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午前中、まだ全然日はてっぺんまで行かない時間。

既に村のすぐそば。

カイノさんが、戦闘は協力出来ないけど、移動は

協力出来ますからと馬車を出してくれた。

すごい助かる!

移動時間の短縮と、移動の疲労を無く戦えるのは

エリュン達にはすごい強み!

カイノさんの馬車はメイも守りやすくなるから

本当に助かった。

「もう一度確認しよう。正面突入組と、救助組。

俺らが正面から行って囮になるから

エリュン達3人がその間に救助者を見つける。

まずは救助者を馬車に連れて行くことが最優先。

村の見取り図では、隠れられるならここだろうって

言ってた食料保管庫。村のまるっきり反対側だから

見つからないように村の外の林を移動ね。林の中で

ゴブリンを見つけても、可能な限り戦闘しない事。

俺らも囮として派手に動くから、騒ぎを聞けば

こっちに来ると思うから。

村の人を見つけても、その場での救出が難しい時は

村の人達にまた隠れてもらって、挟み撃ちの形で

ゴブリンを殲滅することを優先にする。

連れ出せそうな状況や、人数や怪我の状態なら

馬車まで連れて行く。状況できっと、考えるべき事が

変わるから、その時どう行動するかの判断は

エリュンに任せる。これでいいかな。」

「はい!」

エリュン達3人が強く返事をした。

「メイは馬車の中でカイノさんと待機ね。

エリュン達の誰かが毒を受けた時は、3人で馬車に

戻って治療を受ける。単独で動かない様にする事。

余程の毒だった時は、一緒に行動している誰かが

大声で叫んで。その時は、俺がメイを連れて

一緒に行く。メイ、ちゃんと守るからね。」

ジュンの真剣な目と言葉に、場違いに胸が

キュッとするメイラール。うん、と何度も頷く。

「よし、明るい時間のうちに解決までいきたい。

行動しよう!」

エリュン達が馬車を出て、村の反対側に向かって

音をなるべく出さないように動き出す。

よし。行こう!村の正面入り口に向かって

動き出した。


正面の門にはゴブリンが2匹、見張りで立っていた。とにかく明るいうちに目処をつけたい。

木陰から一気に走り詰め寄る。

ゴシャ!

ゴブリンの1匹が気付いた瞬間には、頭を

蹴り飛ばした。見張りのもう1匹がこっちに

集中した矢先に、ヤムが後ろからバスタードソードを

叩き下ろす。そのまま門を抜けて中に入り込んだ。

5匹のゴブリンが・・・、村人3人の遺骸を

柱に括り嬲っていた。

奇怪な大声で叫びながら、こちらに向かってくる

5匹。凄惨な遺骸を見て荒ぶるヤムが、自分に

向かってきた2匹のうちの1匹を叩き割った。

3匹がこっちに向かってくる。

引きつける。もっと騒げ!

3匹の攻撃をいなしながら躱しながら、騒ぎを

大きくさせる。聞きつけたゴブリンが

こっち来るのが見えた!手前のゴブリンの首を

剣を抜きつつ斬る。

かはっ!

ゴシャ!ぐえっ

その流れのまま、隣のゴブリンを蹴りで頭を潰す。

素早く、近くの残りのゴブリンに走り込み1匹の首を

飛ばす。その間にヤムがもう1匹を叩き割った。

騒ぎを聞きつけ集まってきたのは15?いや

もっとか。弓を持っているのも数匹いる。

さらにその後ろ、建物の陰からホブって奴が2匹

出てきた。一気に来られると面倒か。


「ジュン!そこで止まって!」

ヤムに声をかけられて後ろを振り向くと

コッツが詠唱している。

コッツの杖の周りに、水蒸気の様な薄い霧が

立ち込めていた。

「眠りの雲」

ボソリと発した声と共に、杖に立ち込めた霧が

一気に前に飛び出し、ゴブリン達の周りに纏われる。

同時に、バタバタと倒れるゴブリン達。

霧に巻き込まれた11匹全てが倒れた。

やば!魔法すげー!

「寝てる奴らが起きる前にトドメ刺して!」

ヤムが走りながら声をかけてくれた。

寝てるんだ?それは起こす訳にいかないな。

倒れてる4匹の真ん中に行き、一気に首を落とす。

更に隣の2匹に移り斬る。ヤムが4匹に剣を

叩き下ろす。残り1匹が他のゴブリンに蹴られて目を覚ましていた。でもノーリスクで一気に10匹!

これは凄いな。見えているゴブリン4匹が、コッツに

向かう!マズいか!と思ったが、2匹のホブが

目の前。くっそ!左側の1匹の懐に一気に入り

ズドン!!

がふぅっ

1匹を発勁でなぎ倒す。ゴブリン2匹がホブが

倒れるのに巻き込まれた。もう1匹がヤムに向かう。

く、どっちのフォローに行こうかと迷った刹那

光った何かが高速で飛んできて

バチッ!

避ける間もなく俺の肩に当たった。

途端に受ける熱と衝撃!

「くあっつ!何だ!」

光が飛んできた前を見ると、杖を持つゴブリンが

いた。唖然とした?驚いたっぽい表情をしている。

「シャーマンもいたか!ジュン、直撃だったけど

大丈夫だった?!」

ホブと戦いながらヤムが叫ぶ。俺は大丈夫!と返す。

全く平気そうな俺に、驚いた様な呆れた様な

表情のヤム。痛みも残ってるし火傷っぽい感じも

してるけど、今まで経験してきた痛みに比べたら

動けないなんて事は全然ない。

それよりもシャーマン?今の魔法って事?

え?ゴブリンって魔法使うの?

「ジュン!こっちは大丈夫だからあいつを先に!

呪文使われると面倒だよ!」

「コッツからかなり離れるけど大丈夫?!」

言いながらコッツの方に視線を向けると、4匹の

ゴブリンの矢と短剣をヒラリヒラリと躱すコッツが

見えた。躱しながら、1匹に短剣を投げつけ

ゴブリンの額に突き刺す。え、コッツすげーな!

「あの子はゴブリン3匹程度なら1人で平気!」

「分かった!」

シャーマンに向かって走り出そうとすると

また建物からホブ2匹が出てきた!

盾にする様にシャーマンが後ろに走り込むけど

走る速度を止めない!

攻撃してこようとするホブの前で強く飛ぶ。

左手をホブの頭に着き、一回転して向こうに着地。

・・・頭がなんかヌルッとしたー!

しかめっ面しながらシャーマンに向かう。

杖に小さな光の球を纏ってる!何か言葉を発した途端

光が鋭く俺に向かって飛び出した!避けられない!

身体を低くしてガントレットを顔の前に出す。

バチッ!

いっ、つぅー。でもこのくらいなら!

また動き出した俺を見て、驚く表情のシャーマンの

喉に向けて剣を突く。

カヒュッ。

真っ直ぐに突き貫いた。後ろにホブが来てる!

貫いた剣を引き抜きつつ振り向き、ホブに向き直る。

発勁使いたい所だけど、左手ヌルッとしてる。

剣を持ち替えたくないなぁ。

振り下ろされる棍棒に合わせて、シアのステップで

躱しつつ腹を切る。

ガスッ!

ん?!硬い!凄く硬い肉を切った感触。

今のだと浅いか。案の定全然気にせず動いてきた。

お構いなしに横殴りに棍棒を振ってくる。

下がって躱すと、もう1体が右から棍棒を

振り下ろしてきた!くっそー!あとで洗う!

振り下ろしてきた棍棒を右に躱し、剣を左手に

持ち替え右のホブの右脇まで行き、踏み込む!

ズドォーーン!!

目一杯の発勁。飛ばしたホブを隣のホブに

ぶつけてなぎ倒す。巻き込まれて倒れたホブが

重さで身動き取れずにいる。そのまま動いている

ホブの首に剣を突き刺す!突き貫いて、横に

引き抜き、首半分が切れた。身じろぎしていたホブの

腕が、パタっと落ちて止まった。

流石にこれなら大丈夫だろ!

一応、先に発勁を打ち込んだホブにも同じ事をした。

あれだけ筋肉が固いと、最初に打ち込んだ

ホブの首もやっておかないと、生き残ってる

可能性あるな。

2人に目を向けると、ヤムはホブの胸に剣を

貫き倒し終え、コッツも残り2匹のゴブリンの額に

短剣を突き立てた所だった。

俺は初めのホブの喉を切り落とし

「もう、これで終わりだろうか。

確かに数は居たけど、村を襲うっていうには

出てきたゴブリンだけだと何か違う気がする。」

俺がヤムに問いかける。

「そうだね。同感。

村を襲える程、統率出来る様なのはいなかった。」

「てことは、マズイか?騒ぎで出てくるんじゃなく

隠れたか逃げた?逃げたのだとすると

エリュン達の方に行ってるかも!」

村は中央に広い道、その左右に建物が並んでる。

その通りの奥、村の反対側から騒ぎが起こり始めた!

3人で顔を見合わせて走り出す。

騒ぎ場所が近づいてくる、見えた!手前に6匹の

ゴブリン、その向こうにホブが1体。

その隣に何か黒い小さいのがいる。

6匹のゴブリンがこっちに気付き向かってきた。

エリュンに対峙してる黒い小さいのが

何か分からないけど、ホブがロッカに行ってるのは

まずい。この6匹を速攻で倒す!

カヒュ!

ゴシャ!

向かってきた正面2匹の右のゴブリンに対し

剣を抜き様に首を落とし、右に開いた身体の

流れのまま、ローキックで左のゴブリンの顔を

蹴り込み2匹の後ろにいた1匹に、ローキックで

蹴ったゴブリンをぶつけた。ぶつけられたゴブリンは

驚いて足を止めた。

そのまま素早くゴブリンの前に行き

ガシュッ!

袈裟懸けに斬り下ろす。ヤム達を見るとヤムが

2匹目を真上から斬り下ろし、コッツがその後にいた

1匹にダガーを投げつけてた。

よし!再びエリュン達に向かうと、ロッカが

ホブの棍棒で薙ぎ倒された!

シールドでは受けたっぽいけど身動き取れてない。

脳震盪かも。

バチン!

白い光が上がった!

黒い人間?から飛んだ光がエリュンに当たり

エリュンがその場で崩れる様に倒れた。

さっき俺が食らった魔法か?

「まずい、ダークエルフがいる!」

ダークエルフ、あれエルフか!

そういえば耳が尖って見える。

かの有名なエルフだけど、ダークエルフは

とんでもなく邪悪な顔つきだなぁ。

俺の中のエルフ感を損ないそうだ、エルフと呼ばずに

ただの敵としよう。

ただの敵は、6匹のゴブリンを早々に始末し

向かってくるこっちに気付き、ソイの髪を掴んで

こっちに向ける。

「ウゴクナヨ。」

人質って事か。まだざっとバスケコートの

縦幅くらいの距離がある。せめて半分なら。

「ブキヲハナセ。ツエモダ。」

ヤムとコッツと目を合わせて剣を置く。

「イケ!」

ホブに命令し、ホブがこっちに向かってくる。

これは・・・チャンスになるか?

俺はそっとヤムより前に出た。頭の中で行動を描く。

問題は1つ。全力の発勁の後、打ったと同時に

すぐ動き出せるか。全力で打つと完全に体重が

前足に移って、次の行動に素早く動き出しづらいのは

ちょっと弱点と思ってる。

ホブに1番近い俺に、ホブは素直に寄ってきた。

「ウゴクナヨ。」

ダークエルフはニヤニヤしている。

俺が殴り殺されるのを楽しみにする様な顔。

ホブが俺の目の前に立ち、ダークエルフの視界を

遮る位置に来た。

ホブは振り上げた棍棒を振り下ろす。向こうから

見えない様にギリギリに躱して、胴に右手を伸ばす。

目一杯の発勁!

ズドォーーン!!!

ホブのデカい体躯が、弾かれた様に後ろに飛ぶ。

動け、身体!一瞬、身体の重さを感じたが

無理矢理身体を動かし、飛ばしたホブの裏に

隠れる様に走り出す。

ドドォン。

ホブが、ダークエルフの距離とちょうど

真ん中あたりで、転がる。

その上をハードル走の要領で飛び越える!

ダークエルフが見えた!

何が起こったのか、分からず呆気に取られてる

感じだ、間に合え!

正気を戻したダークエルフが、ソイに向けてる短剣を

動かそうとした。くっ!あと1歩!

ガツン!

左下から剣が飛んできて、ダークエルフの腕に

当たった!ダークエルフの意識が一瞬

そっちに向かう。

そこら辺にいたのは、確か倒れたエリュンか!

良くやった!

エリュンへ視線は向けず、真っ直ぐダークエルフの

短剣に向けて右足を蹴り上げる。

カツーン!

短剣が跳ね上がり、屋根の上に飛ぶ。

咄嗟に離れるダークエルフ。結構速い!

追撃出来なかった。逃げようと走り出している。

くっ、ここで逃したくない!

走り出そうとした刹那

「光弾」

今の隙に、杖を拾い詠唱していたコッツの杖から

光が飛び出し、一瞬で俺の脇を通過

バチィッ!

ぐがっ!

ダークエルフの背中に見事に当たる。よろけた所に

後ろから、脇腹に向けて思い切り蹴り込む!

ゴシャ!

がはっ!

軽々と飛んで通りの真ん中に転がり

動かなくなった。

エリュンが何とか立ち上がり、さっき投げつけた剣を拾う。

こっちを見るエリュン。俺は軽く頷いた。

エリュンはダークエルフの所まで行き、胸に剣を

突き立てとどめを刺した。

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