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ジュン達は一度階段まで戻り、通路の反対側を進む。
薄暗く先が見えなかったが、進むと左手に
折れているのが見れた。
角に張り付き、向こうを覗く。誰も居ない。
こんなにスムーズで大丈夫なのか、逆に少し不安が
よぎるが時間が無い。
通路を進むと、左手の壁に2箇所の扉を見つけた。
通路はまだ先に進める。
どうする。
扉に聞き耳を立てる。何も聞こえない。
通ってきた通路の形で、構造を想像してみた。
通路は階段を挟んでコの字型の形だった。
先に行った、テーブルのあった部屋から
鎖のカーテンと鉄格子越しに見えた扉、コの字の
反対側に見えてた扉だから、これはその扉か?
扉の間隔を見ると、見えたのと同じくらいの幅に
2つの扉がある様に思える。
なら、この扉は後回しにしよう。中に入っても
あの何も無かった広い部屋の可能性が高い。
通路を先に進む、と、下に降りる階段。
ゆっくり慎重に降りていくと、階段の降りきった
所で正面に扉。
ここも誰も居ない。
心が騒つく。嫌な予感が膨らむ。
だけど、引き下がれない。扉にそっと聞き耳を
立てると、話し声や泣き声が聞こえる!
女性の声っぽい!サムリスさんに目配せした。
小声で詠唱から
「解錠」
唱えたが、開いた様な音がしない。
そっとノブを回すが、鍵が掛かったまま。
「ジュンさん、すみません。複雑な形の鍵は
私の魔法ではまだ開けられません。」
物凄く申し訳無さそうな顔のサムリスさん。
「いえ、場所が分かったんですから、急いで
ロナールを呼びに行きましょう。
あいつなら開けられるんじゃないかな。」
「そうですね。」
急いで来た道を戻り、階段の所まで来ると人の気配!
慌てて階段から死角になる位置に張り付く。
向こうも気付いたのか、息を潜めたのが分かった。
階段から出てきたと同時に動くと決める。
緊張感が高まった。すると
カ、カカッカ
小さな音が何か鳴った。するとサムリスさんも
カ、カカッカ
同じ音を出した。合図?
「ジュンさん、ロナールです。」
階段側から、通路に顔を出したロナール。
良かったー、危うく出てきた所襲うとこだった。
「ロナール、ちょうど呼びに行く所だったんだ。
攫われた人の居る所だと思うんだけど、鍵が
開けられない。」
「分かった、急ごう。どうも嫌な予感がする。」
「俺もだ。行こう。」
4人で通路を進む。
角を曲がり、左手にあった2つの扉の手前を
通過した、その時
カチャン!
何か外れる様な音と同時に
ズドォン!
後ろ!曲がり角の所に鉄格子が落ちた!
戻る道が遮断された!
「ちっ、やっぱ気付かれてたか。どうも警備が
少な過ぎて怪しいとは思ってたんだ。」
「どうする?」
ロナールに聞いた。
「この先は?
さっき言ってた開かない鍵の扉の所か?」
「そう。その中に人の気配があった。」
「なら、開けるのは後回しにしよう。
そこが塞がってる以上、何かあった時に変に
動かれるよりは、部屋にいてもらった方ががいい。」
「ああ、同意だ。なら、この扉だな。」
俺とロナールは見合って頷き、扉を開ける。
小さめの小部屋。控え室みたいな部屋?
そのまま突き当たりにまた扉。その扉も開けた。
周りがひらける。
ガァン!カチャン!
4人が部屋に入ると同時に、後ろで扉が閉まり
鍵のかかる音。
ボッ、ボッボッボッ
周りのランタンに火が灯る。
途端に周りが明るくなった!
「ようこそ、我が屋敷に。
ロナール、それにセジアの闘士、不殺。」
正面、さっきのテーブルのあった部屋に10人程の
人数と、その真ん中に偉そうなおっさん!
「・・・ドイル。」
ロナールが呟いた。こいつが、ドイル。
編集出来たので本日2話更新します。