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「ご馳走様でした。」

朝食を食べ終え、部屋で外に出る準備を整えて

部屋を出る。色々やらないといけない事が

あるから動き出さないと。

まずは身支度。旅の準備を買い揃える。昨日

ランガースさんに、旅に必要な物を教わった。

旅用の日用品。夜営の道具とかも必要みたい。それに

干し肉とかの保存の効く携帯食。あとは装備。剣と

ガントレットは貰えたから、革鎧と足装備。

買わないといけない物が多い。時間はまだあるから

慌てず探そう。そういえば昨日、夕食の時

メニュー見て思ったんだけど、字が何となく

理解出来ることに気付いた。

カタカナっぽい形、でもまんまじゃなくて

何となく似てる様なそんな感覚。

結構不安だったんだよね。書くとなると時間が

必要だけど、ちゃんと勉強すれば何とかなりそう。

字を覚える為に、教科書みたいなのがあるといいな。

何て考えながら宿を出ると、メイラールさんが外で

掃除をしていた。

メイラールさんは、俺を見つけると走り寄ってきて

「ジュン様!お具合は良くなりましたか?」

「うん、ありがとう。

水浴びでずいぶん楽になったよ。それとご主人さんに

頂いた飲み物も効いたみたい。」

「良かったー。ミラン店長の酔い覚まし、すっごく

効くんですよね。これからお出かけですか?」

「うん。ちょっと旅に出るのに身支度整えないとね。

それの買い出し。」

メイラールはパッと表情を明るくした。

「私も今掃除終わる所で、その後買い物なんです!

一緒に行ってもいいですか?」

「うん、構わないよ。逆に俺も何処で何が売ってるか

分からないから、聞いてもいいかな?」

「はい!もちろんです!」

メイラールは、掃除用具入れに道具を押し込み

店内に向かって

「買い物行ってきまーす。」

と、声をかけて小走りでこっちに来た。

「お待たせしました!行きましょー!」

とびきりの華やかな笑顔を向けてくれた。眩しい!

いや、本当に凄い美人なんだよな。

俺みたいなのが隣歩いて、一緒に買い物とかして

良いのかな?

ほら、周りの視線がめちゃくちゃ痛い・・・。

何か話して気を紛らわそう。

「あの、名前をまだ聞いてなかったんだけど

メイラールさんで合ってる?」

「え、はい!何でご存知なんですか?」

それはアシャから聞いてたからなんだけど、言って

いいか分からないので、昨日聞こえたと答えた。

「それで、メイラールさん。俺の闘技観に来て

くれてたよね?出入り口のすぐ上に立ってて。」

「はい!そうですそれ、私です!」

嬉しいー。ジュン様、覚えててくれたんだ。

「あの時は本当にありがとう。

1番初めにメイラールさんが声を出してくれた

おかげで、あの時はランガースさんに勝てたし

それ以降も、周りの観客の人達の声も

変わっていったんだ。

ずっと、外に出れて会えたら、ちゃんと

お礼言いたいって思ってた。」

「お礼なんてそんな。でも、ジュン様のお力に

なれてたのなら嬉しいな。

あの、私も聞いて良いですか?」

「うん。なに?」

「ジュン様は、カイダールまで行くのですよね?

お一人で行くのですか?」

「うん、そうだよ。」

「向こうには、何をされに?」

ジッとこっちを見るメイラール。こんな美人に

ジッと見られると目が合わせづらい。

帰る方法を探す話は、説明が必要になりそうだから

やめておいて

「友人の遺品を、ご家族に届けにね。そいつ

パシムっていうんだけどね。闘技場で知り合ってからずっと、俺に凄く良くしてくれたんだ。

だから、絶対に俺の手で届けてあげたくて。」

「そうでしたか・・・。ジュン様がそこまで

想われるのですからきっと、素敵な

お友達だったのでしょうね。」

「そうだね、凄く良い奴だった。」

ジュンはパシムを思い出し、ネックレスに触れる。

「カイダールには行ったことはあるのですか?」

ジュンは首を振って

「無いよ。住んでた所は、シスって町って聞いてて

カイダールから近いって聞いてたから、向こうに

行って聞けば分かるかなって思ってる。

カイダールにもちょっと用事あるんだけどね。」

行ったこと無い街まで、わざわざご自分で

お届けに行くんだ。よっぽどその人の事が

好きだったんだなぁ。

昨日の酔ってる時の事といい、今のお話といい

ジュン様って凄くお優しい人なんだ。

何だか、ジュン様のこと知れば知るほど

いっぱい好きになってく。

街を歩きながらジュンの横顔を眺め、自分でも

気付かずにずっと顔を緩ませるメイラール。

話す会話に、どんどんジュンに惹かれる自分を

感じた。

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