第9話 テンプレデート後編にエルフの女性の恋愛事情
9話目、仲間とのコミュニケーションが濃厚です。
傭兵ギルドでの一悶着の後、俺とアルミスはメインストリートを回っていた、現在はコロニーに来てから最初に入ったウラノス百貨店に来ている。
「トオは好みの色ってある?」
「青か赤かな、白とか黒も好きだけど、どうして?」
「ん~ん、内緒♡」
人差し指を唇に当てながら、いたずらっ子のような笑みを浮かべる彼女にときめかない男はいるだろうか?
ずっと年上で普段は落ち着いて話をする彼女が、ウキウキしながら俺の腕に自分の腕を絡めて一緒にフロアを回る。
そんな光景を見てときめかない男はいないだろうと俺は断言する。
因みにこの世界では一夫多妻性が主流のようだ。
この世界だと稼げる奴と稼げない奴はかなりの幅、格差がある。
故に稼げる奴にそういったお相手が出来るのが世の中の常になっているようだ。
後、稼げる奴は養わなければならないという考え方も少しあるようだ。
故に、俺もカエデがあのように許可を出してしまって俺もその事に同意した以上、好意を持った相手に色々と甲斐性という奴を見せなければならない。
決して、女たらしではない、筈だ。
「カエデは、こういう腕輪にしたけど、アルミスはどういうのが好みなんだ?」
「・・・腕輪かぁ~、でもカエデのがあるし、じゃあ、私は右腕?」
とアルミスは悩むが、
「私はカエデみたいにあまり高いのは・・・う~ん、でもなぁ、もうちょっと待ってもらっていい?どういうのが欲しいか、考えるから、次きた時に作ってもらうね?」
「わかった、たっぷりと稼いで待っている。」
「えへへ~♡」
頭を撫でてやると凄い可愛い、ゴロゴロ鳴いてる猫のようだ。
アルミスの服を一万ガネー分買って、前に行ったドレスアップショップに行って、例のハイテク化粧台を3台買ってから、俺とアルミスは船に戻った。
勿論、フードカートリッジとミネラルウォーターを50リットル買って色々な珍味とお酒を買って帰った。
今日の買い物は、
アルミスの服、一万ガネー。
フードカートリッジとミネラルウォーター他食料、五万ガネー。
ハイテク化粧台、二十四万ガネー
計、三十万ガネーの使用だった。
「ふふっ♪こんなに楽しい買い物初めて♡」
「楽しんで貰えて何よりだよ。」
その後は特に絡まれる事もなく、自分の船に戻った。
船に戻った俺とアルミスは船に入って、リビングに向かった。
「ただいま~♪お土産、届いてる?」
「お帰りなさい、化粧台の事?既に二人とも夢中だわ。」
「カエデ、もう平気なのか?」
アルミスは元気に帰宅してお土産の所在を聞くと、カエデが答えてくれた。
俺の質問にカエデは、
「歩けるようにはなったよ。・・・戦闘は明後日かな?まだ足腰にそんな力が入らないんだよね。」
と答えた。
「・・・そんなに凄いの?」
アルミスがカエデに詰め寄り、俺から少し離れてからひそひそとカエデに話かけた。
「途中で記憶が飛んで幸せしか残らないよ。」
カエデになんて言われたのかわからないが、アルミスが生唾を飲む音が聞こえた気がした。
「あ、トオ様、アルミスさん、お帰りなさい。」
「トオ君、アルミスさん、お帰りなさい。」
すると、早速、化粧台の機能を使って化粧をして綺麗になった二人が俺の前に出てきた。
「そ、そのトオ様、どうですか?」
「トオ君、どうかな♡」
「あぁ、二人とも凄く綺麗だよ、後は服をもっと二人に合う物を買えばもっと良くなると思うから今度買いに行こう。」
俺が褒めたのがよっぽど嬉しかったのか、二人とも照れているのが凄く可愛い。
「・・・私も後で、試してみよう。でも二人とも本当に可愛いね、私もカエデのを借りてからデートに行けば良かったかな?」
「アルミスさんは十分お化粧が上手だと思いますよ?」
「そうね、私もアリアもお化粧あまり上手じゃないからね。この化粧台には感動したわ。」
アルミスがアリアとメリアと会話しながら、化粧台の話をしていると、
「トオ君、先にお風呂に入ってきたら?多分、ここから女の子会話は凄く長いよ?お化粧談義だから・・・」
「その話題だとそんなに長いのか・・・わかった、先にお風呂に入らせて貰うよ。」
カエデがお風呂を進めてきたので、素直に入ることにした。
トオ君にお風呂を進めて、お風呂に入ったのを確認した後、私はアルミスに話を切り出した。
「・・・それで?デートどうだった?」
私の質問を聞くとアルミスは、
「凄く楽しかった!彼は二人きりになると雰囲気がまた変わるんだな!格好良かったぞ♡」
そう言ったアルミスの目が、女の、分かりやすく言えば♡になっていた。
「傭兵ギルドでバカどもが絡んできた時は気分が最悪だったけど、その時にトオが簡単に撃退してな!!仲間ごと訓練場で粉砕した時は格好良すぎで、その場で襲わないようにするのが大変だった!」
トオ君は戦闘とかになると普段とは全然違う格好良さを見せるからな~、これから女性の前で戦わせるのに注意させなきゃ・・・
「そんなに格好いいんだ、私も頑張らなきゃ!」
アリアちゃんが気合いを入れているが、彼女は一番最後になっている。
デートは先にお母さんのメリアさんが行くようだ。
「フフフ♪次は私の番かぁ~♪このときめきは久しぶりだわ~♡」
凄く可愛いメリアさんが目の前にいた。
いや、年上の女性にそう言うのはちょっと失礼なんだけど、どうしようこの人はズルいと思ってしまう。
「アリアと二人でトオ君を襲うのが凄く楽しみ♪」
というか危険だ!トオ君にそんなことを教えようとするなんて・・・でも、一人だと次の日からしばらく動けなくなってしまうし、それはアリなのかな?
私が悩む間にガールズトークはまだまだ続いていた。
早い時間のお風呂だから、一時間の長風呂を堪能してから上がると、既に夜ご飯の支度が出来ていた。
「おぉ!今日はお肉が美味しそうな料理が多いな♪」
「ふふ~ん♪お姉さんに任せなさい♪」
「もぉ、お母さんったら・・・」
今日もカエデとアルミスが料理を食べて戦慄しているが、アリアがメリアさんの可愛い仕草に少し呆れている。
「もぉ、アリアだってたまにはご飯を作ってみたら?」
「・・・どうして、同じ自動調理器を使っているのにお母さんの方が美味しいのかな?」
確かにメリアさんが自動調理器を使うと更に美味しい料理が出てくる。
元々、うちの自動調理器はクッキングゴッドという最高級の自動調理器だ。
だから、これ以上美味しくなるのはメリアが何かしないといけないのだが、
「ふふ、特にこれと言った事はしてないわよ?」
メリアはそれを教えてはくれないらしい。
「・・・ふぅ、メリアの料理は美味しいが食べ過ぎてしまうのが少し悩んでしまうな・・・今日は私から入らせて貰うよ。」
「えぇ、ゆっくり入ってらっしゃい。」
「トオ様、マッサージして差し上げますから自室のベッドに横になってください。」
と、アリアがいうので、俺はアリアに手を引かれて自室に向かった。
自室のベッドで横になる俺にアリアが丹念にマッサージをする。
「トオ様、結構筋肉質なんですね?」
「そうか?自分では普通だと思うが・・・」
「これが着痩せするタイプという奴ですか・・・うぅ、どうしよう、ドキドキしてきた・・・き、今日はアルミスさんの番だから、我慢しなきゃ・・・」
背中を上にして寝ているので、アリアがどういう表情をしているか俺には見えない。
だが、何かとまるで戦っているようだ。
「・・・これで終わりです、そろそろアルミスさんが上がっていると思うので、呼んで来ますね?」
アリアはそう言って俺の背中から降りて、リビングの方に行った。
すると少し背中が湿っぽいように感じた。
トオの部屋を出た少し先で、
「はぁ、はぁ、はう!?あう~♡」
アリアは悶えていた。
「あらあら?もう仕方のない子ね?」
エルフにとって好きな異性というのは特別な意味を持つ。
それは普段は特に機能していない子孫を残すという繁殖本能から来るモノであり、心を許して添い遂げる事を望む希望でもある。
分かりやすく言うと好きな異性が出来ると盛ってしまう獣になってしまうのだ。
特にエルフの女性はこの本能が強く、若いエルフ程この本能が出ると逆らえなくなる。
「仕方ないわね、明日は私と一緒に彼に甘えましょうか?」
「あ、う~♡」
メリアに連れられて、アリアはどうにか自室で横になった。
アリアが出ていった後、しばらくしてアルミスが来た。
凄い透け透けのネグリジェってやつを着て、
「トオ♡来たよ♡」
「うん、おいでアルミス。」
「うん♪」
俺は傍に来たアルミスをぎゅっと抱きしめてベッドに押し倒した。
甘い声とベッドが軋む音を響かせながら、俺とアルミスは一夜を共に過ごした。
そして、翌朝、今度はアルミスが動けなくなった。
「はぁう~、腰に、力が・・・」
完全に腰が抜けているようで、カエデが、
「あまり酷いようなら後でメディカルポットに入れるから、次はメリアさんとデートでしょ?」
と言っていたが、
「本当はデートしたかったけど、私もアリアもカエデちゃんやアルミスちゃんみたいに戦えないでしょ?だから、今日はこの船の私とアリアの役割を教えて欲しいの。」
そう、両手を合わせて俺に可愛くお願いするメリアさんに俺は了承して、
「じゃあ、コックピットでシミュレーターで訓練してみようか?」
アリアとメリアさんを連れてコックピットに来た。
俺とメリアさんとアリアがコックピットに向かったのを見て、
「やはり、メリアさんは危険だわ・・・アルミスはどう思う?」
とカエデはアルミスに質問していた。
「・・・夜のトオも凄い危険だよ?こう二人きりもいいけど、仕事がある時は二人か三人じゃないと、仕事中にミスを犯しかねないわ・・・」
「・・・今度、二人でトオ君に挑んでみる?」
アルミスの答えを聞いてカエデが提案すると、
「それもアリだね。仕事がある時はそれで行こう。私もカエデもちゃんとした戦力だからね!」
「・・・でも、それだと今の人数だと足りないね?」
「他の星系に行けば、私とかメリア、アリアのように拾うんじゃない?」
「・・・それはそれで由々しき事態のような?」
と首を傾げながらメリアさんに負けないようにアルミスと策を練るのだった。
コックピットに来た俺とメリアとアリアは、まず、ここでの役割について教える。
「まず、カエデがサブパイロットで、アルミスがレーダー観測手をやってもらうことになっている。」
そう、カエデは既に俺のタイラントをそれなりに扱えるが、アルミスはレーダーを動かしてチェックするだけで精一杯なのだ。
ただ、元々その手の気配の察知やステルスに関しては得意な魔法アーツの系統であることで通常のレーダー観測手よりも能力が高い。
「アルミスさんで機能一つで精一杯なんですか・・・」
アリアがそう呟くが、
「でも、まぁ、それでもレーダーにあそこまで高い適正があれば十分だと思うぞ?特に船の操作に慣れていないみたいだし・・・」
俺がそうフォローすると、
「私とアリアは何を担当するのですか?」
「二人には狙撃手を勤めて貰う。正確には狙撃装填手だけどな。」
俺はタイラントならではの特徴を一つ説明する。
「タイラントの機能の一つに属性変換という能力がある。それは乗り手の魔力を増幅して属性変換する機能なのだが、その機能を使うとレーザーが火属性になったり、水属性になったりするんだ。」
「どうして属性を変える能力があるのですか?」
「所謂、相克ってやつがあって、火は水に、水は土に、土は風に、風は火にといった属性の相性がある為に付いた機能だ。」
「有利な属性で常に攻撃する為の機能ってこと?」
「防御もな、バリアも同じく属性を変える事が出来るからな。」
それから俺はシミュレーターを起動して、メリアとアリアに属性変換の機能がついている狙撃装填手のシートに座らせる。
「シートが2つなのは、得意属性だと簡単に変換出来るが苦手な属性だと難しいんだ。だから2つ付いてるのだけど、二人の得意属性はなんだ?」
「私もお母さんも風と水と光属性です。」
アリアがそう言うとメリアが心配そうに、
「アルミスちゃんと交換できるようにならないとダメかしら?」
と言うので、
「いや、得意属性が被っても別に悪い事ではないさ、二人で得意属性を変換すると更に効果が上がって3倍の効果が出るからね。気にしなくて大丈夫だよ。」
と言って二人に安心するように伝えると、
「・・・お母さん、私、後で全属性の魔法アーツを勉強し直す!」
アリアが凄いやる気になっていた。
「そうね、要は魔法弓術の要領ですからね、レーザーに属性魔法込めるって事ですもの。」
メリアもやる気なようだ。
「じゃあ、シミュレーターを動かして、練習して見るか?」
「「お願いします!」」
俺がそう提案すると、メリアとアリア親子は元気よくそう返事した。
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