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街に戻った次の日の早朝。
夕べは、無事村奪還のお祝いお礼を街の人に
してもらって、食事とお酒をご馳走になった。
今回はちょっと学習して、スモ酒を飲み過ぎない様に
気を付けたお陰で、あの地獄の様な思いは
せずに済んだ。
それにしても、エリュンは俺より2つ下なのに
お酒飲んでたな。誰も何も言わないからこっちでは
普通なんだね。
剣だけ腰に付け、街の外まで走り出す。
練習しないと。街の入り口の馬車止め小屋には
既にカイノさんが馬の世話をしていた。
「おはようございます。」
走りながらカイノさんに声をかける。
「ジュンさん、おはようございます。
相変わらず朝早いですね!」
「この時間に起きるのに慣れちゃってるんです。
ちょっと身体動かしに街の外行ってきますね!」
「出発は、みなさん起きてからお昼くらいを考えて
いるので、ゆっくりしてきて大丈夫ですよ!」
「ありがとうございます!」
じゃあ久しぶりに、お昼くらいまでしっかり
練習しようかな。バッツ村に行く途中に、何か
良さげな森林があった。
大木でもあってくれたら、発勁の打ち込み
練習出来るな。何か出てきても、1人なら何とでも
なるだろ。
小1時間程走って、森林の中に入る。
木を避けながらスピードを上げていく。これ良いな!
多数相手にすることも増えてくるからなー。
こんなことならガントレットとソルレットも
持って来れば、多数相手の打ち込みの
練習も出来たな。
森林の中を走ると、太い木発見!
周りも少し拓けている。うん。おあつらえ向きだ。
太い木に近寄りそっと触れてみた。
目の前まで来るとかなり大きい!俺が両腕伸ばして
10人でも全然足りない太さだ。
何かご利益ありそうな木、発勁の打ち込みしちゃ
マズイかな。
とりあえず筋トレと剣の練習からやろう。
同じ頃。
ふぅ、流石に夜通し歩いてるから疲れたな。
バッツ村を観に行ったフードの人物は、森林の中を
歩いている。
ジュン達が馬車で移動した際は、この森林を大きく
迂回する形になるのだが、ショートカットをすれば
かなり早く着く。
村に向かう夜も、この人物は森林を通過していた。
まるで歩き慣れた道を歩くように、かなり木の多い
森林内をスムーズに歩く。
あ、やっと大樹が見えてきた。あと少し。
あのパーティ、まだ出発してないと良いけどな。
夜通し歩いている脚に鞭打って、早足に動き出した。