第3話 メディカルマシンとギルドテスト
3話目、ちょっと話が長くなりました。
急遽必要になった物を買いにコロニーの中に出る事になったが買い物自体は問題なく済み、帰りのチンピラも簡単に撃退できたので特に問題はなかった。
俺とカエは不安を紛らわすかのようにイチャイチャしていた。
「もぉ、トオ君激しすぎ♡」
「カエも凄く可愛いぞ、まだまだイケるからもっと見せて?」
「ふぁぁぁぁ!?トオ君、こっちに来てから凄い獣だよぉ♡」
カエが今まで見たことない顔をしていたけど、その顔を見れた事に達成感を感じつつも自分の中の獣に身を任せた翌日。
カエが動けなかったので傭兵ギルドはお預けになった。
「トオ君、何か凄かったけど、そういうのを買ったの?」
「いや、全然使ってないんだけど・・・多分、レベルとかも引き継いでるのかも・・・そのせいで体力が有り余っている可能性が無きにしもあらず。」
「まさか10回以上なんて・・・お薬飲んでないと、絶対孕んでたよ?」
「あんまり言うとまたムラムラしてくるから、あまり言わないで・・・明日こそ傭兵ギルドに行かないと、身分証がないと不便だろ?」
「そのうち、記憶がなくなるまでされそうだから・・・でもどうしよう、でもそんな都合よく・・・」
「お~い?カエさ~ん?」
などとやっているうちにあることに気づいた。
「そういえば、まだメディカルマシンに全然触ってないな。」
「あ、そういえばあったね、怪我とかしてないから忘れてた。」
「何かあってからじゃ遅いからな、これの使い方を勉強しよう。」
そう言って傍にあった机の引き出しに説明書があったので、まずは二人でメディカルチェックをしてみる。
「昨日からちょっと疲れてるけど大丈夫かな?」
「疲労回復の処置も出来るみたいだから、それも試してみたらいいんじゃないか?」
「それもそっか。」
そうして、出てきたデータは、
「うわぁ~、こんなふうに原因もわかるんだ~・・・」
「ちょっと、いやかなり反省しております。」
カエの診断データはやや過労と出ており、その原因が昨夜からの情事と診断されていた。
「次は俺か、超健康体とか言われそうだな。」
「トオ君、全然疲れないもんね。私も結構レベル高かったと思うんだけどな~・・・」
そして、メディカルチェックを行い、出てきた診断データは、
「少し心理面での疲労あり、か。」
「凄いね、そういうのもわかるんだね・・・疲労回復出来たらもう一回する?」
「・・・カエがいいなら、したい・・・」
「じゃ、メディカルマシンで疲労回復プログラムを起動して見るね?」
そうして、30分程メディカルマシンの中に入っていたカエは、起きるなり、
「トオ君!?これ凄いよ!?全然体が痛くないし、怠くないの!?」
「カエ、そんなに体に負担がかかっていたの?」
「えっと・・・嬉しいかったからいいの!ちゃんと愛してくれてるってわかってるから・・・」
「・・・もっと精進します!・・・それでさ、カエ、傭兵ギルドに登録する時なんだけど・・・」
「・・・どうしたの?」
「夫婦として、傭兵ギルドに登録しないか?名字は二人で考えて新しいのを作って同じのを使って・・・こういう状況だから、プロポーズの指輪とかそういうのを何も用意出来なかったんだけど。」
「いいよ!そっか、そうだよね!これからずっと一緒なんだし、子供だって・・・」
カエが妄想に陥りクネクネしだした。
「カエ~?戻っておいで~?・・・まぁ、プロポーズは傭兵ギルドに登録してから改めてやればいいか。」
とにかく可愛いくて止まらないカエを抱き寄せて寝室に連れて行き、そのまま愛を確かめあった翌日、燃え尽きたカエが再びメディカルマシンのお世話になったのは当然の帰結だった。
カエがメディカルマシンで疲労を抜いた後、一通りの装備をしてから傭兵ギルドに向かった。
「一応、テストがあるんだっけ?」
「適性検査みたいなやつらしいな、俺は白兵戦も全部一通り受ける予定だ。」
「私は船だけかな、トオ君の船のデータを使ってになるけど。」
「夫婦共同資産になってるから多分大丈夫だろ。とりあえず傭兵になれればいいんだしな、ランクは俺がまず持って行けるとこまで持っていくさ。」
「トオ君、いきなり上位ランクにぶちこみそうだよね。」
「まぁ、そのあたりはやってみてだな。」
そうこうしているうちに傭兵ギルドに到着して中に入る。
「うわぁ~、思ったより綺麗。」
「まぁ、掃除用のロボットがいるし、メンテナンスマシンぐらいいるだろうから、汚くなる要素がないんじゃないか?」
「それもそっか。」
そして、受付に行き、用件を話す。
「始めまして、俺は冒険者をやっているトオ・ジパング。こっちは同じく冒険者で妻のカエデ・ジパングだ。」
「始めまして。」
「冒険者のトオ様とカエデ様ですね?本日のご用件は?」
「傭兵ギルドに登録をお願いしたいのだが・・・」
「夫婦で傭兵ギルドに登録ですね?かしこまりました。では適性検査と操船の技術をテストするのでこちらへどうぞ。」
いかにもサラリーマンな受付は席を立ち、俺達を訓練所のような所に案内した。
「では、ここでまず一人での白兵戦の強さを図ります。ダミーターゲットをすべて破壊して下さい。殺傷モードの出力で大丈夫です。」
「わかった、じゃあまずは俺から・・・」
そう言って俺は扉を潜り、体育館のような場所でレーザーガンとレーザーソードを構える。
「武器はそちらの物だけですか?」
「一応、船にまだまだ色々あるぞ?ただ、これが一番持ちやすいんだ。他は嵩張るからな。」
俺がそう言うと、納得したのか、
「わかりました、ではそちらの武器で全てのダミーターゲットを破壊して下さい。・・・始め!!」
レースのチェッカーのようにブザーがなり、ターゲットがかなり出てきた。
「これは中々面白そうだ。」
まずは空中で飛んでいるターゲットにレーザーガンを放つ。
早打ちの要領で一発ずつ当てると簡単に落ちた。
「レーザーガンも確か最高装備だったはず、一番強い武器は刀だったはずだけど。いや、攻撃力だけだと大斧槍だったかな?」
「トオ君!がんばれー!!」
カエの応援を聞きながら、俺はレーザーソードを振るってペースを上げる。
「ラビットショット!!ソニックショット!!ガトリングファイア!!」
速射、貫通衝撃弾に連射の銃のアーツを使って大量に出てきた飛行ターゲットをレーザーガンで全部叩き落とした後、次は地上用ターゲットが大量に出てきたのでこちらもアーツで撃破する。
「空円斬!!空刃閃!!空滅断!!」
周囲の斬擊を飛ばし、遠距離前方の敵を滅多斬りにしてから振り向き、再び遠距離に強力で巨大な斬擊を放つ剣のアーツを使う。
どっかの無双のようにロボットが砕けていく。
「ここまでとは・・・このままだとAランクの審査も通りますね・・・」
次に出てきたのは一際ゴツくて大きいロボットだった。
「・・・さっきのと雰囲気が違うな、とりあえずレーザーガンを一当て。」
するも、
「かなり固いな、レーザーソードで攻めた方が良さそうだ。」
そう言って俺は真っ直ぐ接近すると、
「ビッ!ガァァァァァ!!」
ここぞとばかりに腕を振り回し、暴れだしたが、
「瞬影閃!!」
アーツを発動させ、一瞬で背後をとって一閃する。
簡単に真っ二つにされたロボットは簡単に崩れ落ちた。
「これで終わりか?」
「はい、これで白兵戦テストは終了です。こちらに戻って下さい。」
そうして、カエがいるところまで戻ると、
「おぉ~、床が全部開くんだな。でも、何重にもなって結構頑丈そうだ。」
「次はカエデ様のテストを行います。」
「はい、じゃあトオ君いってくるね!」
「頑張れカエデ!」
カエデはワンドとレーザーガンを構えた。
「思いっきり撃っちゃっても大丈夫だよね・・・ま、いっか。」
そう言ってカエデはアーツのチャージを開始した。
魔法系のアーツはチャージする事が出来、三段階のチャージが可能である。
カエデが愛用する魔法系のアーツは出の速い雷系で範囲も広範囲のモノを好む。
魔法系のアーツは使った後にリキャスト、つまり再使用まで少し時間がかかるのだがカエデはスキルの恩恵で連続で使用する事が可能、どころか連打できる。
「では・・・テスト開始!!」
俺の時と同様にブザーが鳴り響き、空中と地上にロボットが出てきたが、
「ライトニングヴァイパー!!サンダーインパクト!!ヴォルテクスゲイザー!!」
一瞬で消し飛んだ。
比喩ではなく、文字通りに・・・
「・・・あなたの奥様、おかしくないですか?」
「・・・そこがいいんだよ。あの無自覚なところが・・・」
次々出てくるロボットを出た瞬間アーツで撃ち抜いてる。
たまに銃のアーツを使っているけど、
「ホーミングブラスター!!」
銃口を明後日の方に向けているのに複数のロボットを貫いている。
銃が終わったらまた魔法系のアーツが飛び出す。
「ダークネスキャリバー!!エクスプロウド!!ダイヤモンドエッジ!!」
俺より早い時間で大物を引っ張り出した。
「バスターランチャー!!トールハンマー!!デストラクトブレイク!!銃魔混合!!ギガンテスブラスター!!!」
「あ!混合アーツ使った・・・」
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!?」
説明しよう、混合アーツとはある一定の武器組み合わせで使えるアーツである。
使えるアーツの種類は少ないがかなりの高威力で、場合によっては宇宙船に風穴を空ける威力を持っている。
そして、そんなアーツを使用すると当然、
「あ、壊れちゃった・・・テヘッ?」
「・・・この場合どうなります?」
「弁償まではいきませんが・・・お二人には宙賊をしばらくこの宙域で狩っていただきたいです。」
「コロニー内の仕事は遠慮させてもらうからな?今のをコロニーで撃ったら大変な事になるからな・・・」
「それはわかっております、上にも報告を上げておきます。」
一瞬だけキャラが崩壊したが、どうにか持ち直して、お咎めはなしとなった。
「ごめんなさい・・・」
「いえ、まさかこちらもあんな威力のアーツを使えると思わなかったので、次から気をつけていただけると助かります。」
「わかりました、俺も注意しておきます。」
「トオ様も使えるので?」
「俺のは違うやつですが、威力はあまり変わりませんね。」
「そうですか、それも上に報告しておきます。」
それから、俺達はシュミュレーターテストを受ける事になった。
「ここでパイロットの腕を測らせていただきます。」
なんて言うか、ゲームセンターのパイロットボックスみたいだ。
「お乗りのコックピットに一番近いモノを選んで下さい。」
俺とカエデは一個ずつ中を覗き、タイラントのコックピットに一番近いモノを選ぶ。
「これだな・・・」
「軍用品質のやつですね、しかもエースクオリティですか、こちらでの腕前も期待出来そうですね。」
「じゃあまた俺からか?」
「そうですね、それでお願いします、後、船のデータをお願いします。」
タイラントのデータを渡して、俺はシュミュレーターの中に入る。
「さてと、操作感は変わらないな・・・」
「トオ様、聞こえますか?」
「おう、聞こえているぞ?」
「これより簡単な慣らしの後に本番に入るのでよろしくお願いします。」
「わかった。」
そして、レバーの感度やスロットルの感度などを確かめ、ターゲットを破壊して本番を迎える。
「とりあえず、全部の敵を仕留めればオッケーです。」
「わかった、始めてくれ。」
流石に今回はカエデの声援は来ないが、それでもカッコいいところを見せるために気張る。
「では、プログラムスタート!」
白兵戦テストと同じようにブザーがなり、敵機が出てくる。
動きや出現頻度がかなり単調なので、マルチロックしてるだけで簡単に終わってしまった。
「これで終わり?ちょっと簡単過ぎないか?」
「まだあるから安心してくれ、難易度がどんどん上がっていくから。」
すると言った通りに再び敵機が現れ、先程より少し動きがいい。
「でも、この程度じゃあ、こっちのバリアシールドにダメージを与える事すら出来んよ。」
恐らく宙賊レベルの宇宙船を出現させているのだろうが、この程度では話にならない。
30、40と撃墜すると、明らかに組織的な動きをする連中が現れた。
「おっ、!?今度は少し固いな。よし!フルスロットルだ!」
全力機動をとり、高速で縦横無尽に飛び回る。
マルチロックレーザーに耐えられても主砲と副装のレールガトリングガンに敢えなく沈んでいく。
「おいおい、主砲はともかく、なんだその副装は・・・バリア貫通してるぞ・・・」
「実体弾のレールガトリングガンだ、威力は見ての通りだ。当たれば簡単に装甲を貫通するから大型艦に非常に有効だぞ?」
「恐ろしいな・・・」
すると、今度は超大型艦が3隻出てきた。
「げ、流石にこれはちょっと不味いな。」
「ちょっとだけかよ、まぁやってみろ。」
俺は大きく横にブレながら超大型艦に接近する。
「下方にミサイルポットが付いてるだけか・・・なら下から突っ込むぜ!!」
一番手前の超大型艦の下方から突っ込み、レールガトリングガンをミサイルポットに連射する。
全て大型艦のバリア貫通し、発射しようとしたミサイル全てが誘爆して真っ二つに折れて轟沈した。
「一つ、次はフルチャージで撃ってみるか。」
主砲のバスターカノンは出力調整が可能で最大チャージだとゲーム内ではコロニーも消し飛ばした事がある。
「現実でコロニー落としなんて無きゃいいけどな・・・よし!溜まった!射線に二隻を重ねて・・・ファイア!!」
打ち出されたレーザーは超大型艦のバリアが少し弾くがそれも一時で、すぐにダウンしてしまい、その装甲を真正面から貫いた。
だが、後方にいる超大型艦には少し余波を受けたようだが、未だに健在していた。
「おぉっとぉ!?さすがに撃ってきた!!」
フルオープン最大火力で攻撃してきた超大型艦の射線から外れるように動き回るのだが、
「・・・射線の表示なんてあったっけ?やたらと赤いエリアが一杯、やべっ!?入ってる!?」
今度は攻撃範囲の可視化したのでそれを利用して、攻撃の間を縫って超大型艦に接敵し、我が愛機を変形させる。
「おい!?なんだその機能は!?そんなの聞いた事ねぇぞ!?」
どんどん喋り方が雑になるサラリーマンが少し面白いがさっさと落とす。
「バスターカノンソード、デストロイコンボ!!」
タイラントの人型時に使える所謂コンビネーションの一つを使い、大型艦に攻撃を加える。
左腕部のレールガトリングガンで牽制しながら近づき、そのまま溜め斬りを叩き込む。
通常の溜め斬りは一回だけしか撃てないが、これは三連擊だ。
当然のように三枚に下ろす。
その後の爆発に巻き込まれないように再び宇宙船モードになって距離を取る。
「これで終わりか?」
「はい、これで終了です。戻ってきてください。」
すると映像が切り替わり、ブラックアウトしたのでそのままコックピットから出る。
結構長い時間やっていたようだ。
「結果は?」
「先に奥様のテストをしてから伝えたいのでもう暫しお待ちを・・・」
「よし!行ってくるねトオ君!」
「うん、頑張れカエデ!」
カエデが受けたテストも俺と同じものだったので結果が単純だったので詳しくは記さないが、簡単に言うと機体の性能でカエデはごり押しをして、一番最後の超大型艦まで撃墜した。
「ふぇ~、危なかった・・・」
「対艦ミサイルまで積んでるのですか、この船・・・何と戦うつもりですか?」
「まぁ、宇宙には危険が一杯なんだよ・・・」
一概に趣味だと言えず、そうボカして伝えるとサラリーマンが結果を伝えてきた。
「テストの結果ですが、当然合格です。そして、研修期間無しでDランクからのスタートになります。」
「そういえば最低ランクと最高ランクを聞いてないな・・・」
「そういえば私もお伝えしてませんね、失念しておりました。最低ランクがF、最高がSランクとなっています。そして、先程のテストを最後までクリアできるとSランクの昇格条件の一つをクリア出来ます。」
「全部7段階のランクで俺達はDランクからスタートか、で、最高ランクがSね。」
「やっぱり目指しちゃうの?」
「そっちの方が面白いだろ?」
「こちらとしては、優秀な方が傭兵ギルドに加入していただく事は大歓迎ですので、是非仕事を受けてくださいね!?」
「お、おう、まぁ今日は一端帰って明日から仕事を探してみるよ・・・」
「えぇ、よろしくお願いします。・・・申し遅れました、私、副ギルド長のハウザーと申します。以後お見知りおきを・・・」
「はい、ご丁寧ありがとうございます。」
「ギルド証は端末に直接送信しましたのでそちらで確認頂けると・・・」
「あ、本当だ、いつの間にか来てる。」
「これで登録完了です。また何かありましたら気軽にお声がけをしてください。」
「はい、わかりました。では今日はこれで失礼します。」
俺はカエデと一緒に船に戻り、シャワーを浴びて反省会をする。
「まさか複合アーツがあんなに高威力だとは・・・コロニー内だと使用しない方がいいかもな。」
「使うとしても、あのレーザーみたいなやつじゃなくて別なのにすれば壁に穴を開けなかったかも・・・」
「とにかく、惑星とかで試すまで複合アーツは使用禁止、じゃないと罰金とか怖いからな・・・」
「は~い・・・」
ちょっとヘソを曲げたカエを宥める為に一杯甘やかしてイチャイチャしてこの後は過ごした。
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