7
教室を出ると中庭が見えた。やっぱり気になって真ん中の木を見てしまう。
「あ。人」
また木の上に人がいる。今度は手を振っている。なんだろう。何か言いたいのかな。
窓の方に近づく。
「香耶ちゃん?」
つかさに呼ばれてふと意識がそれた瞬間、木の上の人は見えなくなっていた。
「どうする?」
「とりあえず教室行く?」
「そうだね。ちょうど3階だし。」
わたしたちは、5年1組の教室に向かうことにした。
バン!
廊下を曲がって5年1組の教室に向かう途中のドアが開いた。
びくっとする。
彰斗と綾がいた。
「綾ー!どこにいたの?」
「梨乃!ここで分数の問題と解かされてたよー!」
「何それ!」
「香耶!」
彰斗が心配そうに近づいてきた。
「大丈夫だった?」
「うん。みんなと一緒にいたから。」
「よかった。」
「とりあえず5の1に向かおうと思うんだけど、」
つかさが彰斗に言った。
「そうだな。まずはホームに行こう!おい!絆も行こうぜ!」
「きずな?」
「二学期から転入するらしいぞ。」
「香耶ちゃんのほかにもいるんだ。」
「よろしくー!」
みんな口々に挨拶する。
とてもきれいな男の子だった。きれいすぎてびっくりしてしまう。
あれ?どこかで見たような。でも思い出せないな。
教室は、鳥の羽の部分にあるみたいだ。ここから、職員室が見える。外は暗くなっていた。
「え?今何時?」
「昼間でしょ?」
「暗いのおかしくない?」
みんな窓に近づく。教室電気がいきなりついた。
「起立!」
ガタガタと椅子を引く音がする。
「まっまた?」
「また?」
「さっきもこれで授業が始まったの。」
綾が嫌そうな顔してる。一番後ろの列の席が4つその前が3つ開いている。
「くっそう!」
彰斗が席に向かう。みんなも諦めて席に向かう。
「礼!着席!」
授業が始まった。今回は理科のようだ。
植物の茎の断面図が黒板に書かれていく。
「何するの?」
机の中にはノートが入っていた。
「ノートをとれってことか!」
私たちは、黒板をうつすことにした。
彰斗が一番早くうつした。ノートに見ました。というハンコが押される。
つかさが、あやが、わたしが、梨乃が次々と完成する。
「再!っってなんだよ!」
「もう一度書けってことじゃない?」
りくとだけ再提出となったようだ。
りくとが書き終わったところで
「起立!礼!」
と掛け声が聞こえた。
「職員室!の明かりがついた!」
「あれ!松田じゃない?」
「松田!助けて!」
職員室に向かって手を振るが気付かないようだ。
「職員室に行こう!」
わたしたちは教室を飛び出した。