁を作る様に集まる。

光槍が影と衝突!

まるで白と黒の火花が弾ける様に、お互いを削り合う。

が、光槍の先端は鋭く、一点を穿つ光がとうとう

影を貫いた!光槍はそのままダガーを押し込み

ダガーごと、流浪の魔術師の身体を貫いた。

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