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完結が目標です。
4人でそっと階段を降りる。
「1、2、3、4、」
りくとが階段を数えだす。
「5、6、7、8」
「梨乃、どうせなら彰斗君と一緒がよかったなー。」
「え?彰斗?」
梨乃ちゃんは彰斗のことが好きなのかな。
「あ!もしかして、香耶ちゃんも彰斗くんのこと?」
「え?彰斗はいとこだよ?」
むしろ兄弟みたいな関係だと思う。
「そうなんだ。彰斗君、かっこいいよね。足早いし、勉強できるし。」
「そう?かな?かっこいいとか考えたことないや。」
「えー!そうなの?身近過ぎるとそうなるのかな?」
「かなあ?」
「28、29、30、31、」
ん?なんか階段長くない?
「32、33、」
「この学校、階段長いんだね。」
「いや、こんなに階段続くわけないよ。」
わたしの疑問につかさが答えた。
「え?」
「りくと!数えないで!」
「えーなんでだよ。」
「40、41、42」
「りくと!」
「りくとくん!」
みんなで止めようとする。
「43、44」
そう言った瞬間、世界がぐるっと回った。
ガタ!ゴト!
「痛っ!」
今回は気を失わなかったみたいだ。
「ここは?」
階段状になった部屋に小さな机がついた椅子がたくさんある。
一番下の広いスペースには、グランドピアノがおいてある。
「こういうとこってベートーベンとかショパンの目が動いたりするんだろ?」
りくとの発言でびくっとする。
「でもうちの学校、そういう写真飾ってないからさ。」
「りくと、変なことばっかり言わないで。」
「こないだ、テレビの映画で見たんだって。小学生が旧校舎閉じ込められるやつ。」
「犯罪?」
「違うよ!怖い話?すげえ面白かったんだよ!俺ああいう冒険してみたい!」
わたしはもうしたくないよ。帰りたいよ。
「普通に玄関からは出れなくて、みんなで頑張って出口探すんだぜ!」
「へー、、、」
さっきからりくとくんの発言で状況が悪化しているような気がする。
「でも、音楽室は、写真の目玉が動くとかだから、うちの学校だと安心だな。」
「古くないしね。」
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
音楽発表会などで、お辞儀を促すような音がする。
「きゃっ」
「え?」
ジャーン!ジャーン!ジャーン!
まただ。ピアノの方を見たけれど、誰も弾いていない。
「でっ!出よう!」
「いやー!」
梨乃とりくとがドアの方に駆けていく。
「ほら、香耶ちゃんも!」
つかさが手を引っ張って起こしてくれた。
「開かない!このドア開かないよ!!」
「開けー!!」
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
ガチャ!1列目の4つの席の机が動いた。
「ね…席につけってこと?」
「授業受けるの?」
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
どんどん音が大きくなっている。
「しゃあない!受けてやろう!」
つかさが一番奥の席に向かった。わたしも着いていく。
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
「わかったよ!受ければいいんでしょ?」
梨乃が席についた。りくとだけが扉の前にいる。
「りくと!」
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
「りくと!はやく!」
「うー。」
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
「わかったよ!」
りくとが席に着いた。
ジャーン!
今度は何かを待っている。
「立てってこと?」
「そうみたい。」
私たちは席から立った。
ジャーン!
今度はお辞儀だ。
ジャーン!
体を起こす。
あっていたみたいだ。
タンタカタカタカ タンタカタカタカ
なんか軽快な音楽が始まった。
「校歌?」
梨乃がつぶやく。
「校歌だな。」
つかさも言う。
「歌えってこと?」
「わたし、知らない。」
「とりあえず、3人で歌うよ。歌詞は前にあるから。」
3人はやけくそのように校歌を歌った。
終わった。
タンタカタカタカ タンタカタカタカ
「歌ったじゃん!」
梨乃が叫ぶ!
「っ!もう一回いくぞ!」
つかさがまた歌いだす。二人も歌う。
「たっかっらっかに~♪」
「~の丘に♪」
2回目が終わった。
タンタカタカタカ タンタカタカタカ
「また!?」
「まさか、わたしも?」
わたしまだ転入してないんだけど!
「頑張って合わせろ!」
「香耶ちゃん頑張って!」
「お願い!」
「~の丘に♪」
もう覚えたよ。転入する前に校歌覚えちゃったよ。5回も歌わすんだもん。
ジャーン! ジャーン! ジャーン!
ガラっ!
扉が開いた。授業が終わったようだ。
ピアノの鍵盤のふたを閉める音がする。
音楽の先生?の気が変わらないうちに私たちは音楽室の外にでた。