新入生編3
「失礼します。」
先ほどの当直室に行くと、違う年配の男性がおり、新入生であること、荷物を置きに行き、タクシーに腕時計を忘れたこと、そのタクシーはT駅前にいた黒いタクシーであることを伝え、付近の黒いタクシー会社について知りませんか?
と訊ねると、
「多分、○○タクシーか、××タクシーだな。他に黒いタクシーはないからそのどちらかだろ。寮の電話の前に番号書いてあるはずだから、聞いてみろ。」
と連絡先まで教えてくれた。
「ありがとうございます。」
礼をしてから退出し、さっそくタクシー会社それぞれに電話をしたが
「あ~ウチじゃ学校まで誰もお客様乗せてませんね。」
「置き忘れたと言いますが、確かですか?車の番号言ってもらわないと、調べられませんね~」
とどちらもヘラヘラと笑いながら、答えてきたので、今のタクシー会社なら走行履歴でどの車がどこ通ったかわかるだろ。30分も経ってないぞ。と荒い声で言ったところ、
「しかし、落とし物として会社に上がってなければ、ウチもどうしようもないのよね~失礼だけど本当にウチのタクシーで無くしたの?いちゃもんつける気じゃなくて?」
……この発言で、どんな職種についてもこのタクシーは生涯の敵と決めた瞬間だった。
今でもこのタクシーは実在しますし、一度も利用していません