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宛先のない物語  作者: ナナイ/リル
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ナナイ 21

準備画面。いつもの様に、歌が流れるのを確認してもらってから、ボクはライブ開始を押した。

そして、舞台準備。出てきているステージは完璧、バグもない。立ち絵のすり抜けもないし、ライブの動作異常も見られない。ボクは、少しにやつきながら『モノカン』のみんなに親指を立てた。

そして、そろそろ準備画面の歌も明けるころ。ボクは、ステージ上で体を固定させる。


「『光り輝る闇を照らす力果てる砕け堕ちる闇に染まる終わりオワル月に融けていく――』」

序曲を口元のヘッドセットマイクに口ずさみながら、踊り始めた『それ』。ボクの目の前にあるウェブカメラはボクを映し、視聴者はきっとボクの全体の姿が映るのと共に、下の方に『To Started Song』という曲名と共に作詞作曲者(双方ボク)が書かれている事だろう。


―――3Dライブ。

今まで、一度も行われてこなかったその試み。それは、単純な技術不足としてDrag-Alth含めすべてのヴァーチャル系企業がなしてこなかったもの。

でも、まあ...それは『Drag-Alth』単体でのことだ。


...もし、仮に。

ウェブカメラという特性を熟知し、ステージの完全な独立を果たせるほどの大規模なヴァーチャル空間の作成をできて、しかもそれを制御できるほどの処理能力を持ったコンピュータを所持したグループに、技術不足とはいえどもう少しで完成させる事が出来るDrag-Althが技術を提供したら?


その答えが、これ。

きっと、今これを見ているみんなは驚愕に口を開いている事だろう。そしてそれは、この場に呼んでいない悠生も同様な筈だ。悠生がこれを見てアホ顔を晒していると思うと、どうしても口元が綻んでしまう。


苦もなくすべてが始まった歌を歌いきると、ボクはカメラを向き直った。

「どうも人間さん方、こんばんは!今回は、人類史上初の試みとなる完全3Dライブ、『Réform werwolf』に来てくれて、本当にありがとう!あ、えっと、サポーテッド、バイ、モノリスカンパニー、アンド、ドラグアルス!えへへ」


ちょっとポンコツな点を見せて、目の前にいたモノカン所属ライバー『三日月エンカ』に苦笑された音は配信には入っていないものの、彼等のおかげでできているこのライブのために語っておかなければならないよね。


「今回のライブは、ボクが盟主となって構成されるV企業設立に向けて動く全員Vライバーの同人企業モノリスカンパニーの皆が、ドラグアルス代表専務にして前の総取、そしてボクと悠生の保護者でもあるロキを脅はk...もとい話し合いして技術提供確約、そしてモノカンにいる唯一の事務員にしてこのヴァーチャル空間のプログラム組んでくれた、僕より二つ年上で現在高3の阿部さやかちゃんが作ったこのヴァーチャル空間。そのすべてが揃わなきゃ、こんなふうにライブすることもできなかったんだよ?あ、3Dになっているのはボクの所のPCの処理に物言わせているだけね。これ、あんまり負担かけるとサーバー堕ちるかもだから、フリフリは出来ないんだよね。やり方によってはトラッキング、とか何とかいう手段でできるらしいんだけど、ボクたちの所はウェブカメラのスペック上げで対応したからね。あ、でも多分来週悠生にやらせるのはフルトラッキング機材で対応させるから、ボクみたいに動けないだろうけど...それはごめんねー?」


コメントは少しづつ流れ始めて、そして爆速で流れ始める。

*3Dライブスゲー!

*これは歴史に残るわ。俺が残す!

*『Yolna-Olkach.』ゑ!?こんなのできないよ!?...まあでも、リルがそれで捨てないでくれるなら...。

*やっぱヨルさんリルに依存しててピポックテ草久しぶりに生えたわ

*おい、月民の我々に言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!それと、人間さんのワイとしてはピポックテ草また枯らしてやりてーわ

*いや薬草

...なぁんかボクに関係ないところで盛り上がっている気がしないでもないけど、気のせいだと信じるからね?


「...それより、みてよこのステージ!さっきも言ったみたいに、ドラグアルス本社がある融煉市の高校にいるさやかちゃんなんだけど、このステージはその帰宅部にいるさやかちゃんが作ってくれたんだよ!いやあ、ドラグアルスがうちの娘引き抜くのも時間の問題かねえ。まあ、ロキに言ってなんかやべえ二人の所に付けてもらおうっと」

あ、ちょっと遠くにいたさやかちゃんが裏切られたみたいな顔で見てきた。...まあ、見ないようにしておこっと。


「まあ、さやかちゃんが絵師をしていると言う事実もばらしつつ...ってさやかちゃん殴りかからないで!いてっ...ゴメン、悪かったと思ってるから!ボクの胸を集中攻撃しないで!...クソが、自分がある方だからって調子に乗りやがって...!」

いや、ないものの妬みだとは分かってるんだけどね?それでも、一応は黒塗りの姿で出ていると思しきさやかちゃんの胸を見ると、「半分以上よこしやがれクソが」と思うわけですよ。


「...じゃあ、その背を20㎝くれたら考えなくもないけど?無理でしょ?それが持つ者と持たざる者の差ってわけだよ」

さっきのが口の出ていたらしい。...でもね?それは言っちゃダメな、いわゆる「禁句」だよ...?


「そっちはいいじゃねえか!そっちはちびでも巨乳だから巨乳ロリって言う成分があるんだよ!こちとら背はあるのに胸がないせいで、高校じゃ王子様扱いされて男も女もよってきちまうんだよ!お前も放課後に中庭視るから分かるだろうが!あの死屍累々とした山見て、ボクは毎回あれが欲しいって思ってんだよぉ!」

ボクが、融煉高校にいると言う事を結果的にさらしてしまったと気付くには、相当な時間が必要だった。

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