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第3章 1

第3章


ラルさんの所を出て、カイノさんに深くお礼を伝え

別れた。カイノさんには本当にお世話になったなぁ。

また、会えるかな。などと思いながら宿に戻る。

宿に着いた頃にはすっかり日が暮れていた。

借りてる部屋のある2階に上がると、俺の部屋の扉に

寄りかかり待っている人がいた。

俺に気付くと、フードを外して

安心した顔を見せるメイ。

「ジュン様!おかえりなさい。・・・セフィルと

2人でお出かけしてたんですね。」

と、少し不安そうな顔。どこに行くか

伝えてなかったから、心配させたかな?

異世界転移のこと、セフィルが知ってるのに

みんなが知らないってのは違う気がする。

ちゃんとみんなにも話すべきだよな。俺はメイに

「みんなに聞いてほしい大事な話があるから

後でそっちの部屋に行っていいかな。」

と聞いた。メイは

「え!?・・・大事な話?」

と、俺とセフィルを交互に見て、うん、と頷き

「じゃ、じゃあお部屋戻ってヤム達に

伝えておくね?」

と、言ってセフィルと一緒に部屋に向かう。

それを見届けて俺も1度自室に戻った。

「ヤム、ジュン様が大事なお話があるから後で

こっちに来るって。」

「大事な話?」

「う、うん。

セフィルは、ジュン様と一緒に居たんだよね?

何の話か知ってるのかな?」

メイラールは不安そうにセフィルに聞いた。

うーん、あのお店で話した内容でみんなに

伝えるとしたら、転移の話かな?きっと。

ジュン、まだみんなには話してなかったんだ。

セフィルは

「うん。でも、ジュンから話すことだと思うから

私の口からは言えないな。」

「え、そ、そっか。」

セフィルの言葉に、表情が曇るメイ。

ん?何でそんな落ち込んだ顔するんだろ?

・・・メイ、何か勘違いしてる?セフィルはメイの

表情から察した。ジュンと私で何かあったと

思ってるんだ。

メイって素直なんだなぁ。

全部表情に出て、隠し事出来なさそう。

可愛いなぁ。

メイの表情を見て、顔が綻ぶセフィル。

ヤムは2人のやり取りを見て、ジュンとセフィルの

間でそういう事があったのかと解釈した。


扉の前、俺は深く深呼吸をして

コンコン。

扉をノックした。

「どうぞ。」

中からヤムの声が聞こえて、扉を開ける。

「メイから聞いたよ。大事な話があるって?」

何とも言えない、苦々しいヤムとメイの顔。

対して、何か楽しそうなセフィルの顔。

何でそんな両極端なの?

「セフィル。さっきの事、何か話した?」

「ううん。

ちゃんとジュンから話した方が良いと思ってね。」

「そうだね、ありがとう。」

ん?今の言葉で、より一層ヤムとメイの表情が

曇ったよ?俺はコホンと軽く咳払いして

「何か分からないけど、心配させちゃったかな?

ごめんね。

話ってのは俺の今までの経緯と、これからの行動を

話したいと思ったんだ。」

ん?と、ヤムとメイ、顔を見合わせて

こっちを見直す。俺はこの世界に来た経緯、そして

魔術具屋での出来事を話した。

「ちょっとごめん!情報が多すぎて混乱してる。」

ヤムが話を一度切った。

「整理させて。

つまり、ジュンはこの世界の人間じゃないから

元の世界に戻る方法を探しに旅に出たと。

それで、今日行った所でその情報を得たから

遺品を渡してセジアに帰った後は、その魔術師を

探しに行く、と。これで合ってる?」

「うん。合ってるよ。」

メイがそれでなくても大きな目を、より見開いて

こっちを見てる。

「俺は、3人と一緒にカイダールまで行きたいと

思ってる。ちゃんと、メイの用事の為の護衛を

務めたい。

でも俺の事を正体不明で、気味悪く思うのは当然で

一緒に行くのが嫌だったら」

「そんなこと思う訳ないよ!!」

メイが俺を見ながら怒った表情で言った。

「そうだよ、ジュン。

まだそこまで長い付き合いじゃないけど、それでも

あたしらは、ちゃんとジュンのことを見てきた

つもりだよ。」

メイが強く頷く。

「だからこれまで通り、あたしらはジュンと一緒に

行く。これで良いよね。」

ヤムはメイとコッツに向かって言った。

「もちろん!」

「・・・。」

「ありがとう。突拍子もない話なのに

受け入れてくれて嬉しいよ。」

メイは安心して嬉しそうに笑った。

てっきり、セフィルとお付き合いしますって

お話かと思っちゃったよ。

ずっと話を聞いていたセフィルが

「でもジュン。さっき話聞いた時にも

思ったんだけど、ジュンが旅に出てるってことは

セス=エファス司祭も知らなかったってことでしょ?

アリアシス屈指の魔術師が知らないこと、他の

魔術師が知ってるかな。」

「うん。そうだね。でもやっぱり、流浪の魔術師や

4人の方々には話を聞いてみたいと思えたから。

もっとも、みんな凄そうな人ばかりだから

会えるかどうかも怪しそうだけど。」

「そっか。じゃあ私もジュンの旅、流浪の魔術師と

会えた先も、しばらくは同行しないとね。」

俺が、何で?って顔していると、セフィルは

ニコッと笑い

「シスタンカナ大森林の魔女って私の母なの。」

ええ!声を出して驚いたのは、俺とコッツ。

コッツと向き合って目が合った。

途端にスンッと表情戻った。コッツ、実は面白い?

ってそれどころじゃない。セフィルに向き直り

「だから、私が一緒なら話もすぐ出来ると思うよ。

そもそも、あの大森林に私の案内無しじゃ絶対

母の所まで辿り着けないし。」

そんな場所なんだ。富士の樹海みたいなとこかな。

「確かに母は、私なんかより遥かに長い年月を

生きてるから、何か知っている可能性も

あるかもしれない。」

セフィルより長い年月・・・想像出来ないな。

「そっか。そしたらその時が来たらセフィルに

お願いするね。」

「もちろん良いよ!でもその言い方だと、すぐには

行かないみたいだね?」

「うん、そうなんだ。

シスの町に遺品を届けに行ったら、一度セジアに

戻るからね。その間にセスさんの方でも

調べてくれるってことになってて、その話も

聞きたいから。」

「そっか。まぁ私は、何年先でも全然

構わないけどね。」

にこやかにセフィルが言った。

エルフにとっては、ほんの短い期間なんだろうな。

何にしても、みんなに話せておいて良かったなと

笑顔に戻っているみんなを見て実感した。

お盆休みで第3章まで書き終えられましたので、3章をあげていきます。

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