第5話 男のロマンと彼女に愛の告白。
五話目、きついでござる。
船内の設備を一新して、次の買い物はウェポンショップだ。
「レーザーガンが看板になってんのはある意味定番といえば定番か?」
「レーザーガンを使う人はいるけど、レーザーソードを使う人はまだ見たことないよ、トオ君。」
「ワンドだってまだ・・・って魔法系のアーツは素質が必要なんだっけ?」
「うん、使える人と使えない人がいるはず・・・エルフの人は魔法系のアーツを使えるみたい。」
「そうなんだな。」
話を終わらせ中に入ると、
「店頭の商品がグレネードって・・・」
「商売は爆発なのかな?」
それから奥の方に行って中の商品を見る。
「・・・何て言うか、レーザーガンがメインなんだな?でもこれだとクリーチャーとか出た時どうしようもないんじゃ・・・」
「おい、ここは女連れで乳繰りあう場所じゃねえ、他所に行きな。」
「心配しなくても、俺も彼女も傭兵だよ。彼女の身を守る武器を見に来たが、レーザーガンがメインなのか?」
「・・・さっきクリーチャーがどうとか言っていたな・・・そうだ、それ以上の武器は危険だからな、売る場合は傭兵ギルドのギルド証が必要になる。」
「・・・これか?」
「本当に傭兵なんだな、やっぱりその腰に着いてんのはレーザーガンか、もう片方はレーザーソードか?」
「あぁ、これが一番携帯しやすいんだ。」
「確かにコロニーの中を散歩すんならその組み合わせだな。そっちの姉ちゃんもレーザーガンにワンドか?魔法系のアーツを使えんのか?」
「あ、はい、使えます。」
「なるほど、人は見かけによらねえな・・・ついてこい、傭兵用の装備はこっちだ。」
そう言った店主の後をついて行くと、
「うわぁ、凄い・・・」
「おぉ~!!」
「ここがレーザーランチャー以上の武器が置いてある傭兵用の装備エリアだ。」
そこには所狭しと様々な武器が置いてあった。
「これ、パワードギア用の武器か?」
「おう、勿論置いてあるぜ?」
「トオ君の目が少年のようにキラキラしてる・・・」
「パワードギアの武器は三種類くらいしかないからな、射撃武器がもう少し欲しいと思っていたんだ!」
「三種類は少し少ないな、何を置いてあるんだ?」
「一個は、バスターキャノンだな。宇宙船に風穴を空けれるやつ。二個目が大型クリーチャー用のバスターソードだ。防腐処置をしてあるやつだけど、狭いところだと振り回せないからな自動的にそれ用になってるんだよな。最後の三個目が、クラッシュナックルていう打撃武器だ、威力はとにかく凄いんだけど・・・クリーチャーも相手のパワードギアも一撃で粉砕するんだけど、とにかく射程が短いからサブの射撃武器がどうしても欲しいんだよ!」
俺がそう言うと、
「随分と色物を集めた物だな、まぁそれがあればどうにかなるかもしれないが射撃武器はあった方がいいと思うぜ?」
「だよなぁ~!となると、アームキャノンがベストか?クラッシュナックルの攻撃力は魅力的だからそれを生かせる方向で・・・」
「同じアームキャノンでも、マシンガンタイプやライフルタイプ、ランチャータイプもあるからしっかりと考えな。」
そう言われた俺は、とにかく悩んだ。
「お~い?トオ君~?」
「こういうときの男は声かけても無駄だよ、コーヒーでも飲むかい?」
「・・・じゃあ、お願いします、お砂糖とミルク多めで。」
俺は他にもパワードギアのパーツが無いか見てみると、
「こ、これはジェットモジュール!?フライトモジュールもある!?」
「おいおい、お前さんこんな色物を使う気か?確かにスピードは凄いが負荷が半端じゃねえぞ?」
「こ、こいつを買ったぁ!」
「ま、マジか・・・とりあえず毎度あり、船に送って置けばいいのか?」
「あぁ、船にちゃんとメンテナンスチューニングキットが積んであるからな!」
「そ、そうかい・・・とりあえず全部で五十万ガネー以上買ったから、グレネードを各種1ダースずつつけてやるよ。」
そうして、ウェポンショップでの買い物を済ませた俺達は、アクセサリーショップに来ていた。
「カエは何色の宝石が好きなんだ?」
「え、ん~青か赤の宝石かな、ダイヤモンドとかも確かに綺麗なんだけど、そこまで趣味じゃないかな。」
「サファイアとかアクアマリンか、ルビーかガーネット系か・・・カエ、難しいよ・・・」
「ほら、トオ君はどれを選んでくれるのかな?」
「そもそも俺ら傭兵だから指輪より腕輪とかの方が良くないか?時計みたいに手首に着ける感じで・・・」
「指じゃなくて、手首・・・」
カエが自分の左手首を見ていると、店員が
「そう言った風習がある星もありますよ?」
「あるんですか!?」
「えぇ、男性が女性にプロポーズする際に指輪ではなく腕輪をあげる風習がありますね。」
「じゃあペアリングでこのルビーとサファイアの腕輪を俺と彼女に作っていただけますか?後、裏に俺と彼女の名前を刻んで欲しいのですが・・・」
「ルビーとサファイアの腕輪・・・デザインは回りに小さいルビーで、真ん中の大きい石をサファイアにして・・・」
「・・・今、彼女が言ったように石の配列を変えれますか?」
「はい、大丈夫ですよ。金額が二百万ガネーとなりますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です。」
そう言って俺は端末を翳す。
端末の情報を読み取り、支払いが完了した旨をこちらに伝え、10分で腕輪が出来ると伝える。
「そんなすぐに出来ちゃうんだ!」
そう言ってカエデのテンションは上がり上がって留まるところ知らない。
俺はカエデを後ろから抱き締めて落ち着ける。
「ふわぁ~!!」
が、逆効果だった・・・いつもこれで落ち着いてくれるのだが、今日は何をしても嬉しい日らしい。
先程から犬のように俺の頬っぺたにフレンチキスの雨を降らせている。
周りには似たようなカップルしかいない為、幸いそれほど恨まれる視線は感じていない。
店員が砂糖を吐きそうな顔をしてるくらいだ。
そんな風に待つ事10分、腕輪が出来たので受け取り、その場でプロポーズして腕輪を着けてあげる事になった。
「カエデ、この先の人生のパートナーとして俺と結婚してください。」
周りにいる方々に祝福されながら、カエデの腕に出来たばかりの腕輪を着ける。
「はい、私をあなたの妻にしてください!」
そう答えてくれたカエデが俺の腕にもう1つの腕輪を着けてくれた。
嬉し泣きをするカエデが落ち着くまで抱き締めてから、この日は買い物を切り上げて船に戻った。
夜、カエデのご奉仕が凄い積極的だった事をここに内密に報告しておく。
さて、その翌日は改めて新婚1日目として外に出ず、船の中でイチャイチャとしていた。
改装したばかりの内装をチェックする意味でも色々と使ってみた。
とりあえず、流石クッキングゴッド、通常のフードカートリッジでこんなご馳走が出てくるとは・・・ステーキが蕩けるし、スープはまろやかだし、ご飯はふかふかで、量も丁度良い量をチョイスしてくれる。
トレーニングルームの機能も上々でしっかりと効果が出ていると初日で感じるくらい凄い物だった。
流石、オーバーテクノロジー・・・
ベッドに関しては自動掃除機能がついており、朝起きてシャワーを浴びて出てくるともう掃除が終わっており、再び寝る事が出来る状況になっている。
ただ、やっぱりデカ過ぎじゃない?え、必要なの?なんで?
お風呂はカエデと一緒に入っても足を伸ばせる素晴らしい一言に尽きる。
広いお風呂は神である。
温度調整機能が違和感なく湯船の温度を維持する為、長風呂をする人には凄いありがたい機能なのだ。
そんな風に船内設備の新機能を楽しみ、次の日はまだ行ってない所に行ってみようと、出掛けようとしたら、
「見てみて!この化粧、この化粧台がやってくれたんだよ!」
「凄い可愛いな・・・普段から可愛いけど凄い技術だな。」
「でしょお~♪トオ君をもっとメロメロにしちゃうんだから~♡」
と言う、可愛いカエを抱き上げて、寝室に連れて行った俺は悪くないです。
午前中を潰してしまったが、午後から出掛けたのでセーフです。
珍しい食べ物を置いているという、輸入品ショップを訪れて、珍味なんかを試そうとしたら、何やら外が騒がしい。
「なんだろ?」
「・・・ちょっと様子を見に行くか?」
「うん、とりあえず、レーザーガンを構えとくね?」
俺から先に外を出て辺りを確認する。
「またあいつか・・・で、人質はこないだのエルフか・・・」
俺は状況を確認すると呆れてしまった。
「どうするの?」
「やつの武器はレーザーガンだけだが、場所が厄介だな・・・周りが壁に囲まれて死角が少ない。」
俺は上を見る。
「上から攻めるか・・・」
「え!?かなり高いよ?」
「白兵戦の感覚だとあれくらいなら問題ないよ・・・カエデはあのエルフの為に回復のアーツを用意しといてくれ。」
俺は五階立ての建物の上から奇襲を仕掛ける事にした。
俺は建物に入り、階段を使って屋上を目指す。
「あれが屋上か?」
扉から出ると周りに壁はなく、見渡しの良い空間が広がっていた。
「やつはこっちか・・・いた!」
カエデが用意出来てるようなので、俺は早速空中に躍り出た。
「空中機動のスキル取っておいて良かった・・・」
スキル名は、ファルコンダイブ。
文字通り空中からの強襲に使えるスキルで高い所から飛んでも地面に着地出来るモーションスキルの一つ。
レーザーソードを構えて、俺は人質を取る犯人の真上から強襲する。
文字通りに空中を駆ける俺に犯人が気づいた時には俺はもうレーザーソードを振るえる間合いにいた。
「終わりだ!」
やつが持つレーザーガンごと腕を鯰斬りにしてやり、犯人が腕を斬られた事を理解する前に、俺はエルフさんを拐って治安維持隊の方に走る。
俺がエルフさんを安全な場所まで拐ったとわかると、
「確保ー!!」
腕を斬り飛ばされた男を縛り上げた。
「よし、これで一件落着だな。」
「それはいいが、そろそろ下ろしてもらえないだろうか?」
「おっと、これは失礼・・・」
「いや、助かったよ。これで二回目だね?」
「別にただの成り行きだから気にしなくても良いのだが?」
「そうはいかないだろう?なんなら私を彼女の次にしてくれても良いと思っているのだが?」
「・・・トオ君がカッコいいのは分かりますが、私を除け者にするのはいただけませんね?」
ここでカエデが話に入ってきた。
「ふふ、正妻の君にご機嫌を伺う前にやはり惚れた男に一言いっておきたかったのよ?」
「うぅ、正妻だなんて・・・その気持ちも分かるのですがやはりこんなところで話をする事ではないと思いますよ?」
カエデが顔を赤くして、そう抗議すると、
「先日、アクセサリーショップで熱度の高い抱擁をしてたカップルの言葉とは思えないね?」
「それはそれ、これはこれです。そもそも、あなたまだ自分の名前も教えてもらってないのですが?」
「そういえばそうだね、この星系で傭兵をやっているエルフは私くらいだからすっかり忘れていたよ。」
そう言って向き直り、改めて彼女は自分の名前を語る。
「私は、アルミス・・・アルミス・ゼッタだよ。傭兵の間だと、影のアルミスと言われてる。」
そう言って自己紹介をする彼女に俺らも自己紹介を返す。
「俺はトオ、トオ・ジパングだ。」
「同じく妻のカエデ、カエデ・ジパングです。」
「ふむ、やはり夫婦か・・・是非、私も混ざりたいが・・・」
「・・・そんなにトオ君が良いですか?」
「大抵の男はエルフに邪な目でしか見ないが、彼は違ったからな・・・多少、男としての感情もあるようだが、そのくらいならまだ可愛い方だしな。」
「トオ君?」
「も、黙秘する・・・」
「はぁ、それは後で聞くとして、どうして人質に?」
「エルフは高く売れるからな、そのターゲットに私を狙ったのだろう。」
肩竦める彼女に俺は、
「このコロニーにアジトがあるって事か?」
「恐らくだな・・・仮拠点かも知れないが・・・」
俺の表情を見たカエデが、
「潰す?」
「傭兵ギルドで情報を集めてからだな・・・」
「私の腕も見てもらって、良かったら検討して欲しいな?」
「それは大丈夫です、私が許可しますから・・・」
「彼の採択権は全部彼女に委ねているのかい?」
「まぁ、そんなところです。」
なるほどと言うような表情を見せて、カエデとアルミスは握手した。
「それじゃ、ギルドで情報を集めようか?」
そう言って先を歩き出したアルミスに俺とカエデはついて行った。
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