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今日は結局1日中、孤児院に居たなぁ。

朝食の時間になってから、みんながメイを見つけて

怒涛の質問攻め。

みんなが大はしゃぎって感じだった。

孤児院と聞いていたけど、老若男女みんないた。

話聞くと、ここでずっと育って大人になって

ここの為になるように働いてって恩を返していく。

そうしてきた大人が、歳を取り、子供達がまた

恩を返していく、の繰り返しみたい。

何だかとても心地の良い場所なんだなぁ。

沢山のご馳走を頂き、夜になって、俺が使う部屋を

案内してもらった。

今日は何かまだ寝付けなさそう。

少し身体動かそうかな。

コンコン。

しばらくして俺の部屋の扉がノックされた。

ん?こんな時間に誰だろ?

大分刺さる様になったから、部屋の中でもダガーの

練習をしていた。もう夜中過ぎてる頃だよな?

「はい。今行きます。」

部屋の中からノックした人物に声をかけ

扉を開けるとローブを浅く被ったセフィルがいた。

「セフィルか。どうしたの?こんな遅くに。」

「う、うん。ちょっとお話が。中に入っても良い?」

「うん。どうぞ。」

セフィルを中に招き入れ、扉を閉める。

セフィルは扉前から動かないまま。

とりあえずテーブルの椅子を引き出して、どうぞと

声をかけた。俺はそのまま寝台に座る。

セフィルは扉前から動かぬまま

カチャン。

ん?扉の鍵をかけた?

セフィルはフードを外す。

あ、フードを外すからかな?

こんな時間に知らない人物が来るとは思えないけど

用心に越した事無いか。

セフィルは椅子ではなく俺の隣に腰をかけた。

「ジュン、あのね。」

俯き、何か、緊張している顔。どうしたんだろ。

何か切迫してる事があるのかな。

「私は、ね?

・・・ジュンとなら、いつでも良いよ?」

「ん?何が?」

俺の返事に、セフィルは少しムスッとして立ち上がり

ローブを脱ぐ。

いつもの外着ではなく、キャミソールっぽいのと

ショートパンツという薄着な格好。

普段は少しゆったり気味な服を着るから、セフィルの

華奢な身体がよく分かる。

部屋着なんだろうけど、流石にガン見はヤバい!

ちょっと目を逸らした。

と、腕が触れ合う距離でセフィルがまた座った。

ちょっと待って!

「どうしたの?セフィル。」

反射的に両手を肩の高さに上げ、バンザイの格好。

少し離れ向き合う。

下を見ない様に目を合わせて。

それでも、セフィルから詰め寄り

「ジュンが・・・ヘイムの代わりに

お願いしたい事があるって言ってた事だよ。」

ん?

「ヘイムの代わりなんかじゃなくても

私はジュンとなら」

「セフィルさん?もしかして酔ってる?

ちょっと一回落ち着こうか。

きっと何か勘違いしてると思うよ?」

セフィルもさっき、ずいぶんと飲んでたもんなぁ。

セフィルの後ろにあるローブをサッと取り、渡す。

「え?でも、人間の男性ってそういうものでしょ?

した事は一度も無いけど、迫られた事は

何度もあるよ?」

「そういう奴もいるけれど!

皆んなが皆んなじゃないからね?

そういうのは恋人同士になってからする事だから。

とりあえずローブ着て?」

「恋人同士・・・。

じゃあジュンはそうならないとしてくれないの?」

「うん、そうでありたいと思ってるよ。」

セフィルが少し困惑した顔を見せた。何で?

「セフィルにお願いしたかったのは

そういう事じゃないんだよ。

前にほら、大樹の精霊さんと会ったじゃない?

あれからだと思うんだけど、何か呼んでる声が

聞こえる気がするんだ。」

「声?」

「うん。

起きると分からなくなるから、夢かなって思ったりも

するんだけど、大樹の精霊さんが何か関係あるのか

聞きたくて。」

セフィルはジッと俺を見つめる。

あの子は大樹から動けないから

「他に何か思い当たる節ある?」

「んー、朝、外で練習してると風が身体を流れる様な

感じがするかな。風強くなさそうに見えるのに。

あ!

あと、飛んできた矢が変に逸れた様な気がした!」

「え!そうなの?!」

「うん。」

セフィルは少し考えた顔して

「明日も朝早くに修練しに行く?」

「うん。そのつもり。」

「分かった。私も一緒について行っていいかな。」

「うん。構わないよ。」

「じゃあ明日の朝ね。

ジュンが起き出した音聞こえたらまた来るね。」

「分かった。」

セフィルはローブを着ながら

「ジュン、本当にしなくていいの?」

と、また聞かれたから、良いんだよと笑って

言いながら、ローブを着たセフィルの肩を軽く掴み

回れ右をさせて、背中を軽く押して歩き

出口に向かわせる。扉を開けて

「じゃあ明日、お願いね。おやすみ。」

と微笑んだ。

セフィルも頷き、おやすみと返し、反対側の扉に

入った。見届けて扉を閉める。

はぁーー、びっくりしたーー。

部屋に戻ったセフィルはポツリと呟いた。

「恋人同士・・・恋ってどんな感じなんだろ。」

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