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平家蛍と甘い水  作者: 秋の桜子
11/12

それから

 5月のある日の夜、早い時間、


「ありがとうございました」


 カラランとケーキ屋から外へと出る俺、無事に大学卒業し就職も何とか果たし、今日はめでたい初給料、当然ながらお土産を買わなくてはならない。


 ………「イチゴだけじゃ無いの!お兄ちゃんセンス無い!」


 莉子がよく文句言ってたからな、ちゃんと職場の女子にリサーチして、キラキラケーキ買ってみた。少し寂しくなったお兄ちゃんだ。


 ………箱開けた時の莉子、選ぶ莉子、食べてる莉子、もう会えない。


 せっかくご希望に添える果物キラキラケーキなのにな、それにしてもケーキ選ぶのに物凄く疲れた。


 何故にあれ程種類があるのかー!名前なんて一度買った位じゃ覚えられない。


「せっかく買っても、もう御供えだけだしな」


 ケーキの箱を見ながらポツリと言葉が出る。仕方ない事だけど……


 まぁ、母親も好きだしな、莉子の話でもしながら食べるとするか。


 そう、莉子が食べられないのなら仕方ない、ここは、ぼくちゃんに俺を通して味わってもらおう!


 ここのケーキ屋は評判らしいからな。はっはっはっ!莉子、悪いがじっくり味わって頂くぞ!



 ――――「青少年、彼女ケーキどうだって?」


 翌日出社すると、ケーキ屋さんを教えてくれた数人の女子社員達がわらわらと集まって来た。で、その不名誉な呼び名は何だ?彼女って?はっ?


「昨日はありがとうございました。で何で青少年って、彼女とは?」


「ほうらぁー、やっぱり青少年彼女居ないわよー家族にお土産だったのよ、そうでしょう?」


 何の話になってる!たかがお洒落なケーキ屋聞いただけだぞ!


「まぁ、妹に御供えですけど、で!青少年っどういう事?」


 何気に御供えと言ってしまったので、その場は瞬間冷凍されてしまった。あちゃー!やっちまったか?


「妹さんに御供えって……」


 しんみりモードのその場の女子達、俺はさらりと事故でと話す。1人が少し目を潤ませながら


「そうなの、流石は青少年だわ……」


「あ、の、その青少年ってのなんですか?」


 辛抱強く彼女達に聞きただす、仮にも社会人だぞ!10代ではない!


「だって、坂上君って取り巻く空気が清らかーなんだもん、だからついた呼び名が『青少年』」


 うんうんとその場の女子社員達ばかりでなく、周囲の他の社員達もやり取りを聞いてたらしく、同意している。


 ガーン、何かショックだ、悪い意味では無いが何故だろう?この評価はイワガミ様の言ってたアレか?


『清らかなる者』


 アハハー、そうかぁそういう事かよー!俺は何も変わって無いんだけどな、何処が以前と違うのかよくわからない。


 うだうだと話してたら、今俺を指導してくれてる先輩が近づいてきて、ぽんぽんと肩に手を置く。


「いやいや、青少年はいい個性だ、お前一緒とクライアント先に行くとウケがいいんだよ。商談もサクサク進むしな」


 それは本当か?と周りのオッサン社員達が色めきたった。もうこいつ連れてかないと、俺はやっとれん!と先輩、


 おい、この先俺はどうなっていくのだ?オッサン達がキラキラと熱い視線送って来てるぞ!


 ……… おのれ、あのぶっ飛び神様、許せん。

























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