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コンコンコン!
「ロナール達が帰ってきたよ!」
オリビアは、メイラール達のいる建物の扉を
ノックしながら声をかけた。
中からバタバタっと音が聞こえてくる。
扉が勢いよく開かれた。空は明るみを帯びて
もうすぐ日が登り始めようとする頃。
アジトの村の入り口まで走って行く4人。
村の人達が既に集まっている。
遠くに5人の人影が見えた。
「ジュン様ー!」
「ジューン!」
「・・・。」
近づく人影の1人が手を振ってるのが見えた。
次第に近づき、はっきりとジュンの姿が見える距離。
ちゃんと攫われてた子も一緒にいる。
近づいたジュンの全身が、あちこちに傷を
受けていた。メイラールとセフィルが心配そうに
ジュンに駆け寄る。
「心配かけたね。大丈夫だよ。」
「ジュン、どうなったの?」
ヤムが不安気に聞いてきた。思った以上に
ボロボロになって帰ってきたからだろう。
「解決したよ。ドイルは警備隊に捕まった。
話だと北にあるエキセンドリスっていう監獄島に
投獄されるだろうという事らしいよ。」
「本当かい!
あそこに入れられたらもう戻る事は無いって
言われてるよ!」
そんなとこなんだ?おっかねー。
「・・・ジュン様、じゃあ・・・。」
「ああ、メイ。
もう、ドイルは居ない。
怖がらなくて良いんだ。フードを外して堂々と
院長さんに会いに行けるよ。」
この言葉を聞いて、初めは不思議な言葉に聞こえた。
ありえない現実。だけど、ジュンの強い目を見て
現実な事と実感したメイラールの目からゆっくりと
気持ちが溢れる様に涙が溢れ出す。
「う、うぅ、うああぁー!!」
メイラールは大粒の涙を流しながら、ジュンに
しがみついた。
そんなメイラールの頭をそっと撫ぜる。
隣にいたヤムの目からも涙が流れた。
ヤムの頭もそっと撫ぜる。
2人共ずっと、辛かったんだろうな。
本当に良かった。コッツはフードを目深にする。
もしかして、貰い泣き?
セフィルはそんな2人を見て羨ましさを感じた。
私も、いつか解決する日が来るのかな・・・。
ロナールの方でも
「ロナール!お疲れ様!マイヤ!良かったよ無事で!
酷い事はされなかったかい!
ロジーもサムリスもお疲れ様!」
オリビアは、オリビアを見て泣き崩れるマイヤを
抱きしめながら、村の人達と共にみんなを労う。
「ジュンがいてくれなかったら、絶対に
解決出来なかった。」
ロナールがジュンを見る。全員がジュンを見た。
え?ちょっと?
「ジュンさん、ありがとう。本当にありがとう。」
オリビアは深く頭を下げる。
「やめて下さい!オリビアさん!頭を上げて!
ちょっと、ロナールからも言ってくれよ!」
照れる様にロナールに助けを求めるジュンを見て
ロナールもみんなも笑顔が溢れた。