第4話
『1つの能力が使用されました。ゲームに「負け」となった参加者は1名です。オプションが使用されました。これより2分間の自由発言タイムを設けます』
「初めにはっきり名言します。オプションを使用したのは私です。理由は言わなくても分かりますね」
「俺に「鬼」の濡れ衣を着せるため、だろ」
「ここで否定しても意味がありません。2分しか時間がありませんし、ひとつ予言をします」
「予言?」
聞き返したのは意外な人物
海月と同じく初発言のはず
「そうです、[海豚]」
「聞く」
「次の6巡目、能力が最低1つは使われます」
「それで身の潔白が証明出来ると思うのか」
「さて、どうでしょう。状況は刻一刻と変わっていくものです。今はただの戯言にしか聞こえなかったことが10秒後にはなにかを証明するかもしれません」
「それこそお前の言うたわ…」
「黙って。2分しかない。言い争いしてる場合、違う」
「…もしかして、今回能力を使ったのは「鬼」じゃないのかもしれないね」
「ど、どうして…?」
「もし海豚が「鬼」ならウサギと犬どっちに味方するかなんて、分かり切っていることだよ」
確かに全く的外れではない
でもそれなら「スナイパー」は「鬼」を見抜いたことになる
この状況では誰もが誰もの邪魔をしていない
もし「スナイパー」なら「鬼」が能力を使ったときに「負け」になっていた
今のところ「鬼」に気付く要素は「同じマスになる」しかない
「違うと思います。3順目で能力が2つ使われたすぐあと、海豚から個人メッセージがありました。走れ、と」
「犬を「鬼」に仕立てようとしているのかもしれない」
「そうよ。それに仮に海豚を信じたとして、それならどうしてオプションを使わなかったのかしら」
「私もそれは考えました。でも例え海豚がそうしようとしているのだとしても、どちらかが「鬼」であることは間違いがないと考えました」
「それなら尚更走るはずだわ。…ああ、「NOT.GOAL」なのね」
「それは答えられません。ただ、明確な理由がひとつあります」
一度深呼吸をした
大丈夫、落ち着けば大丈夫だから
「私には所持金がありません」
一瞬静かになって、ざわつく
「でしたら「あのゲーム」で生き残れたのは何故ですの?」
所持金が得られるゲームには生き残る条件があるらしい
でもそのゲームに参加していないんだから、関係ない
「それはリボンの言う「あの…」
「俺が説明しよう」
参加者しか分からないことがあるのかもしれない
スケボーだし、任せよう
「お願い」
「ペンギンはリボンが言う「あのゲーム」がなにか分からない。ペンギンの参加するゲームが2つ目であることは理解しているな」
「ええ…あ、そういうことですのね」
「分かるように言ってくれないかしら」
「元金がないのに「あのゲーム」に参加出来るはずないだろ。それにさっき俺と一緒に参加したゲームは所持金が稼げるようなゲームではなかった。所持金がないことに間違いはない」
「オプションが使えないなんて不利な戦いですわね。[ペンギン]は納得しましたわ。[針鼠]は何故走らなかったのです?当然[海豚]は[針鼠]にも個人メッセージを送ったのですわよね?」
「送った」
「所持金が少なくって…出し惜しみって言うのかなぁ。しちゃったんだ。いつ使うか分からないからね」
「生きていてこそですのに、愚かですわね」
「うんうん、ぐうの音も出な」
『2分が経過しました。第6回王様ゲームの王様を決定し、賽を振って下さい』
え、そういう言い方すると、ますます犬が「鬼」っぽい…
[ウサギ]1マス
[海月]4マス
[蝶]3マス
[海豚]1マス
[ペンギン]2マス
[針鼠]2マス
[犬]1マス
[ホルン]2マス
[スケボー]2マス
[リボン]1マス
同じマスの参加者はいない
ウサギは「指名」で、「鬼」であると思われる犬を「指名」するのだろうと思う
そして、自らの身の潔白を証明する
でも「誰が誰を指名したか」というのは結局のところ信頼問題
そう簡単に信じてもらえるとは思えない
あんな悲惨なゲームを最低2つもやって生き残っている
それは直接手を下したわけではなくとも、相手を殺そうとしたわけでなくても、例え不本意であったとしても、参加者を殺したことに変わりはない
それがそう簡単に信じるはずもない
そんなことはウサギだって分かっているはず
『王様は命令をして下さい』
「これから嘘を吐くつもりがある者は3マス前へ進んで下さい」