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香耶と不思議な物語  作者: みお
8/10

ガラ!

廊下をまっすぐ走る。

ガッ、ドタ!先頭を走っていたりくとが何かにつまずいた。

「「いってぇ。」」

「ちょっと大丈夫?」

梨乃が手を差し伸べる。

「いってぇな。どこ見て走ってるんだよ。廊下は走るなって言われなかったのかよ。」

「「「「「「「すみません!!!」」」」」」」

びっくりして謝る。

「え?」

「どこ?」

「誰?」

声の主を探すけれど、目の前にうずくまっているのは、柴犬?である。

「わんちゃん?」

「犬?」

「だーれが犬だよ。久しぶりに出てみたら、相変わらずガキは失礼だな。」

犬は背を向けたままどこかにいってしまった。

一瞬見えた顔は人間のような気がした。


「見てない!」

私たちは見ていないふりをした。

「しょ、職員室行こうか。」

「うん。」

わたしたちは、職員室にむかった。


ガラっ

「しつれいします」

みんな小声になってしまう。そこには松田先生がいた。やっぱり八重歯が光っている。

「おう!どうしたんだ。」

「あのー。学校がなんか変なんです。」

「行きたい場所に行けないんです。」

「何言ってるんだ?」

「大玉が追いかけてきたんです。」

「分数のテストを受けさせられたんです。」

「校歌を歌わされたんです。」

「はははっ。先生をからかおうとしても無駄だぞ。」

「嘘じゃないんです。」

「何言ってるんだ。もう、先生も帰るぞ!帰れ!帰れ!」

「帰れるなら帰ります!」


ガラ

奥のドアが開いた。中からちょっと小柄な優しそうな先生がでてきた。

「松田先生、まだいたのかい?」

「校長先生、この子たちが変なこと言って帰してくれないんですよー」

「ははは、この子たちは僕が相手するから、君は帰りなさい。」

「いいんですか?じゃあよろしくお願いします。お先に失礼します。」

「え?待って!おいてかないで!」

「まあまあ、みんなこっちにおいで。お菓子でも食べようじゃないか。みんなが卒業する時には、校長室で給食を食べることにしているんだ。ちょっと早めに入れてあげるよ。」

「え?ちょっと力つよっ」

私たちは校長室に引きずり込まれた。


校長室には、たくさんのおじさんやおばさんの写真が飾ってある。

「この写真はね、代々の校長先生の写真だよ。」

壁には、150人ぐらいの子供たちが集合している写真もあった。

「これはね、この学校が建てられた時の写真なんだ。この学校はね、みんなが羽ばたけるようにと鳥の形なんだ。」

「鳥っていうけどさ、羽片方ないじゃん。」

りくとが突っ込む。

「そうなんだよ。建てたときは、すぐに子供たちが増えて、すぐに鳥の形になるはずだったのに。そうやってデザインしたんだ。初代校長がね。」

校長先生はニコニコしているが、なんだか笑顔がさみしそうだ。

私と絆以外の5人は不思議そうな顔してる。

「ねえ、おじさん、誰?」

「おいっ」

「りくと!」

つかさくんと彰斗が急いでりくとの口をふさごうとする。

隣にいた、綾が、上を見上げて固まった。

「ねえ、ねえ。あれ見て。」

うえを見ると、初代校長の写真には、目の前のおじさんがうつっていた。


「鳥の形になるようにデザインしたのになあ。いつまでも飛べないんだ。だって、羽が片方しかないからね。」


「ぎゃー!」

私たちは、校長室を飛び出した。


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