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宛先のない物語  作者: ナナイ/リル
9/27

ナナイ 9

今日は、昨年末から良く行い始めたゆうくんとのオフコラボ。視聴者たちはボク達が同じ家で過ごしていることを信じているらしく、誰がつけ始めたのか分からない『ナナイ家』というタグにはボクと親友のゆうくん、保護者兼兄のロキに幼馴染の蒼天楼カルマということになっている。ついでに、専務見習いとしてコネ入社みたいになっている(未成年)来栖も入れれば完璧だ。


後は、未だに人口も視聴者数も少なめなVTuberという業界が日の目を見る前からこちら側の業界に足を突っ込んでいたせいでいい感じに法に引っかからない程度に働かされている中学の頃の帰宅部くんたちを合わせるとボクに巻き込まれた人物のほぼ全員になるだろう。後は、ボクの二つ上でDrag-Althに仮社員として働いている阿部さやかさんとか、いつの間にか現れてはそのさやかさんの下で働いている葵ちゃんと龍太さん。ここ等辺も入れると、Drag-Althの内情は大体形どられることとなる。みんな、ヴァーチャルへの執着はすごいからなあ。


それで、ボク達はDrag-Althに所属こそしていないものの半ば所属みたいな感じになっている。売れているライバーが殆ど元絵師とか現絵師の現状のVTuberでは所属系のライバーはなかなか現れないものなのだよね。

しいて言えば、イア本人が言っていたこととして高2になった時に宝城イアという名前で多分初めてぐらいの他に何もしていない(w)ライバーとしてデビューするらしい。楽しみなところだ。


「...ってことで、どーも。明日から高校生になるので、慣れるまで配信できないだろうと思い。ゆうくんと一緒に配信することにした、リンでーす」

「画面から既に嫌な予感しかしていない、オルカだよー。...ねえナナイ、これってホントにあれ・・やるの?やめとこうよ...」

配信を開始すると同時に、そんないつもの口上を口にするボク達。ちなみに、ボク達とロキだけの配信では本名で呼び合うことにしている。

それと、優君がビビり散らかしているので少し発破をかけようかな?


「えー?ゆうくん、ボクが怖くないのにゆうくんは怖いのー?もしかしてー、ボクに抱きついたりなんかしないよねー?」

ニヤニヤ、と悪い笑みを浮かべてボクはボクの前にいるゆうくんを見る。コメントも流石にゆうくんに同情的な物が多いのかな...と思いきや。


*これがルナ虐か...ふぅ

*↑お巡りさんコイツです

*↑↑コイツお巡りさんです(同僚)


コメ欄では悪乗りが興じてルナ虐...ゆうくんオルカヨルナをいじめるようなコメントが大量に湧いていた。まあ、『ルナ様はリン様とくっつくので、いじめてはなりませんわ!』という、ゆうくんガチ恋勢と思しきコメントが流れてすぐ断ち切られるんだけども。


「今回もどーも、涼風ちゃん」

『いえいえ、リン様のためならいくらでも!』

...あれ、毎回思うけどゆうくんのガチ恋勢じゃないの?


「ふふふふふ、こうやって認知してもらえるだけでも推し活の甲斐があるってもんだよね...!」

最早おなじみの何処か。涼風というアカウントを使って周りを黙らせるその少女は、ここ数年で会社への就職、しかもその中での職も決まり上位路線まっしぐらという状態に。それでも、今の自分を創っているのはコミマで見たあの時のボクなのだ。単純に推しを推すその姿がロキに見初められて職を得た、なんて彼女は知る由もなかった。



「じゃあ、今日は黒猫やろっか?」

笑顔でゆうくんの頭をなでるボク。すると、ゆうくんは突如暴れ出した!...まあ、体形が体形なせいで、10センチくらい大きいボクが抱き締めたら大人しくなるんだけど。


「うぅ...身長差ェ...。」

「まあ、諦めて。身長が大きくなってもいい事ばっかじゃないよ?もともとスパダリ系だったボクが背が伸びたせいで男女に等しくモテる羽目になるから、その対処が大変だし...」

「にゃぁぁぁ!そう言うのはいいんだよ!それ、ただの自慢でしょ!」

「?いや、単純に苦労話を語っているだけなんだけど?」

なんだかちょっと嫌われて悲しい気分。


今回プレイする『黒猫』は、所謂ホラゲーに分類されるものだ。以前ボクがゆうくんと一緒にプレイしようとしたゲームで、今回は無理に押し切って配信することになった。

ゆうくんはまだビビり散らかしていたので、仕方なくボクの最終技を使うことに。

ボクは一瞬姿を消して、ナナイの姿を召還する。


「!!」

「...ママ、一緒に配信、しよ...?」

「うん!ようし、娘のために頑張るぞー!」

フッ、チョロい。


*こwれwはwひwどwいw

*これが、娘としての魅力を最大に利用する人間か...。

*でも「ゆう」も大概親馬鹿だよね


黒猫の大まかな概要は、あるさびれた洋館を舞台として、黒猫と呼ばれる異形の生命体から逃げつつ洋館から脱出すると言うもの。因みにいくつか分岐があって、難易度や進む分岐によって救える人数が変わったり、黒猫を世界に放出することも可能となる。因みに一昨日ボクもナナイとして配信してみたけど、大体友達4人が限界だった。それ以上は、どうあがこうともすぐに黒猫に捕まってしまって良くない。


「がんばれー、ママ!」

「うん!ナナイ、そこで見てて!」

言葉だけはかっこいい、イラストレーター...『ママ』のゆうくん。そんなゆうくんが、新しいルートを見つけるなんて...この時のボク達は、想いもしていなかった。

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