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11

「ここに来るのを待ちわびてたよ。」

鉄格子の向こう、テーブルの部屋からドイルが

話し出す。

「ロナール、顔を合わすのは初めてか。

名は私の耳にも届いてるよ。義賊まがいの

集団の事はな。」

「そりゃー光栄だ。

現物はどうだ?聞くより良い男か?」

ロナールの軽口を聞き流し、こちらに向き直る。

「そちらが、セジア闘士の不殺かな?噂は

聞き及んでるよ。ずいぶんと若い男なのだな。」

「ご期待より若くて申し訳ないね。」

俺とロナールは皮肉を出し合う。目だけ見合って

ニヤッと笑った。ロナールが話し出す。

「ドイルよ、どうやら俺たちが来る事が事前に

分かっていた様だな。」

ドイルはニヤリと顔を歪ませ

「お前ら如きの行動なぞ、取るに足らんな。」

ふん、とロナールは鼻を鳴らし

「んで?誰なんだ?内通者。

紹介してくれるんだろ?」

くっ、とドイルは苦笑いをして

「流石に分かってたか。まぁいい。」

と、テーブルの部屋の扉に顔を向ける。

きっと、裏切り者を見せつけて動揺を

誘いたかったのだろう。

でも、流石にここまでバレてるとまず考えるよね。

第三者の俺からしたら尚更に。扉から出てきたのは

アジトで行動を話してた時にいた戦士の1人。

「カクサ、お前か。」

「ロナールさん。俺は」

「何も言わなくていいぞーカクサ。

今は何も聞かん。」

ロナールのその言葉に、カクサは口を閉ざす。

その行動が、どうやらドイルの思惑から

また外れたらしい。

「ロナールよ。

お前の信頼する仲間の1人だったのだろう?

いいのか?何も聞かなくて」

「あー気遣い助かるわー、でも今は聞かん。

あとでゆっくり説教すっからよ。」

ドイルの顔がイラつきに変わる。

「あとで、などあるとでも思ってるのか?

ロナールよ。」

あくまでも威圧をしてくるドイル。

「もちろんあるさ。」

俺が言葉を挟んだ。ドイルは俺の方に顔を向け

こっちにもいたとばかりにニヤリと顔を歪ませる。

「ああ、不殺よ。

お前のパーティに入っていたのだな?」

「・・・何の事だ。」

「もちろん、メイラールの事だよ。

知らないとでも思ってたか?お前たちで楽しんだ後

ロナールのアジトに迎えに行く予定だからな。」

俺は、今の言葉に、メイがこいつに受けた出来事を

思い出し、心の奥がまたゾワリと黒く渦巻く感覚を

持った。ガザムと対峙した、あの時の様に。

その空気が、気配が、周りを包む。

「ジュン?」

ただならぬ気配に、ロナールが呼びかけるが

返せない。集中を切れば意識が落ちそう。

黒い塊りが、身体を取り込もうとしている。

怒りに心が持っていかれる。落ち着け!

その俺の殺気を受けて、ドイルはたじろぎ後退り

「グゥウオォオーーー!!!」

この部屋の右にある鉄格子の向こうから

獣の様な雄叫びが聞こえた。

ジュンの殺気に反応した様に暴れる様な音が

聞こえてくる。

「・・・どうやら、とんでもないのがあっちに

居る様だな。」

ロナールが苦笑いをした。ドイルが顔を歪ませて笑い

「クッ、ハッハッハー!

そうだ!こんな時の為に買っておいたのだよ!

伝説の迷宮の怪物。

果たして貴様らはどれだけ持つかな?

せいぜい楽しませてくれ!」

ドイルの言葉が終わると同時に、鉄格子が

ガァーーン!!

向こう側から戦斧で叩き開かれた。

ズンッズンッ

重々しい歩行音と共に暗がりから見えたのは・・・

3メートルをゆうに超える上裸の人間の体躯で

頭は尖ったツノを2本持つ牛・・・

これは、俺でも知っている。

「まさか!ミノタウロスだと!!

何でこんな奴がこんな所に!」

ロナールが叫んだ。

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