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旅はしばらく順調に進む。

街道沿いにあった小さめの町を2つ抜けて

今日にはムコルって街に着く。

そこを過ぎて1つ小さな町を過ぎれば、カイノさんの

目的地、リナルドだ。

「見えてきましたよ。ムコルです。」

幾つかの街を通ってきたけど、セジアって

やっぱり大きいんだな。ムコルの街は、街道沿いの

街としては、リナルドに次いで大きいって

聞いてたけど、セジアと比べるとずいぶんと

規模は小さい。

東京から郊外に来ましたって感じだ。

でも、何かこっちの街並みって良いな。

情緒があるって言うのかな?こういうの。

ヨーロッパの方の写真で、こういう街並みを

見た気がする。カイノさんは街の入り口にある

馬車の留置所に、馬車を置きに向かった。

エリュン達は、冒険者ギルドに顔出してくると

言って向かった。俺らはどうしようかな?

ただ一泊してすぐ出るみたいだから、宿に入ってから

街でも観に行こうかな?

何となく読める看板を見回しながら歩く、んだけど

何となく街の人の目が怖い?

避けられてるというか、煙たがられてるというか。

「何か、睨まれてない?街の人から。」

メイに尋ねた。メイは見回し

「うん、そう見えますね?どうしてだろ?」

ヤムも訝しげな顔。ヤムも理由分からないんだ。

露店のおじさんが、怪訝な顔でこっちを見てるけど

ちょっと聞いてみよう。

「あの?すみません。」

おじさんは俺を上から下まで一瞥して

「あんたらも冒険者か、売る様なもんなんざ

何もねーよ。」

「あ、いえ、冒険者ではないです。旅してる者で。」

「そのなりじゃ似た様なもんじゃねーか。

話す事なんざねーよ。」

あー、確かに。見た目そうだよね。俺はもう少しだけ

食い下がった。

「あの、街の人達が冒険者を敬遠されてる様に

見えるのですが。」

おじさんは険しい表情になり

「ああ?!お前らのしてる事見りゃ

当然じゃねーか!」

「あの、俺たちセジアから旅してきて、ついさっき

この街に来たばかりなんです。この街で冒険者が

何をしたのか、全然知らないんですよ。」

「セジアから?」

露店のおじさんは、ジロリとこっちを見て

「この街の南に、バッツって村があるんだが

7日程前にゴブリンどもに襲われてな。

バッツ村の人間は、たまたまこっちに向かってて

難を逃れた親子以外、こっちに逃げてくる様子が

見れないんだ。全員がやられちまったのか、それとも

どこかに避難しているのか。」

心配そうな表情のおじさん。きっと、バッツ村と

この街は繋がりが深いんだな。

「それで、冒険者ギルドに依頼したのさ、ゴブリンの

退治と村の連中の安否確認を。

ところが、ゴブリン退治なんかとどいつも

受けやしねぇ。」

「え、こんなにいっぱい冒険者さん達いるのに?」

フードを被ったメイが横から入ってきた。

「ああ、この街はセジアとカイダールを結ぶ

街道街では大きい街だ。セジア闘技場や、その先の

ラスティアの近くにある大精霊の鍾乳洞目指して

多くの人間が西から来るんだよ。

自分らを、冒険者だセジア闘士になるだ言いながら

街で好き放題やっていきやがるくせに、この街からの

頼み事は聞いちゃくれねぇ。」

「そうだったんですか。」

それは煙たがられても仕方ない。

「兄ちゃんらは装備してるが、旅人なんだろう?

話し方も丁寧だし、セジアから来てるなら

真っ当なんだろう。悪かったな、無愛想な対応して。

バッツ村は今は危ねーから近づくなよ?」

「分かりました。

教えて下さり、ありがとうございます。」

頭を下げて、行こうかと3人を促し街の中央の方に

歩き出す。何か、俺が漫画で読んでた様な異世界の

冒険者って、もっと格好良さげなのを想像してた。

「ゴブリン退治って、そんなに受けて

もらえないものなの?」

ヤムに聞いた。

「ゴブリン単体は弱いからね。1匹に対する報酬は

安いから、駆け出しが相手することが多い。

村の件はおそらく、結構な規模のゴブリンが

いるんだと思うよ。数集まれば面倒、でも

苦労の割に安い。

まあ、誰も受けない理由も分かるよ。」

なるほどね。あ、宿屋見つけた。ここの宿屋は

でっかいな!それだけ人が来るって事か。

3人に目配せして、宿屋の中に入る。

大河亭と同じで下は飲食出来るフロア、上が

宿泊部屋かな?

「すみません!今日2部屋借りたいのですが。」

カウンターから中の人に声をかける。周りの

飲んでる人達がこっちをジロリと見てきた。

何だか、柄が悪いなぁ。

調理場からカウンターに出てきた男性が

「先払い、一部屋30ヘイムだ。」

物凄く無愛想に言ってきた。30ヘイム、確か

この10円玉みたいな色のが10ヘイムだったよな。

セジアでメイと買い物した時、報奨金で貰った

金貨を出したら、そんなデカい額で出してくるなって

怒られたっけ。メイがお願いしてくれたから

結局くずしてくれたけど。

それ以来、報奨金で貰った金貨の量は高額と知り

厳重にバックパックの奥にしまった。

銀行って無いのかな?この世界。

6枚の銅貨を置くと、ひったくる様に取って

鍵を置かれた。

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