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オリエンテーション①

案内された小さな真っ白い部屋にはテレビゲームがある

今回はこれを使って命を賭けたゲームをするらしい

でも機械なんて主催者のやりたい放題


そんなことはしないのだろう、とは思う

けれど…なにか引っかかる

匿名であることに意味のあるゲームなのかもしれない

それならさっき別れた2人もこのゲームに参加する可能性はある


ゲーム機と繋がっているテレビの前の椅子に座ってしばらくすると、タキシードのようなものを着た男が映し出される


『先のゲームを勝ち抜かれた参加者様、おめでとうございます。これから行っていただくのは「双六鬼ごっこ」。その名の通り双六をしながら鬼ごっこをしていただきます』


テレビが映しているものが男の顔からゲーム画面に切り替わる


『こちらが双六の盤面です。特殊マスはございません。各々ランダムに割り振られた位置からスタートしていただき、1周したらゴールとなります』


たった24マスを1周なんて、すぐにしてしまう

スタートが早い人物が有利になる

どうやってサイコロを振る順番を決めるのか…


『使用するサイコロは0-4の5面ダイス。そして、全員が賽の目の通り動いたら王様ゲームをしていただきます』


気になるのはサイコロの目よりも…


「王様ゲーム…?」


『ルールはただひとつ。「王様の命令には忠実に応えなければいけない」のみ。なにを問うかは自由です。わたしからのアドバイスとしましては、これまでのゲームに関する問いや生死観に関する問い等がお勧めです』


このアドバイス、どこまで信用して良いものか…


『注意点としましては4つです』


まるで参加者の疑り深い視線を笑うように続ける


『マスの移動に関するもののみ王様にも適応されます。ゴールしても王様の問いに対して答える必要はありますが、マスの移動はありません。「勝ち」となっても同様であり、王様を引くこともあります。そして、王様の命令によるマスの移動は前後3マスが最大です』


勝ちってどういうこと


『「鬼」以外にも能力があります。詳しくはメニューから確認して下さい』


丸投げした!


『ゲームの進行について説明します』


こちらの声が届かないことを良いことにサラッと進めていく

…でも、悪役になりきれない人よりは良い

だって私たち参加者にとって主催者は悪だから


さっきのゲームの人は殺すときに泣いたりなんてして、考えられない

例え自分の本意ではなかったとしても、悪は悪を演じ切るべきだと私は思う


『まず王様及び番号を決めます。王様から反時計回りの順でサイコロを振っていただきます。全員がサイコロを振り終えると移動し、王様ゲームを行います。全員でやり取り出来る機会はこのときのみです』


聞こえるかは、反応するかは、分からないけれど言ってみよう


「最後の一文についてですが、言い方が抽象的で分かりません」


『王様ゲームを行っている間のみ全員が全員の音声を聞くことが出来るのです。もちろん個人を特定出来るようなことを言ってはいけませんし、特定の参加者同士のみのやり取りとなるのもいけません』


私の問いに答えたのか、元々言うつもりだったのか…

疑問は解消したわけだし、どちらでも良い


『王様ゲーム後能力の使用の有無を選択していただきます。全員が決定し次第こちらからアナウンスいたします』


軽く咳払いをした


『1つの能力が使用されました。ゲームに「負け」となった参加者は1名です。オプションが使用されました。これより2分間の自由発言タイムを設けます。…といったようにアナウンスをさせていただきます』


これは誰かが「どんな風に?」とかいう質問をしたんだろう

それより気になるのはオプションについて


『オプションについてもメニューからご覧下さい』


なんかさっきより投げやりじゃない?


『ではこれより5分後、第1順を開始いたします。それまでにメニューを良くご覧になってお待ちくださいませ』


見えてはいないけれど、深くお辞儀をしたのがなんとなく分かった

この人はこれを悪だと思っている

けれど逆らう力のない自分を憎み、悪役を徹底している


助けられるなら、こんな人に助けられたい


もっとも、私はここを自力で出なくてはいけないのだけれど

それでも誰かに助けてほしいと願っている

分かってしまったのだ

こんなところで命を賭けた戦いをしても、私は変わることなどない


どちらにしても、今やるべきことはひとつひとつのゲームをクリアしていくこと

さっきのゲームでもそうだったけど、全員が他人を殺してでも生き残ろうとする

それは普通のことで、絶対に変えることの出来ないことなんだと思う


――だから、殺すよ


決意を新たにしたところで、メニューの確認をしないと


変われなくったって、勝つんだから

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