第4話 船のドレスアップと女の子が求める機能
4つ目・・・まだまだ序盤
傭兵ギルドに登録を済ませて、いつものようにカエデとイチャイチャした翌日、俺とカエデは傭兵ギルドで色々と話を聞きに行った。
「基本的に宇宙で宙賊を狩るのが傭兵の基本的な稼ぎ方で、それ以外はこちらからの依頼として直接お声かけをする形になります。」
「なるほど、テストの時に派手にやってしまったから一応来たけど、あまり必要なかったか・・・」
「お気遣いありがとうございます。一応、宙賊の目撃情報をお渡ししておきますね。」
「後、採掘船や未開惑星や宙域の情報があればもらえますか?」
「畏まりました。・・・おや?」
俺達の担当になったハウザーが俺達の後方に視線を移したので俺達も振り返り、様子を確認する。
なにやら大声で騒いでいるものがいるみたいだ。
「しつこい!アタシはソロでやるって言ってんだろ!!」
「はっ!女一人で何が出来んだよ?いいから俺の船に乗れよ?いい思いをさせてヤるぜ?」
「ふ、祖チン野郎がよく言うぜ?そう言うのは自分の持っているものをよく見てからいいな?」
「!?てめえ!調子に乗んなよ!」
男が余裕ぶってナンパしたのはいいが、女の方があっさりと自分を振ったのでムキになっているようだ。
「ぶっ!?ふふっ!?」
そして、隣でカエさんがツボってます。
凄い肩をぷるぷるさせてる。
「はっ!?この程度の挑発でそんな言葉しか喋れない小物が生言ってんじゃないよ?ボウヤ?」
「?ボウヤ?あの人、一体いくつ・・・」
「トオ君、あの人耳が尖ってない?」
カエデに言われてよく見ると、確かに耳が尖っていた。
「ひょっとして、エルフ?」
「そうですね、彼女はエルフのようです。」
「ふぇ~、やっぱり長寿なんですか?」
「えぇ、特に延命処置をしなくても500年は生きると言われております。このコロニーのメインストリートにあるウラノス百貨店の創業者の一人が、確かエルフだったと言われておりますね。」
「すご~い・・・ずっと若いのは羨ましい・・・」
「カエデはまだ若いだろ?」
「トオ君、美容に早すぎるって言葉はないの。とにかく早いうちからやっていかないと10年後の肌に色々と影響が出るんだよ?」
「お、おう、そうなのか・・・」
尚も白熱する両者だが、遂に男の方が腰の銃を抜いたので、
「ったく、こんな所で獲物なんざ抜くなっての!」
俺は腰のレーザーガンを非殺傷モードで男の銃を狙って射撃した。
「ぐぁ!?」
俺は男の方に歩きながら、
「おい、ナンパ自体はお前の自由だがこんな所で獲物を振るうのはいただけないな。」
そして、俺は銃口を男の額に押し付け、殺傷モードに切り替える。
「これ以上騒ぐなら、額でタバコを吸うコツを教えてやろうか?」
「ひっ!?」
「わかったら、失せろ!」
そう言うと男は脱兎の如く逃げて行った。
「やれやれ、悪いな割り込んで・・・」
「いや、助けてくれてありがとう、しつこくって困っていたんだ。」
「あそこまで恥をかいたら流石にこの星系から出ていくと思うが、気をつけるようにな。」
エルフさんは多分に漏れず綺麗だった。
しかも、結構大きい、何がとは言わないが・・・
「っと、俺は俺で受付でちょっと話をしてるんだ。悪いがこれで失礼するよ。」
そう言って俺は受付まで戻ると、カエが
「美人だった?」
と聞いてきた。
「カエと同じくらい綺麗だったよ。」
そう俺がカエを宥めると、
「見事な腕前ですね、そう言えばSランクの昇格条件のもう一つの条件をお伝えしていませんでしたね。」
「一つはシュミレーターの成績ですが、もう一つが白兵戦テストの結果ですね。お二人はどちらもクリアしてますから、後は実績を積み上げるだけでSランクまで真っ直ぐの状態ですね。」
「そんな状態なのか、俺ら・・・」
「Sランクの人って一般的に化け物扱いだよね?」
「我々傭兵ギルドからは英雄として扱われますから、それは傭兵の事をよく知らない方のイメージになります。」
そこまで説明を受けて、疑問に思う事はなくなったので、船に戻り、宙賊狩りに出ることにした。
「そうだ、近々宙賊のアジトを襲撃すると軍からの依頼が下りてくると思いますのでそれまでは日帰りで狩りをする事をおすすめします。」
帰り際にハウザーにそう言われたので、俺とカエデは今後の動きについて相談した。
「どうする?日帰りの距離だと、俺らが最初にいた辺りまでしか遠征に出れないぞ?」
「いない事もないだろうけど、ちょっと可能性的に厳しいかな?他にもこう宙賊のルートを絞れる情報があれば良いのだけど・・・」
「「うーん・・・」」
二人で悩み出した結果が、
「とりあえず、明日は必要な物を買いに行こうか?」
「そうだね、宇宙船のドレスアップショップなんていうのもあるみたいだからそれを見に行ってみよっか?」
「ウェポンショップも一応、覗いてみよう。」
「見たことがないやつとかあったら面白いよね!」
「パイルバンカーとか?」
「ロボットアニメのロマンだよね!」
「以外とカエってロマン兵器大好きだよね?」
「こう一撃で倒すのって気持ちいいじゃん?」
「ゲームとかはあまりやらなかったのに、後、女の子向けのアニメもあまり興味がないよな?」
「いい?トオ君?ゲームはね、みんなと、トオ君とやると楽しいから私はゲームをやっていたのであって、別にゲームオタクではありません!」
「あ、はい・・・」
「そもそも女の子向けのアニメは、ある程度大人になってくると色々と突っ込みどころが一杯なのです。変身アイテムがコンパクトだったりとかはまだ理解出来るけども、お化粧は女の子の変身道具ですからね、でも、武器になっちゃうのはちょっといただけない!それは自分を変える物であって誰かを傷つける物ではありません!そもそも呪文とかそう言うのは良いとして、恋愛の要素なんて皆無だし、あの年頃だと多少は異性に興味を持つし、持たなくても美容とかそういった物に・・・」
この後、俺はカエデに三時間程語られ、終わる頃にはイエスとサーしか言えなかった。
「と、言うわけでわかった?」
「イエッサー!!」
「よろしい!では次は女の子の美容とお化粧について・・・」
どうやらまだ終わっていないらしい・・・
この後、俺はカエデに抱きつき、唇でカエデの口を塞ぎ、そのまま寝室のベッドに直行、どうにかこの話を終わらせる事に成功した。
勿論、明日は買い出しと一緒にデートしなければいけない、まだデートスポットすら調べていないのにハードルが高い。
そんなこんなな翌日、ここ最近メディカルマシンのお世話になっているカエデが用意出来たので、予定通りにまず船のドレスアップショップに向かう。
「やっぱり、メインストリートの側にあるんだな。」
「寧ろ、信用がないとメインストリートの側にお店を出せないんじゃない?」
「なるほど、ボッタ店をそんなところに出されたら、コロニーを維持してる人達の手腕が疑われるか・・・」
そんな話をしているとメインストリートに到着して、船のフィギュアが付いてる看板のお店に入る。
「看板に付いてたフィギュア、凄いピカピカしてたな?」
「とにかく目立つように作ったらああなったのかな?」
そう言いながら中に入ると、目に飛び込んで来たのは便利グッズ。
所謂、車の芳香剤とかカップホルダー的な物から良くわからないLEDのライトみたいなやつだ。
「俺らが求めているのはこれじゃない・・・奥の方かな?」
「昔、お父さんと一緒に行った時にあったな~、こういうの・・・」
あちこち、物色しながら奥に行くと、自動調理機が見えてきた。
「自動調理機は買い換えるの?」
「今回はベッドと風呂だろ?余裕があって、今つけてあるやつより美味しいのがあったら買い換えようぜ?」
「そうだね、ベッドは今使っているのは二人で寝るとちょっと狭いし・・・」
「シャワーもいいけど、やっぱり風呂にも入りたい・・・」
「二人で入れるのがいいなあ?」
「まずは見てから、な?」
「うん・・・」
そうして見てみると、
「結構、大きいベッドがあるね?この一番大きいのにしようよ!?」
「まぁ、これなら入るか・・・俺の部屋の半分以上はベッドで出来ていますの状態になるけど・・・」
「後、私の部屋にこの化粧台が欲しい!!」
そう言ってカエデが指先を向けたのは何かハイテクな装いの鏡の付いた机だった。
「見て、これね!ここを押すとね!」
「おぉ!小さいカエが出てきた!?」
「特殊なカメラが付いてて全身のホログラムを表示してお化粧加減を客観的に見る事が出来るの!正に女の子が一番見たい機能だよ!しかも、お化粧もね!この化粧台がしてくれるの!お肌のケアまでしっかりと面倒みてくれるから肌荒れの心配も皆無だよ!?」
「更に付け加えますとこちらのシンデレラは、本シリーズで二十作目になります。どんな女の子もシンデレラのように綺麗にお化粧してくれる、そんな女の子の夢を詰めた最新作となっております。そして、最新作ならではの機能はその時の天気や体調などでお化粧を変えるのは勿論、その時の流行りを用いてお持ちのお洋服をコーディネートしてくれる新機能を搭載しております。」
「わ、わかったカエ・・・買って良いから・・・」
「いぃやったぁ~!!トオ君、ありがとう!!」
「俺もトレーニングルームが欲しいんだけど・・・」
「いいよ!出来ればフィットネスとか出来るやつも探そ!?」
そして、見つけたトレーニンググッズを置いたエリアを見つけて、
「やっぱり、こっちのルームセットの方が効果は高いぞ?」
「うぅ、でもムキムキはちょっと・・・」
「ある程度の筋肉を付けた方が太りにくくなりますよ?」
「これでお願いします!!」
「毎度ありがとうございます!」
「・・・やれやれ、でも、まだ二百万も使ってないんだよな・・・」
今現在使っている総額は、
ベッド3KWLサイズ(六人一緒に寝れる)、十万ガネー
お風呂4Lサイズ(四人まで入れる)、三十万ガネー
ハイテクオートメーション化粧台、八万ガネー
超効率トレーニングルームセット、十五万ガネー
全部合わせて六十三万ガネーとなっている。
「トオ君、日本円だと六百万以上だよ?」
「そうだな、順調に金銭感覚が壊れてるな・・・」
そして、
「こちらの自動調理機が、クッキングゴッドシリーズの最新作となっております。」
「随分と凄いネーミングだな・・・」
「そんなに美味しいのかな?」
「フフフ、まずは論より証拠・・・普段お二人が食べている物をチョイスして見ましょう。」
そう言って出てきたのは和食・・・焼き魚と味噌汁とご飯が出てきた。
「ほう?中々の通ですね?このセットを登録している自動調理機は少ないのですよ。」
「そうなんだ・・・」
「とりあえず、食ってみるか・・・パクっ!?」
お米が甘く、その食感までまさにお米・・・味噌汁もしっかりと出汁をとっている・・・魚もしっかりとしたさんまのような味をしており、その味わいは驚愕に値する。
「なんて事だ、昨日まで食べていたご飯が擬きだったと思ってしまう・・・」
「凄い美味しい・・・」
「こちらの自動調理機、クッキングゴッドはメーカー希望価格が四十八万ガネーとなっておりますが、本日はお客様が大変お買い上げいただいているので四十万ガネーとさせていただきます。如何ですか?」
自動調理機クッキングゴッド、四十万ガネー
これを合わせると全部で百三万ガネーか・・・まぁ、良い買い物だろう。
そう納得して端末を出そうとしたら、
「後、三万ガネー、どうにかなりませんか?」
ここで我が妻が値切りを始めた。
「さもお安くしているように思えますが実際はそんなにお安くしているわけではないですよね?安くしている自動調理機でも半分くらいの利益が残っている筈です。先に買うことにした物の内のどれかをお安くしてますか?」
「そ、それは・・・」
店員の顔が少し引き吊る。
「別に、大幅な値引きをしろと言っているわけではありませんよ?後、三万ガネーくらいなら全然値引きできる余地はありますよね?」
カエの表情は笑顔なのだが、目が笑っていなかった。
そんな風に見られた店員は、
「か、畏まりました、後、三万ガネー、勉強させていただきます・・・」
「あ、入り口にあった浮かぶドリンクホルダーが便利だったのでそれを付けていただけますか?三万ガネー分・・・」
「はい!!ありがとうございます!三万ガネー分ですと、6個付けさせていただきます!それと大至急、船内内装の改修をサービスでさせていただきます!」
カエの手腕で船内設備が帰るまでに変わっていそうだ。
とりあえず、他にも回りたい所があるからそっちも見に行こう。
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