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ゴブリンから離れ、ペースを戻す馬車の中。

「掠ったのは毒矢だね。」

さっき掠った矢の所から、ジンジン腕が痺れてくる。

俺は、左肩の付け根でキツく布を縛った。

「すみません、私まだ毒癒しの魔法を

習得出来てなくて。」

僧侶さんが申し訳なさそうに言う。

「何でお前がこんな奴の為に、魔法を

使わないといけないんだ。」

冒険者リーダーの発したこの言葉に

俺以外の全員が、冒険者リーダーを睨んだ。

「な、何だよ。お前らまで。」

仲間2人にも睨まれ、流石にたじろぐリーダー。

傷口の様子をジッと見ていたメイが

「ジュン様、大丈夫ですよ。」

と声をかけてくれて、自分のバックパックから

幾つかある小さな容器の一つを出して開ける。

軟膏?かな?指に取って塗ってくれた。

「あとこれも飲んで下さい。身体に回ってる毒を

中和してくれます。」

小瓶を渡してくれた。

「ありがとう!すごいねメイ!」

一気に飲み干す。苦!

嬉しそうにフードの中で微笑むメイラール。

「メイの薬草の知識は凄いからね。この子の作る薬は

あてになるよ。」

「魔法みたいに、あっという間に

治せるわけじゃないから、しばらく痛みや痺れは

続いちゃいますけど。

でも、覚えて良かった。

ジュン様のお役に立てて嬉しい。」

すごいな、メイ。

でも様は外してくれないんだ。ま、いっか。

「それにしても強いですね!あっという間に

ゴブリンを倒す速さと、ホブを吹っ飛ばした技!

感動しました!」

もう1人の戦士が話しかけてきた。

「そうでしょー。強いんだから!ジュン様は。」

メイが自慢げに言った。

「ふん、そんな事言ったって

毒喰らってんじゃねーか。」

リーダーがそれでも憎まれ口を叩く。

また怒り出しそうなメイを抑えて

「いや、その通りだよ。

毒を使うんだって事も、踏まえないといけなかった。

避け切ろうと思えば避け切れたのに、掠り傷を

気にしない癖がついてしまってた。

メイが治療出来たから事なきを得たけど

手段が無かった時を考えると、ちょっと俺も

甘かったと思う。」

「・・・、ちぇ。何なんだよ、お前は。

そんだけ強ければ、もっと威張ればいいだろうが。」

俺は軽く笑って

「強くなれても、偉くなった訳じゃないからね。

それに、今の自分のこの強さだって、色んな人に

助けてもらって、成り得た強さだから。

人から与えられたもので、自分が威張るのは

筋違いだからね。」

「人から与えられたもので、自分が威張る・・・。」

リーダーはしかめっ面をして

「さっきは、助かった。・・・ありがとう。」

小さい声で囁いた。素直な所もあるじゃん。

仲間の2人は、驚きと嬉しそうな顔で

リーダーを見る。

「で?あんたは何者なんだよ。

いくらなんだって、ホブを一撃であれだけ

吹っ飛ばす程の強さなんて、そんな簡単に

得られるもんじゃねーだろ。」

「ジュン様は闘士だよ。」

メイが自慢げに言った。

「闘士?・・・え、まさかセジア闘士?

あ!ちょっと待て!ジュンって名前!

この前、闘技会を勝ち上がった近年最強闘士って

言われてる・・・まさか、あの不殺様!?」

「そーだよ!」

メイが自慢げに言う。

3人が目を丸くしてこっちを見る。

メイやめて?恥ずかしいから。

こんな、ゴブリンなんかに毒喰らってるのに

自慢も出来やしないでしょ?キツく縛っていた腕を

解きながら思う。その肩書きのお陰で、毒を

喰らった自分がちょっと恥ずかしくなった。

それから、3人の俺を見る視線がガラリと変わった。 

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