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ジュン、呼んで。気付いて。ジュン。
朝、声をかけられてる気がして目が覚める。
何度目だろこれ。夢、って訳じゃないんだよな。
夢は映像で覚えていること多いけど、これって
声だけ。少し前から、この呼び掛けを
感じるようになった。
最初はこれも夢と思ってたけど、やっぱり何か
違う気がする。とりあえず早く起きれたし
練習しに出よう。空が色彩を帯び始める中
宿屋を出て街の外に向かう。
昨日、あの話の後、コッツにダガーの投げ方を
教わった。俺はクルクル回ってスコン!と刺さると
思ってたけど違って、ダガーを回転させない様に
飛ばすみたい。
持ち方も教わったし、後はひたすら反復練習。
これは得意。教わったことを早く試したくて
夕べ部屋でやったものの、刺さらないと落ちた
ダガーが床に響いて、下の人に迷惑だなと
出来なかった。
早くやりたい!街から少し離れた草原で
岩の上に革鎧を置き練習を始めた。
革鎧に集中し、ダガーを持つ手の向きに気をつけ
投げ続ける。昨日よりは刺さる様になった!
楽しくて時間を忘れて投げ続ける。
ふと、何だか風の感触を妙に感じた。
周りの木々を見てもそんなに風強くないよな?
何だか、風が撫でるように身体を抜ける。
汗かいてるから心地良いのだけど。
・・・これって、木の精霊も会ったし、風の精霊も
やっぱりいるのかな?
居るのか居ないのか分からない方向に向かって
ありがとうって言ってみる。
誰も聞いてないならただの独り言だが、まぁいっか。
いつもの筋トレや剣、打ち込みの練習も終えて
朝食くらいの時間に宿に戻り、朝食を食べてると
みんなが起きてきた。
「おはようー。」
「ジュン、おはよー。いつも早いね。」
セフィルはもう、しっかり身なりを整えている。
「ジュン様、おはよーございます。」
まだちょっと眠そうなメイ。
ぽやっとしてかわいいな。ヤムが
「ジュン、街道途中の中継地聞いておいたよ。
朝食食べてすぐ出たら、徒歩でも2箇所目の
中継地まで行けそうだけどどうする?」
「みんなの準備次第でいいよ。俺の方はもう
準備出来てるから、合わせるよ。」
「ありがとう。準備しておくよ。」
朝食を食べ終え、コーヒーっぽい飲み物飲みながら
ぽやっとご飯を食べてるメイを眺める。
リナルドはカイダールまでの中間あたり。
これから先、近づくに連れてメイの危険度も
上がるだろうから、気を付けないとな。
眠そうに食べるメイを眺めながら、ヤムから聞いた
メイの過去を思い返す。
カイダールまでの期間とはいえ、リーダーなんだから
メイが心穏やかでいられる様に
ちゃんと支えてあげたいと思った。