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宛先のない物語  作者: ナナイ/リル
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ナナイ 3

ボクたちが入るのは、義務教育期間一年目だから一年生だ。クルっち...来栖章(くるすあきら)と、女の子...宝城イアの二人はボクと同じ学級の4組だそうで、同じ教室に同じ担任教師(国語の教科担任でもあるらしい若い男)。まあ当たり前だけど。


今日はあくまでも入学式だけなので、その後にあった退屈な一時間弱を過ごすと、ボクたちは家に帰ることになったのだけど...


「あれ、ナナイが人と歩いてる。いやいや行くんじゃ無かったのかい?」

ロキがボクのことを見つけて話しかけてきた。まあ保護者ということになっているから仕方ないのだけど、後ろの二人にロキを見られてしまったのはまずい。特にイアなんて曰くがついている状態なのだから、あまり見せたくは無かった。


「...あれ?そっちにいるのはt「あ、初めまして!ナナイの家族ですか!?」...とk「ナナイのお家に遊びにいってもいいですか!?」...とくいt「わあ、ありがとうございます!じゃあ、みんな行くよ!」...もういいよ」

そう思って少し気を張って会話を見ていたけど、ロキが何か言おうとするたびにイアが被せるようにして話していた。

とくいてんって言おうとしていたように見えたけど、イアは何か特別な事情でもあるのかな?

そう思いながらも、ボクたちはゆっくり歩きながらボクたちの家まで歩いて行った。


「おー!広いねー!」

「...そりゃ良かったよ。あ、地下室に入ると機械類の放熱とか冷却の関係で脱水症状になるリスクが非常に高いから入らないこと。いいね?」

「はーい!」

なんということでしょう。朝に会った時はロキと同じような感覚がしてロキと接触させまいと思っていたイアが、今はボクたちの家でくつろいでいるではありませんか。


...うん。まあ、どうやら二人とも一回の探索は終わったらしい。めぼしいものなんてないからなあ...。

うずうずしていた二人を連れて、ボクは地下室へ向かった。


ロキの言いつけを守って下に行こうとしない二人にロキ特製擬似防護服を着させて、ボクたちは地下室の先に進む。

その先にはこの家の...もしかしたらこの世界で一番早い巨大ネットワークシステム、『Loki』があった。


「「......。」」

大きく口を開けて絶句している二人に、ボクは向き直る。

「これが、この家の一番すごいところ。ネットワークシステム、『Loki』だよ。これがあるおかげで二階にある機械類が使えるし、まだまだニマ動より弱いYour Tubeの中で由叉井(ゆきい)リンっていう名前での動画投稿もしてるわけだしね」

なんだかこの発言のせいでさらに驚かれたような気がする。



時は経ち、小学校も5年生の半ばへと進級した。

このくらいになると思春期を発動し始める男女が多くなっているけど、僕たちは意識しあうことなく今でもよく三人でつるんでいる。そのせいで、イアが好きらしい男子とかによく「機械オタども」と罵られるけど、それを言ったらイアもだろうというのは心のうちに収めておく。


当たり前のようにボクたちが集まる場所は周りより数段階インターネット環境が良くてインターネットツールもそろっていて、しかも広い我が家になっていた。某僕たち3人組の中の唯一の男子に「一個家にPC持ってっていいか?」と聞かれたけど、最近は日中家にいなくなっているロキに「持って帰ってもいいけど、碌に使えないどころかうちのシステム入ってないから待機電力だけでも一日で普通の家の一か月分ぐらいの電力消費量になるけどそれでも持っていくのかな?」と言われて諦めていた。


いつもの様に家に帰ろうとしていたボク達だけど、何やらちょっとざわついている。

まだ教科書類をランドセルにしまい終えていなかったからちらっと顔だけのぞかせるけど、ボクより10㎝以上大きくなって胸も出てきたイアが隣にいるせいで見えない。突っつくと、イアの手でボクの身体が窓際へと持っていかれる。その窓際から見えたのは...

『!御一行様がお見えになられたぞ!』


いつもPCを使っているけど視力は2以上を誇っている(前測ったところによると、5Ⅿ用で4.6)ボクの目が、どこかの誰かさんが提案したボク的に言うと『趣味の悪い服装』、いわゆる黒服を着て真っ黒いサングラスをかけたもやしみたいな男の人が、無線機みたいなものに何かを言うのが見えた。

そして、そんな服装を提案したどこかの誰かさんは、ボクを窓際に寄せた後当てつけの様に胸を当てていたけど振り返る寸前都合悪そうに後ろを向いていた。ちょっとイラついたので全力でつねったら、その後少し怒られた。


ロキがどんな力でかはわからないけど作り上げたヴァーチャル機器開発会社〈Drag-Alth〉の、特別仕様である社用車(要人用で、リムジンカーの車体はある程度の対弾性能を持つ)にボクたちは乗り込んでいた。

そして車で揺られることしばらく。僕たちは〈Drag-Alth〉の本社ビルへとやってきていた。


「取締役、連れてきました」

『あー、お疲れ。じゃあ、ここら辺で戻っていいよ』

ビルでしばらく上まで来た後、ボクたちは大きそうな部屋の前で止まった黒服(卜部(うらべ)さんというらしい)の言葉と返答で、目の前にいる部屋にいるのがロキだと理解した。


一応この〈Drag-Alth〉社は「葵」という人物が社長ということになっているけど、実際には葵という名前の社員は多分いなく、いてもただの名前の相似だという。本当の社長はロキで、連れてこられている最中の会話のおかげでロキがこちらでしか話せない何かを言おうとしているのがわかっているので心の準備だけは済ませておいた。


そして、扉を開ける。

「ああ、三人とも揃ってたんだね。まあ、ちょうどいいか。じゃあ、そろそろ計画の方も進めさせてもらうよ」

中には、扉を開けるなりそんなことを言うロキと...男の子?がいた。

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[一言] 「来栖君は必ずカウンセリングを受けるようにね。」
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