5
目標は完結です。よろしくお願いいたします。
ここは?どこ?気を失っていたみたいだ。気を失うなんて経験初めてだ。ここはどこ?パソコンがたくさんある部屋だ。さっきまで外にいたはずなのに。空気がむわっとしている。
どうしよう。彰斗は?みんなは?
とりあえず体を起こすと、少し離れたところに、日に焼けた肌をした男の子が倒れている。
「つかさくん?」
近づいてみようかな。
つかさに近づいて、肩を揺らしてみた。
「ねえ、つかさくん。起きて。」
「ん?」
つかさくんはすぐに起きてくれた。
「あれ?ここは?コンピュータールーム?彰斗たちは?」
「わからない。起きたらここで。ほかの人はいなくて。」
「つかさくん、ここ知ってる?」
「うん。学校のコンピュータールーム」
「そうなんだ。」
「おれたち、外にいたよな。」
「うん。」
「だれかに連れてこられた?そんなわけないよな」
「よね。こんなところに連れてくるひとなんていないよね。」
思いつくことなんて何もない。いや、まさか。あの”封”って書いてあるのに開けたから。いやいや、そんな変なことが起こるはずがない。と思いながら、つかさくんをみると、
「いや、まさかな。」
と言っている。目が合った。はははっとふたり笑ってみる。もう高学年だ。そんな不思議な話あるわけない。
「とりあえず、ここから出てみるか。」
「そうだね。」
信じられないし、もし口に出して何かが起こったら嫌だ。とりあえず私たちはみんなを探しながら外に出ることにした。
ガラガラ
コンピュータールームを出ると、廊下だ。正面の部屋には、分厚いカーテンがかかっていて中が見えない。
とりあえず、下に降りようと、まっすぐ歩くことにした。中庭が見える。四角い中庭を囲むように廊下がある。中庭には大きな木が植わっている。大きな木に誰かが座っているような気がした。
「ねえ、つかさくん。あそこ」
つかさ君のTシャツの袖を引っ張った。
「ん?」
「あれ?ごめん。気のせいだったみたい。」
一瞬目を離したら、何もいなくなっていた。
「ギィヤーーーーー!!!!」
曲がり角からすごい勢いで、男の子と女の子が飛び出してきた。りくとと梨乃だ。
「「!?!?」」
わたしちはびっくりして固まった。
「逃げろ!」
「え?」「なに!?」
「「走れー!!!!」」
りくとがつかさを、梨乃が私の手を引っ張って走り出した。
「な、なに?」
「いいから!走って!」
後ろを見ると大玉が転がってくる。私たちは必死に走った。
何回か後ろを振り返る。そのたびに大玉が大きくなってきている気がする。
え、廊下、長くない?この学校こんなに広いの?
「ねえ、これ!どこまで!続くの!?」
「いつもは!こんなに!長くない!」
あんなに近くにあったはずの階段が遠くに見える。
「階段!階段が見えたら!走ったら!左!」
「わかった!」
つかさ君の指示に従って、懸命に走る。階段?まだ?
「階段だ!がんばれ!」
「せーの!跳べ!」
私たちは、左によって急に曲がった。
ドカン!
そっと廊下を覗くと行き止まりの壁から煙が出ていた。
「あれ?大玉は?」
大玉は消えていた。
「なにここ!学校じゃないの!?」
梨乃がぷるぷる震えている。
「今の何?」
つかさが、りくとに尋ねている。
「わかんない。おれら、気付いたら倉庫にいて、運動会の備品とかいっぱいだから、それで遊ぼうとしたら」
「りくとが変なもの触るから!」
「いやー、つい。」
「そもそも、りくとのせいで!」
「えーおれのせい?」
「そうよ!昔っからりくとがなんかするたびに梨乃は巻き込まれてる!また絶対りくとのせいよ!」
梨乃がりくとに文句を言っているのを見ていると、つかさが
「こいつら家となりなんだ」
って教えてくれた。いわゆる幼馴染というやつなのかな。
「まあまあ、とりあえず、彰斗と向井さがして、外に出よう。りくとを怒るのはそのあとででも」
つかさが梨乃をなだめて、私たちは階段を降りることにした。