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宛先のない物語  作者: ナナイ/リル
14/27

ナナイ 14

今日は高校の入学式。全くもって寝不足なので瞼は重いけど、別に起きれない、とか動けないってほどではない。むしろ、先週末の『Loki』メンテナンスで参-弐型に改良した時は宇宙服もどきで一日半も拘束されたのだ、それよりは防護服も疲労もないので問題なし、ヨシッ!

ゆうくんはまだ寝ているけど、もう少しで起こさなきゃならない。と言っても、場所は勝手知ったる融煉学園なのだけど。


融煉学園は、一種の学園都市を築いている大きな学園群の総称だ。

元々は融炉学園と煉破学園の二つがあったのだけど、双方の生徒数減少と校舎自体の老朽化に伴って双方が合併、新たな学園を築いたのが始まりになる。

最初は高等学校のみだったけど、双方が結びついたことによる資金源の増加によって私立大学を設立、それによって人が集まり義務教育にかかる人員も収集可能となった結果、融煉市として独立するまでに至った。


結果、できた経緯からこの市は学園都市と呼ばれるようになった。

因みに、海も山も動物園も水族館も港もショッピングモールもアウトレットパークもあるので基本的にこの地だけで完結する。

ただし、山と言っても北部にある方の三剣峰みつるぎがみねはここ等辺に火山は無くプレートもないのに意味不明に3000Ⅿ級の山になっている。しかも結構急なので、登山で亡くなった人は数知れず。いつからか、『霊峰』と呼ばれるようになった。


そして、そこには『レン』という神がいるとされていて、それが学園の名前にもかかっていることから融煉市の市章には山が描かれている。とかなんとかいうのが、この市の概要。

ゆうくんの頬を伸ばしながら、誰に向けているのか分からない感情を抱いた。というか、そんな人を殺す神ならそこにいる神はタナトスなのでは?というか、レンって誰だよ。昔イアにそんな事を聞いた気もしないでもないけど、何と言われたかは覚えていない。なんだかはぐらかされたような気がしないでもないけど、その辺は定かではない。


「んにゅ...。」

ボクに頬を抓られてようやく目覚めてきたのか、ゆうくんが欠伸みたいな声を上げた。でも再び眠りに就こうとしたので、デコピンをする。それで本格的に目が覚めたのだろうか、「むやあ...おはよ」というふにゃふにゃボイスと共にボクに挨拶してきた。それが可愛くて撫でようとすると、「や!」と手を振り払われた。寝不足のボクにはなかなか効く仕置きだと思う。


身支度を済ませていくけど、どうせ制服はロキが持っているのだ。制服がロキの手によって運ばれてくるのを待つしかないボクたちは、互いに大きな欠伸をしながらロキが起きてくるのを待つことにした。

「ああ、おはよう二人とも。意外と両方とも眠そうだね。昨日の話がよっぽど堪えた...ってわけでもなさそうか。悠生は単純に眠そうだし、ナナイ...ああいや、たしかリルって呼べって僕が言ったばっかか。リルは単純にイラストを描いて寝不足になっただけだって顔に書いてあるから聞かないよ」

と、ちょうどいいタイミングでロキが男女両方の制服を持ってきて降りてきた。...にしても、なんだか女子用の制服はボクには少し小さい気がしないでもないけど...?


ゆうくんも同じことを思ったのか、「この男子用の制服、僕には少し大きい気がするんだけど?」とロキに訪ねていた。しかしロキは、「ああ、それは単純な仕様だよ。そもそもとして、着る制服が男子用は男子、女子用は女子なんて誰が決めたのかな?むしろ、君たちだと逆の方が似合ってるよ」と抜かした。...ええ?



「お、おかしいよ!なんで僕が女子用の制服を着ないといけないの!?」

ゆうくんが、早速噛み付いた。茫然としていた僕は続くことが出来なかったので、漠然とロキの方を見るだけにとどめた。

「いやあ、リルが男子の制服着た方が絶対に合うしね。それに、悠生が女子制服で付いてくる姿...率は見たくないのかな?」


ゆうくんが、ボクにまるで「もちろん、分かってるよね?」と言いたげなアイコンタクトを送ってきた。ボクは、それに大きくうなずいて...。

「うん!勿論、ゆうくんが可愛い姿なのはみたいに決まってるじゃないか!」

「リルぅぅぅぅぅっ!?」

当たり前ながら、裏切った。いやあ、勿論ゆうくんの恥じらう姿が視たい方が強いに決まってるんだよなあ!?


凄い形相でにらまれながら、ボクは男子用の制服を着た。どうせ胸なんて少しぐらいはあろうがなかろうが同じような物なんで。...あれ、言ってて悲しくなってきた。涙でそう。

心の中で泣いているのはともかくとして、サイズはボクにぴったりだった。というか、これ専用に作ったんじゃないかとも思えるぐらいにはいい感じのサイズになっている。有り難う、ロキと数少なくお礼を言いたくなった。


「...」

ボクの姿を見てか、ゆうくんも渋々ながらに女子用の制服に着替えた。結論から言うと、すごく似合っていた。ゆうくんは長足なので膝上ぐらいになってるスカートに、多少の改造が許されていると言うことで元の空色のものに星みたいなものを付けたスカーフみたいなやつ。ブレザーを着ている姿は、胸がない女子高生に...いや、どっちかというと中学生に見えるな、これ。

「...リル、変なこと考えてない?」

「いや、なにもー?」

ゆうくんの追及から逃れるために、ボクは少し早めに家を出た。

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