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「リナルドの街が見えてきましたよ!」

カイノさんが中に声をかけてくれた。

これ幸いと、俺は2人の間から抜け出し

カイノさんの隣に座る。

おお!遠目から見ても大きな街!

少し高めの建物も見える。

「ジュンさん、この度は本当に

ありがとうございました。無事着けたのも

ジュンさんのお陰です。」

「こちらこそです。乗せてもらったばかりか

遅らせてしまった上に、手伝ってもらって

しまったのに。」

「そんなこと、ジュンさんに助けてもらって

護衛してもらったことに比べたら些細なことです。」

カイノさんと握手した。

「街に着いたらジュンさんはどうされるのですか?」

「そうですね。とりあえず今日はここに泊まろうと

思ってます。

大きな街なので、色々見聞きしたい事もあるので。」

「そうなんですか。

先日お伺いした、高位の魔術師を探されてる件ですが

もし夕刻で宜しければ、魔術具屋を紹介しますが。」

「本当ですか!ありがとうございます!

是非お願いします。」

「分かりました。では、この後街に着いたら

皆様を下ろす場所に夕刻、また来て頂けますか。」

「分かりました!ありがとうございます。」

覚えててくれたんだカイノさん。

やっぱり良い人だなぁ。俺は近づくリナルドを

眺めながら期待に胸を膨らませていた。

「ジュン、高位の魔術師探してるんだ・・・。」

誰も聞こえないような小さな声で

セフィルが呟いた。


「不殺様!

短い間でしたが、ありがとうございました。

とても良い経験をさせて頂きました。」

「こっちこそだよ、エリュン。

一緒に旅出来て楽しかった。

お互い、研鑽を積んで強くなろう。」

握手してエリュン達3人と別れた。と言っても

街にいる間は見かけるかもだけど。

とりあえず今日の宿探そう。その前に

「えっと、2人共?もう少し、距離開けて

歩いてくれると嬉しいんだけど。」

セフィルとメイに話しかけた。

「そんなに邪魔になる距離ではないと思うけど。」

セフィルが不服そうな声で返す。

「私も邪魔にならないようにするよ!」

メイも引かないと言わんばかり。

2人が張り合うように近づくから、もう2人に

腕が掴まれてる。

「邪魔とかじゃなくて困るの!

その、色々、触れたり当たったりする距離だから。」

2人はピタッと止まり、一歩ずつ離れてくれた。

良かったー。

「とりあえず、今日の宿探そうか。」

ヤムが声かけてくれた。

俺は笑顔で頷き、歩きだした。何となく街の中心部に

向けて歩き出す。

程なくしてデカい宿を見つけた。中もめちゃくちゃ

賑わってるなぁ。いつも通り2部屋を借りて

ひとまず各々の部屋に行く。って

「セフィル?何でこっちについてくるの?」

「え?だってジュンと一緒の方が良いから。」

何、さも当たり前みたいに言ってるの!

「セフィルはこっちだよ!」

ヤムがセフィルの腕を掴む。

「えー!ジュンと一緒がいいー!」

「ジュン、ちょっとこっちで話すことあるから

行きたい所あったら行ってきていいからね。」

ヤムが引きずっていってくれた。ありがとーヤム。


女子部屋。

「さて、ちょっと一回落ち着いて話そうか。」

渋々部屋に入り、自分の荷物を置いて

寝台に座ったセフィルに、目の前に椅子を持って行き

座るヤム。同様にその隣に座るメイとコッツ。

「あたしはエルフにそこまで詳しくないから

会って間もないジュンに、何でそこまで、んー

距離を詰めて?くっついていようとするのかが

よく分からないんだよ。」

強く頷くメイ。

そうだよ、私だってやっと今の距離になれたのに!

「時間なんて関係無いよ。」

セフィルは穏やかに話し始めた。

「私は、320年くらいを生きてる。その年月の中で

初めて見つけられたの。精霊術師の経験も無いのに

あんなに精霊と親和性が高い人。

エルフって種族には2種あるのは知ってる?」

「エルフとダークエルフって事?」

ヤムの言葉にセフィルは顔色を変えて

「あれはエルフじゃない!姿が似てるだけの妖魔よ!

一緒にしないで!」

セフィルの剣幕に、余程のことを言ったのだろうと

ヤムは理解して

「失言だったね。すまない。

じゃあ2種というのは?」

直ぐに謝罪してくれたヤムにセフィルは

あ、と声を荒げた自分に恥ずかしさを覚え

「こちらこそ声を荒げてごめんなさい。

知らないことならそう思うよね。

2種とは、エルフとハイ・エルフのこと。

私はハイ・エルフ。

ハイ・エルフはエルフの中でも、より精霊に近い種。

だからこそジュンに惹かれるの。減衰していく

ハイ・エルフという種の中で、種の新しい生命を

産み出すためにもね。」

「新しい生命って!そういうことも考えてるの?!」

メイがビックリして割って入った。

「でも、人間との混血は

ハーフエルフになってしまうんじゃないの?」

ヤムも併せて聞いた。

「そんなこと無いよ。精霊との親和性の高い人と

結ばれれば、ハイ・エルフとして産まれてくる

可能性も高いの。

もちろん、ハーフエルフの子も可能性あるけどね。

事実、私も父様は人間だったから。」

「でも、それならエルフやハイ・エルフの中で

探した方が可能性高いんじゃないの?」

ヤムの質問に、セフィルは首を振り

「まず、ハイ・エルフは数が少な過ぎて、他の

ハイ・エルフを見つける事すら困難なの。ましてや

男性のハイ・エルフなんているのかすら分からない。

それから、エルフの中でも、親和性の低い人も

いるから。

精霊との間は、契約か親和で成り立つのだけど

エルフは精霊語を話せるから、親和の低いエルフでも

契約で精霊は助けてくれるんだ。」

「なるほど。じゃあジュンには親和性が高いからって

理由で付いて来てるのかい?」

「んー、どう言ったら良いかな。

私はあまり、人間の外見って見分けしようと

しないけど、親和性の高い人は人間で言うところの

格好良く?見えるの。

だから、ジュンには人間で言えば

一目惚れくらいの勢いね。

ついていっても不思議ないと思うのだけど。」

う・・・私もジュン様にはほぼ一目惚れだった、から

気持ち分かる・・・。メイが複雑な表情になって

ゆっくり言葉を出す。

「私は、ジュン様が好き。とってもとっても好き。

これだけは譲れないの。」

セフィルは優しく笑い

「分かってるよ。でも、私も譲れないの。

ジュンと知り合ったのは、メイさんの後かも

しれないけど、でも譲れない。」

2人はジッと見合い、ふふっと笑い合う。

「分かった。ジュン様は誰のものでもないもん。

だから、セフィルに負けないように私が頑張る。」

セフィルはニコッと笑い

「私は、ジュンに人間の奥様が出来ても

気にしないよ?」

メイラールは、目をパチクリとさせ

「・・・えーーー!!何で?」

「私達エルフは、人間と違う時間を歩んでるから。

凄く残念だけど、ジュンの生涯を見送ることは

出来ても、ジュンと共に逝くことは出来ないからね。

だから、それが出来る人間の奥様を否定したく

ないんだ。」

エルフの考え方って、物凄く独特なんだな。

ヤムは、とりあえず2人の間の空気が

落ち着いたことに、ただ安堵した。

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