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平家蛍と甘い水  作者: 秋の桜子
10/12

検索、(一部改定)

  「莉子が可愛いから、女の子だったら一緒の名前にしてもいい?って聞かれたんだ」


 お姉さんとお友達になった後、事故の前にそんな事言ってたな。止めとけって俺は言ったな。


 うん、それは今でもそう思う、心の底からそう思う!


 てか、お前何処が!可愛いのだ?お兄ちゃんに説明してくれ!




 ―――家に帰るとソッコー、仏前の莉子の写真に俺は文句を言う。当たり前だろう!


 お前、小遣いくれないんだの、ニンジン残すだの何処が可愛いやら!久しぶりに会ったというのにあれは何だ?


 お兄ちゃんに説明しろ!もう一度夢でもいいから出て来て説明しろ……


「帰ってから、莉子に何文句言ってるの」


 呆れた母さんの声がかかった。



 ―――「さて、と」


 部屋に戻ると俺は荷物からノートパソコンを取り出す。でそれは置いておいて、先ずは気になる事を先に調べよう。


 主体であるデスクトップに向かうと鞄の中から例のペットボトルを取り出す。ラベルにプリントされてるホームページのアドレスにアクセス、


「出た、本当に通販してるんだ」


 疑問が俺の中で膨らんで行く、あのぶっ飛び神様何やってるのか?『ぼく』ちゃんは静かなので調べても問題無いようだ。


 胸に手を当てる。あの後この子の事を調べようとしたが、世も末だった。悲しい事が多すぎる。


 あのホタル達、全てがそうでは無い、莉子の様に不意の事故に巻き込まれたり個々様々だろうが……


 優しい世の中じゃねーな、とイワガミ様の気持ちが少し分かる気がした。


 俺ってあんまりいい人間じゃあ無いけど『ぼく』ちゃん位は守ってやるからな。


 ページに目を通して行く、創業は10年程前、銘水を探していた経営者がたまたま出会い、その美味しさに商品化?


「おい、あのぶっ飛び神様、そのオッサンに目をつけたか?最初に取り込んだか?で問題はだな」


 どうやって?だ。水に溶かしてるのなら、個別にしないといけないだろう?仮にも人間乗っ取り計画なんだから……


 俺の場合何故か?神様に目をつけられってな感じだったな、まぁそういう事もしてるのだろう。


 ということは、あのお宿もグルってか?そういう事になるな。冷蔵庫にガチで入ってたし、


 嫌、もしかしたらアレ入れとく客とそうでない客と選んでるな、何となくそう思う。


 つれつれ考えながらページを進んで行くと、


 あったよ、見つけたよ、お客様アンケートかぁ、答えたら割引ってか?


「性別、年齢、職業、家族構成、趣味か」


 選ぶんだろうな『器』を、上手く考えたなぁ、


 よく見る2リットルサイズの水だったら1人暮らし以外は厳しいから販売は、500ミリリットルサイズのペットボトルこれ一種類、5本よりお届けとな?


 俺の飲んだ本数から数えると、5本も飲めば終了だからな。けど結構な値段してるぞ、買う人いるのか?


「生産量も少ないってたし、まぁそうだろうけど、しかし気がつかないか?」


 それは「夢」記憶だ、入る側の、結構ヘビーな内容だったぞ!なぁ『ぼく』ちゃん。


「あっ、でも大丈夫か?俺もそこはしょせん夢とか思ったし、直ぐ忘れたし、それにあの水………」


 俺は口当たりの良いあの味を思い出した。飲めばさらりと入ってゆく甘味を含んだ清々しい清涼感……


 ペットボトル一本なんて軽く飲み干せる。


「清浄なる世界かぁ」


 ため息と共にページを閉じた。ぶっ飛び神様の計画知ったところで何も出来ないし、本当にそんな事現実に、行われてるな、ここに1人いる。


 俺はまぁ水は無料だったし、上手く取り込まれたというか、巻き込まれた?あの神様に目をつけられた、そんなところだが、


 しかし買うか?5本で送料込み1500円なりー、一本300円ってぼったくりとしか思えん!


 買う人いるのか?あくまでも表向き「水」だぞ!俺なら買わない!炭酸がどれだけ買えると思う。


 ふぅと、一息つく、天井を見上げ考えるテーマは…… あの時の自分について、色々自身の中で解決しておきたい。


 ………何故にあの時『ぼく』を受け入れたのか、雰囲気に流されたか?


 この子の事情とやらをイワガミ様に聞かされたか?


 莉子に出会えたからか?多分そうなんだろうな。莉子には何もしてやれない、出来ない。連れて帰りたい。強く思った。


 だから、あの場所から、莉子から離れるきっかけが必要だった。


 妹を連れて帰ることなど出来ない、彼女は既にこの世の者では無いのだから。だから吹っ切りたかった、だだそれだけ……


  『ぼく』ちゃんは妹、莉子の身代わり………


 神様は俺が自ら進んで「犠牲」になったと思ったらしいが、


 あれはただの「欺瞞」こうして客観的に考えると、俺もあの時かっこよく自己犠牲に浸ってだけど、ありゃ「自己欺瞞」だなぁ


 まっ、神様騙してた位だから自分も騙してて当たり前だろう。


 空のペットボトルを手に取る、俺の中のあの子の笑顔が浮かぶ。


 ―――『お水どーぞ』


 可愛かったな、いい子で寝てなくてもいいけどな。たまには夢の中にでも出てきてくれ。


 莉子とはもう夢でも会えないだろうから……





















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