ナナイ 22
自作歌詞作ってみちゃ。ということで、見たくないよ(^`・ω・´^)って人は飛ばしてください。どうせメインな所ではライブ終わるぐらいですしおすし。
「うぅ...!」
ボクを怖がった様子で見るさやかちゃんに、ボクは恨みがましい目である部分を見る。
「...天は二物を与えずって、ほんといい言葉だよね」
再びさやかちゃんに襲い掛かろうとしたボクを、モノカンの皆が羽交い絞めにするように止めてくる。
「放せー!ボクは今、そこにいる属性過多のエンジニアを倒さないと負けた気分になるんだよー!」
ボクは今、きっとボクたちの思いを体現している。そりゃそうだよね、ボク達はそれがないだけで大きな劣等感とそれへの大きな執着を見せるのだ。...あー、でも悠生は今のぐらいの方が良いのかな...?
「...どうしたの?リル」
「なんかあほらしくなったからやめる。これ以上配信を遅らせるって言うのも良くないしね」
突然意見を変えたボクに、さやかちゃんは訝し気な視線を向けてきていたものの、それでもボクが何もしようとしないとみると持ち場に戻っていった。
まあ怪しいとは思うけどね、これは一種の惚れた弱みと言うものだよ。これも一種の、持つ者と持たざる者の差なのだろうけどね。
ボクは顔には出さないものの勝ち誇った気分に浸り、今は突然主張を変えたボクに驚いているだろう悠生を想って少しだけ口元が緩んでしまう。
それはカメラには映らない程度だとはいえ、ちょっとエンカちゃんには変に思われたようだ。それでも口パクとはいえ『いつも通り変な子だよね』と読めるボクにとっては不服そのものだったけど。
「『――狼月に、朽木は土に還る』」
あの後は特に何を起こすと言うわけでもなく、『werwolf』を歌いきる。いままでは振付などなかったのだけど、今回の振り付けは優秀だと思われ。しかもその振り付けを考えてくれたのは涼で、本人曰く「昔は自分でこういうの考えてやったこともあったんだよねー。作詞作曲もお任せあれ!」だそう。後の方も今ではしっかりと納得している。
「ってことでね?今回の歌も歌いきったってことで、グッズ紹介に行きましょう!てことで、画像どーん」
そんなボクの掛け声とともに、多分画面の左半分ぐらいに画像が出る。ライブ画面を確認している娘からハンドサインでオーケーを貰うと、ボクは身体をカメラの右側に向けながら、実際には無い左側を指さしながら話し始める。
「ってことで、ボクの3周年記念3Dライブグッズをグッズ化してまーす!商品化してもらったのはライバーでグッズを自主製作していない人、後は絵師の皆さんもおなじみの、ドラグアルス本社から専務が派遣されれば初のVの事務所となることが確定している『Scalerock』からで、今の商品製作担当はロキなので、無理やり脅して色々作ってもらったよー!ひとつめどーん」
画面に、恐らくはぬいが映ったはずなのでボクは言葉を紡ぐ。
「一個目は、ボクのぬい。今回のぬいは特別仕様でね?なんと...」
そして、リアルカメラにしてもらって裏側の場所に撮ってもらう。
「こんなふうに、動きまーす!ぬいっていうより、ぬいのガワを持った操縦ロボットみたいな感じだね。これ、首の裏側に充電できるところがあって、そこにスマホ用の充電器をぶっさして充電する感じ。やってみた感じ、動かしている状態だとフル充電で30分稼働して、2時間で充電が終わる感じ。サイズは高さ40センチ、幅12センチ、横14センチ。お値段3000円かっこ税抜き」
結構ボクのお気に入りのぬいだったりする。そしてもう一個の特徴。
「これねー、なかがある程度固体のものだから綿が崩れにくいんだよねー。優秀な抱き枕で、ボクに依存してる悠生がコミマにだすの用意してたりする時に抱き締めたりしてるけど、中々崩れない。試作品として家に来てからそこそこ使ってるけど、まだまだ新品みたいな感じ。まあ、ぬいに嫉妬した悠生が投げるからちょっと動作不良だけど、どうせ最初から充電ないし」
コメントが色々埋まってるけど、気にしない気にしない。
「ってことで、二つ目!今回の記念アクスタでーす」
出しているのは、今回バージョンとして作ってもらったボクのアクリルスタンド。
「バックストリートな感じで、ネオンが光るタイプと光ってないタイプの二種類がありまーす。各2500円かっこ税抜き」
「...そして最後!今回のボイスだね。夏休み前の時に歌枠したでしょ?その後に、悠生に『Sな感じのボイス売ったら絶対いいよ!というか、僕がいっぱい買うから!』って熱烈な感じで押してきてね?それで、出すことになったんだ。これは500円税抜き。で、全部セットな物も売っていて、その場合は100円引きで8400円税抜き。それと、全部買ってくれた人には先着だと直筆、後は箔押しでサインがあって、それと一緒に特典ボイスが入っている感じね。何がとは言わないけど、先着だと特別ボイスがもう一個付くから、今日の日が変わる瞬間にスケイルロックに雪崩れ込んでみてね。じゃあ、宣伝終わり。最後はこの歌、言ってみよー!『狼wrote-rain』!」
ーーー
銀瞳の狼は 月に吠えて空を見る
その目に映る数多の星は 人を魅せて輝く
生命と死は 鎌に刈り取られ
技術は 自らを滅ぼす矛となる
戯神は 予見し離れ行くもの 二神は嘲り驕り行く
双翼は 新たな戯神を生み そして塵芥に滅される
偽戯は記憶をなくし 人の世を渡る者となり
朽ち行く命は光を見つけ その先で名を探す人となる
人に紛れるその姿は 双翼を宿した者に無し
ただ人を模し 戯神と過ごす それが彼の者の生きた道
電子に名を探すその神は やがて夢で誠を見る
孤高の狼となるそれは 電子で狼王と為る者
...光に流るる昏星の 輝きはいつか消え果る
明星は光増し弾け散り いつか星を見る者は消える
孤狼は吠える ただ果てにある未来を見るために
いつかの約束を ただ 果たすために...
ーーー
「...今回の歌、『狼wrote-rain』。このライブ限定の歌で、このライブもアーカイブは残さないから、これを見てくれた人だけの歌になるね。それと、今回はこれとは別のMVを出すから、それはそれで見てみてね。それは3Dの感じで踊ったり歌ったりしてるから。じゃ、またねー!」
ボクは、カメラの方に手を振り...そして配信が切れたというサインが出たので、「ふぅ~」と一息つく。
「みんな、お疲れさまー!今日は色々頑張ってもらったけど、今度やる悠生のライブの時はもう少し楽になると思うから、それも頑張ろうね!その時は、ボクは悠生の妨げにならない様に出れないけどさ?...まあ、後は本人次第かな?じゃあ、お疲れさまー」
そういって、ボクは飛び跳ねる。どうせここは地下だし、見られても困るものではない。それに、さっきの歌の中で双翼とか言ったし、しかもあの歌自体ボクの正体のにおわせみたいなものだし。ただ...更にボクに依存するかもなので、悠生には見せられないけど。
...それが、後でツイーターをにぎわすとは思っていないボクなのであった。




