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14

あれだけ怒っていたっぽいミノタウロスが、冷静?に

俺を見てる。対峙すると、とんでもない威圧感。

今に来て全身が総毛立つ。

俺もゆっくり構えた。

ミノが動く!

1歩の踏み込みから、斧を袈裟斬りに

振り落としてくる!

体格に似合わないとんでもない速さ!

しかも袈裟斬り、斧がデカいだけに避けづらい。

後ろに飛ぶ様に下がった。

床に斧を落とさず、振り返しでまた斬り上げてくる!

今度は引かない、斜め下にしゃがんで躱し

振り抜けたのを見計らって奥の右足を狙いに行く!

と、右足で蹴り上げてきた!

あれだけダメージ入れたのに?!

く!

虚をつかれて強く横に飛ぶ。

あ!

俺の飛んだ方向に、頭を低くして突っ込んできた!

闘牛の様に!まだ着地してない、マズい!

たったの2歩でツノが俺に届く。

くぅ!

ツノの先端が刺さる直前に、ガントレットで払う様に

当てる。ミノの頭はそんな事じゃ微動だに

しないけど、当てる事で俺の身体を捻る。

ツノが刺さる事は避けたが

ガツゥン!

がはっ!

強烈な頭突きが、俺の身体に直撃。

数メートル飛ばされて転がる。

「ふぁー!はっはっはぁー!」

俺が飛ばされるのを見て高笑いするドイル。

くっそ。頭が揺れる。脳震盪。

だけど、まだ一撃だけだ。

ゴルザイさんの時に比べればまだまし。

少し間があいた?

見ると俺を飛ばした後、5歩くらい進んで

止まったらしい。振り返って構え直してる。

あれか!闘牛が構えるのと一緒か!

頭が揺れて集中出来ない思考を無理矢理回し

急ぎ身体を確認。

腕も足も骨折はない、綺麗に弾き飛ばされた様だ。

どうする。1つ案はあるけど、止まらなかったら

串刺しになるかも。

ミノが足をガリガリ動かし身体を低くした!

斧も持ったまま。突進して来るツノを避ける為に

左右に飛んだら斧の餌食か。

もう一度あの頭突きを受けたら、こんなに落ち着いて

構えられないかもしれない。

ここが勝負!剣を鞘に納め床に置く。

「ジュンさん!」

「くぅあっはっはー!観念したか!不殺!」

集中したい。

腰で動く剣の鞘にすら気を回したくない。

スタンスを広げ、ミノタウロスに向けて

発勁の構えを取る。

練習の時の様に、構えからしっかり打ち込む。

呼吸をゆっくり、深く吸って、吐いた。

グオォアアーーー!!!

ミノタウロスが、雄叫びと共に走り出す。

真っ直ぐ俺に向けて角を向ける。

動きに合わせて息をゆっくりと腹の奥に吸う。

さっき弾いた時、ツノの間は腕が抜ける幅があった。

そして、リーチは俺の腕の方が少し長かった!

ミノタウロスが、速度を上げてきた!集中!

フッ!息を切る様に短く吐いた。


さっき打った時より強かったよって言ってるよ。


ズドォォォーーン!!!!


踏み込んだ右足の下の敷石は、足の形に割れて

食い込む。

ミノタウロスの突進の速度は、硬い壁に

当たった様に一瞬止まり

ゴキゴキゴキ!

発勁の力とミノタウロスの突進の勢いが、全て

ミノタウロスに返り、首をひしゃげさせる。

身体は走り込んだ格好のまま、数メートル後ろに

弾ける様に飛び戻った。

ツノとツノの間の頭頂部は、手の大きさに凹む。

走り込む姿勢のままだったミノタウロスはそのまま

ドドォン。

前のめりに倒れた。

「・・・ばかな、ばかな!そんなばかな!!

ミノタウロスだぞ!迷宮の怪物だぞ!!

そいつにいくらかけたと思ってるんだ!!」

「ドイルよ!どうするのだ!」

「・・・く、まぁいい。どうせ奴らはあそこから

出られんから大丈夫だ。

ならば先に奴らのアジトに行くぞ!

くっく、メイラールを連れてきてこの場で

ショーと行こうじゃないか。」

俺の顔を見ながら、顔を歪ませて笑うドイル。

「だーれが出れねぇってー?」

テーブルの部屋の扉にロナールがいた。

「な、ロナール!何故そこに!」

「あの程度の鉄格子、俺が出れねぇわけねーだろ?」

「く、くそ!ナジ!奴を捕まえろ!」

ドイルは隣にいた執事に声をかける。

「あー、そいつは無理ってもんだなぁー。

来たの、俺だけじゃねーから。」

ロナールが扉の前から退くと、ゾロゾロと

20人以上の警備隊。

「お前の隠し部屋にあったこれ。

証拠に来てもらったぜ。」

懐から出した紙をヒラヒラと見せる。

「な・・・あの部屋まで見つけてたのか・・・。」

青ざめ、絶望した顔のドイル。

「大事な物隠すんなら、もっとじょーずに

隠さねーとなぁ。ドイル。」

「ドイル、奴隷売買、そして危険妖魔隠匿だ。

この場にいる全員。大人しくついて来てもらう。」

テーブル部屋で、何とか逃げ出そうとするドイルらを

拘束している警備隊。

俺は、置いた剣を腰に戻して鞘から抜き

キン!

ミノタウロスの首輪を切った。

「お前も、居たくてここに居たんじゃ

なかったろうに。

捕まって、無理矢理連れて来させられたんだよな。

ごめんな。」

鉄格子の向こうからロナールが声をかけてきた。

「ジュン、殺んなきゃ殺られてたんだ。

気に病む事はねぇよ。

つか、まさか本当に倒しちまうとはな。」

「ロナールこそ、早すぎじゃないか?

警備隊が来るの。」

「元々、手筈は整えてたかんな。

攫われた妹らには悪りぃが、鉄格子開けた後

警備隊呼ぶのを優先した。

女性達を連れて歩くと遅くなっちまうからな。」

「なるほどね。さすがだよ。」

「んじゃま、帰ろうぜ?

早いとこそんなとこから出てこいよ。」

「そうだな。」

俺はロナールと鉄格子越しに、拳を当てあった。

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