貯金箱の付喪神
寝惚け眼を擦りながら見た時計は、ちょうど午後二時を指していた。
一人暮らしの大学生であること、今日が土曜日であることを考えても、少し寝すぎたように思うが、起きられなかったものは仕方がない。
午前中を無駄にしてしまったことを若干後悔しつつ、俺はベッド脇のカーテンを開け、上下ジャージの寝巻のまま起き上がった。
「昨日はあんまり眠れなかったからなー、起きられないのも仕方ないよなー」
意味のない自己擁護をしながら、昨晩のことを思い出す。
実は昨日、俺は小さい頃から使っていた貯金箱を開けるかどうかについて悩んでいたのだ。所謂、『百万円が貯まる貯金箱』というやつで、五百円玉でいっぱいまで貯めれば百万円まで入る代物である。
なかなか夢のある貯金箱ではあるが、俺の持っているそれはいっぱいまで貯まっておらず、入ってるのは、おそらく九割程度。
満杯ではないのにどうして開けるかどうかを悩んでいたのかと言えば、単純に大学生というのは常日頃金欠で、いつだって物入りなのだ。
せっかくここまで貯めたのだから百万円まで貯めたいという気持ちと、今ある分だけでも使えるようにしたいという気持ちがせめぎあい、昨日は就寝時間が遅くなってしまった、というわけである。
「まあ、さすがにもう決断したけどな」
貯金箱を開ける。一晩考えて出した結論はそれだった。
百万円まで我慢できない俺を意志薄弱と罵る人もいるかもしれないが、うん、言い訳のしようもない。実際のところ、金欠であるとはいえ貯金箱を開けなくても生活はできるし。だけど、それは食費とかをかなり切り詰めていかないといけないから、あんまりしたくないわけで。
それに、あの貯金箱には一体いくら貯まっているのかというのが単純に気になってしょうがないのだ。百万円の九割だから、まあ大体九十万円ほどじゃないかと俺は予想している。
九十万円。百万円よりは少ないがそれでも十分な大金だ。今の金欠状態を脱出してもなおかつ贅沢をするくらいの金は残るだろう。
入っている金額を想像して心躍らせながら、俺は貯金箱が入れてある戸棚を開いた。
中には手のひらサイズの幼女が鎮座していた。
「……なんだ、これ」
黒髪のショートヘアー、サイズぴったりの黄色い着物。
今時、時代劇か成人式くらいでしか目にすることのない、艶やかな恰好をした手のひらサイズの幼女が、正座をしながら黒々とした瞳をこちらに向けてくる。
何も言わず、俺は静かに戸棚を閉じた。
「手乗り幼女が戸棚の中に……」
いやいやいや、落ち着け俺。冷静になれ。常識的に考えて、あんなサイズの幼女がいるわけがない。そもそも俺の家に幼女がいるわけがない。そう、人形。きっとあれは人形だ。そうに違いない。だってほら、昨晩は結構酒とか飲んでたし。人形を拾ってきて、それを忘れていたんだとしたら今の状況は何もおかしくない。
恐る恐る手を伸ばして、俺はもう一度戸棚を開いた。
「…………」
そこには先ほどと全く変わらぬ体勢の手乗り幼女の姿があった。微動だにしないその姿に俺は安堵のため息を吐く。
なんだ、やっぱり人形だったか。驚かせやがって。
そう思うのと同時に、幼女は口を開いた。
「…………私は神だ」
俺は戸棚を閉めた。
○
「全く、神に対してその態度。随分と不遜な人間だな」
「はぁ……」
手のひらサイズの幼女は不機嫌そうに頬を膨らませて、こちらを睨む。
戸棚をそっと閉じた後、幼女がぎゃーぎゃーとうるさく騒ぐものだから出してやれば、先ほどからずっとこの調子である。
口を開けば、やれ不敬だの、罰当たりだの。最初はそれなりに真面目に聞いていたが、今ではもはやBGMと変わらない。
「はぁ、とはなんだ。神が目の前にいるのだから、もっと敬え、奉れ」
そんな雰囲気が露骨に出てしまっていたのか、俺の返答に幼女は噛みついてきた。
「いやでも、いきなり神様だって言われてもね……」
サイズからして、この幼女が人外であることは明白だが、だからといってそれが神であるとはにわかに信じ難い。
というか、この幼女を神様だとするなら、頬を膨らましたり、地団太を踏んだりと、あまりにも仕草が子供っぽい。外見はともかくとしても口調に比べて尊大さが著しく欠けている。
「大体、神様だっていうなら、何の神様だっていうんだ」
「私がいた場所でわからないのか? 悠久古来より、百年を経た器物には神が宿るとされている。それは月日を重ねることで物に込められた念が昇華され、やがて霊力を持つように――」
「おっと、難しい話で煙に巻こうとするなよ。言っておくが俺は馬鹿だからな。ちゃんとわかりやすく言わないと、お前の話を何も理解できないぞ」
複雑な話の気配を察知して先手を打つと、幼女は心底呆れたような表情でため息を吐いた。
「いったいどんな脅迫だ……わかった。蒙昧無知のお前でもわかるよう、簡潔に、結論だけ言ってやろう。私はお前が使用していた貯金箱の付喪神だ」
「付喪神……?」
その単語は聞いたことがあった。
付喪神、九十九神とも書かれることがある超常的存在であるとか、その程度の認識しかないけれど。
同時に俺はようやく気が付いた。
戸棚に入れていたはずの貯金箱がなくなっていること、そして手乗り幼女改め付喪神の大きさが貯金箱とほぼ同じくらいだということに。
「え、ってことは、お前って、あの貯金箱なのか?」
「その通りだ」
「で、付喪神と」
「そうだ。わかったら崇めろ、神酒を出せ」
幼女は鼻を膨らまして、得意げにふんぞり返る。
「付喪神となった器物はその性能を大幅に向上させるのだ。例えば掃除機の付喪神なんかは、吸引力が九十九倍になったりして、とても便利なんだぞ」
「もはや兵器だろ、それ」
持ち主の苦労が偲ばれる。
「しかも、なんで九十九倍なんだよ」
「なぜって、私たちは九十九神だからな」
名前に引っ張られるのかよ。
百年とか、年月とかそっち方面が由来で九十九となったんじゃないのか。
「――って、あれ? なんかさらっと言ってたけど、そういえばお前。付喪神になるには、長い年月が必要とか、百年かかるみたいなことを言ってなかったか?」
名前つながりで思い出したが、確かそんなようなことを最初に言っていたはずだ。
そう考えるとつじつまが合わない。確かにあの貯金箱は小さい頃から使ってはいるが、それでも使用期間は二十年すら越えていない。
「そんなことか。いいか、思い出せ。お前は私を百円ショップで買っただろう?」
「おう」
「で、元の私は百万円まで貯められる」
「そうだな」
「つまりそういうことだ」
「どういうことだ」
何一つわからない。
これは俺が馬鹿だからとかじゃないと思う。
「こう……なんか百がうまいこと重なって、付喪神になったのだ……たぶん」
「お前、最後に多分って言っただろ」
「というか、そもそも本当に長い年月のせいで付喪神になるのか定かじゃないし……そういう例が多いだけだし……」
曖昧だなぁ。大丈夫なのかよ、付喪神業界は。
「しかしまあ、そんな細かいことを気にするな。大事なのは私が付喪神としてここに顕現しているという事実だろう」
開き直ったように笑顔を浮かべる付喪神。
どうも彼女自身、自分がどうして付喪神になったのかよくわかっていないようだ。
とはいえ、こいつが言うように重要なのはそこではない。
「OKわかった。とりあえずお前が付喪神だということで話を進めよう。そうなると、一つ聞きたいことがある」
「ほう、なんだ? 神であるこの私に何でも聞くがいい」
神だと認めてもらえてうれしかったのか、先ほどまでとは打って変わって、寛大な態度をとる付喪神。その表情はこらえきれない笑顔をかみ殺しているようで、存在しない尻尾をぶんぶんと振っているのが目に見える。
この程度で喜ぶとか、最近の神様は承認欲求が強いのだろうか。
そんな感想を抱きながら、俺は付喪神に尋ねた。
「お前が貯金箱だっていうなら、中の金はどこに行ったんだよ。あの金がないと、今月の食事は全部カレーライス(カレー抜き)になるんだけど」
「それはただの白米だろう……」
脱力気味にツッコミを入れる付喪神だが、冗談抜きに死活問題なのである。
小さい頃からコツコツ貯めてきて、昨晩使うことを決心した俺の貯金は一体どこへいったのか。こいつが貯金箱の付喪神だと言った時からずっと気になっていたのだ。
「まさか消えたとか言うんじゃないだろうな」
「それこそまさか、だ。安心しろ。お前の貯金はちゃんと残っている。しかし、どこにあるのかを口で説明して理解させるのは面倒だな……おい、お前。五百円玉は持っているか?」
「五百円玉? いや、持ってな――ああ、一応持ってるっていうのかな、これ」
財布から取り出して思案していると、付喪神が俺の手から五百円玉を掠め取る。
「あ、ちょっと――」
「いいか、よく見ていろ」
俺が取り返す暇もなく、付喪神はそれを頬張った。
手のひらサイズの付喪神だから、それは体に対して相当大きなもののはずだが、苦労を見せる様子もなく、そのまま数度咀嚼して、飲み込む。
「ふん、なかなかにいい味だな」
「――食った、のか?」
「食った、というのは正しくないな。人間の食事とは意味合いが違う。どちらかと言えば、これは収納だ」
「収納?」
言っている意味が一瞬理解できず、俺は聞き返してしまった。しかし、その反応は予想していたとでも言わんばかりに、付喪神は説明を続ける。
「元来、私は貯金箱である。性能面でグレードアップこそすれど、本質は付喪神になっても変わらん。つまり、お前の金はちゃんと私の中に蓄積されているのだ」
付喪神はイカ腹を叩いて、得意げにそう言った
俺はひとまず安堵のため息を吐く。とりあえず、これで今まで貯めた貯金はちゃんと残っていることが判明したのだ。今日一番の朗報である。
「たとえ人型になろうとも、器物としての矜持は変わったりしない。それが付喪神なのだからな」
その態度には、先ほどまでの得意げな様子とは違い、確かな誇りを感じることができた。きっとこいつにとって、付喪神であり器物として、機能を果たすということは譲れない部分なのだろう。
――だからこそ、余計に言いづらい。
「……ところでさっきの五百円玉、美味いには美味かったが、今までに食べたことのない味がしたのだが、一体いつどこで作られたものなんだ?……?」
首を傾げる付喪神。まさか、こいつ本気でわかっていないのか。
事実を言うべきかどうか少し迷ったが、意を決して俺は付喪神に伝えた。
「あれはな、俺が去年百均で買った、子供銀行の五百円玉なんだよ」
○
俺の財布にたまたま入っていた子供銀行の五百円玉、要するにおもちゃを食べてしまった付喪神は、あの後、大いに暴れたが、半分以上自業自得ということで、割と早くに落ち着いてくれた。
今では体育座りをしながら、床に指で『の』の字を描いている。
ありていに言えば、彼女は拗ねていた。
「あのー、付喪神さん? そろそろ機嫌治しません?」
「どうせ私は玩具と金の区別もつかない馬鹿舌だよ……」
最初の威勢はどこへやら。こちらが下手に出てもネガティブオーラ全開のままである。
やはり事実を伝えるタイミングがまずかったか。あれだけ誇り高く付喪神の矜持とかを語っていたのに、実際はお金とおもちゃの区別もつかないとくれば、あまりにも道化すぎる。
「こんなんだから、付喪神は神じゃなくて妖怪だ、とか言われるんだろうな……グーグル先生も付喪神は神じゃないとか言うし……どうせ私はダメダメだ」
「お前、ネットとか使うのか……」
今日聞いた何よりも意外すぎる事実だった。いつ使う機会があったんだか。
しかし、どうにも困ったものだ。先ほどの失敗で付喪神としてのコンプレックス的な何かを刺激してしまったようで、現在、彼女はかなり意気消沈しており、比喩でなく消えてしまいそうな儚ささえ醸し出している。
ショックを受けすぎだろ、と思わなくもないが、しかしこのまま本当に消えてしまわれても困る。
「もう、どこかの山奥で静かに暮らそうか……」
ほら、こんなこと言いだしてるし。
別に山奥で暮らしてもらっても一向に構わないが、せめて俺の貯金は置いていってほしい。
少なくとも俺の金を出してくれるまでは、なんとかこの付喪神をおだてて、この場に引き留めないと。
「それにしてもよく考えてみると俺は幸運だよな!」
「……なんだそれは。私への当てつけか」
「いやいや、そうじゃなくてさ。よく考えたら物がこうやって話していること自体、すごいことだし、なんというか、その、とにかくすごいし、マジでやばいし、そんなものを見れるだけでも幸運なのに俺の所有物から生まれたのは本当によかったなぁって……」
褒めるの下手すぎか、俺は。
露骨で、しかも大して褒められてもいないこんな褒め方で、こいつが機嫌を直すとはとても――
「そうだろう、そうだろう! 私はすごいんだぞ!」
元気溌剌、効果覿面だった。
先ほどまで落ち込んでいたはずの付喪神は、今では仁王立ちでどや顔を浮かべている。
いくらなんでもチョロすぎんだろ。
今は都合がいいけど、なんか先が心配になってくる性格である。
「そうだ! 神だの妖怪だの、そんなちっぽけなことで悩む必要はないのだ! 私を使う人間が私の価値を知っていることこそが肝要なのだ!」
若干、自分に言い聞かせているような節もあるが、それでも完全に先ほどまでの調子を取り戻したようだった。
「じゃあ元気が出たところで、とりあえず俺の貯金も出してくれよ」
とりあえず金さえ返してもらえれば安心できる。そう思って、俺は付喪神に貯金を崩すことを要求した。
「何を言っている? 今はまだ無理だぞ」
しかし、その要求はあっさりと突っぱねられる。
「……え、無理? なんで?」
「さっきも言っただろう? 付喪神になった器物はその性能が強化される。私は貯金箱だからな。お金を貯めるという性質が強化されて、私という容器がいっぱいになるまでは何があっても金を引き出せないようになっているんだ」
「……じゃあ、今月どうやって過ごせばいいんだよ。ゲームも漫画も買ったら、ほとんどお金が残らないんだけど」
「……ゲームや漫画を買わなきゃいいんじゃないか?」
ぐうの音が出ないほどの正論である。
実際それらを買うのを我慢すれば、貯金が引き出せなくとも、食事はカレーライス(カレー抜き)からカレーライス(福神漬け抜き)にグレードアップするだろう。
やっぱり我慢するべきなのか。
「……どうやっても引き出せないのか?」
「無理だな。限度額まで貯め切らなければ、核爆弾を使ったって私から引き出すことは不可能だ」
他に方法がないかと尋ねてみるが付喪神は首を横に振るばかり。
それが分かった途端、自分でも意外なほど貯金への執着が消えていくのを感じた。
「なら、しょうがないか」
「もっと駄々をこねると思ったが、随分と物分かりがいいじゃないか」
あっさりと諦めた俺を見て、付喪神は意外そうに眼を丸める。
俺自身も、こうも執着なく納得できるとは思わなかった。
「まあゲームとかはまた今度でも買えるし」
思えば俺自身、貯金箱をいっぱいにするということに未練があったのだ。
小さい頃から百万円を目指して貯めてきたのに、あと少しというところで頓挫してもいいのかという葛藤もあった。
それでも物欲に勝てなかった俺だったが、付喪神が強制的に手段を断ち切ることで、やっと諦められたのだ。
もしかしたら欲に負けそうになっていた俺を戒めるために、貯金箱は付喪神になったのかもしれない。
「……だとしたら、俺はこいつに感謝しなきゃいけないな」
「ん? どうかしたか?」
「いや、何でもない」
心の中で呟いたつもりだったが、どうも声に出ていたようだ。
照れくささを隠すために、俺は話題を探す。
「そういえば、今いくら貯まっているかってわかるのか?」
厳密に自分がいくら貯めていたのかを知らないことを思い出し、尋ねると付喪神は小さく頷いてみせた。
「それくらいだったらすぐにわかるぞ、えーと……」
目を閉じ、指をこめかみに当てて思案する付喪神。
「今の貯金額は九十一万千五百円だな」
「やっぱりそんなものか。ってことは、貯金を引き出すのに必要なのは、あと……」
百万から九十一万千五百を引いて……えー……ああもう、めんどくせぇ。ざっとでいいや。
見れば付喪神のやつも指を折って計算している。その姿がほほえましかったので、俺は答えが出るのを待ってやった。
ちょっとして、答えが出たのか、付喪神は満足そうに笑みを浮かべる。
お互いに顔を見合わせて、答えを確認するように、俺たちは同じタイミングで答えを言った。
「――だいたい十万円だな」
「――九千八百八万八千五百円だな!」
「…………」
「…………」
「「え?」」
計算ミスとか、誤差とか、そんな言葉で片づけられないほどの決定的な違いが、俺たちの間には生まれていた。
「……おい、付喪神。現代日本の為替レートで頼むぞ」
「私が現代日本以外の為替レートで計算するわけがないだろう。お前こそ、いくら馬鹿とはいえ、四則演算で桁違いのミスをするなど、恥ずかしいとは思わんのか」
互いに相手のミスだと言い張って話が進まない。
でも、そもそも俺が計算ミスをしているのはあり得ないんだ。
百万から九十万を引けば、十万になる。こんなのは小学生だってわかることだ。
つまりどう考えても付喪神の計算がおかしい。大体、あの貯金箱はいっぱいまで貯めても百万円にしかならないのに、どうしてそれ以上の値が……って、まさか。
「おい、付喪神。お前まさか……容量が、増えたのか?」
「その通りだ。言っていなかったか?」
「……ちなみに如何ほど?」
「もちろん九十九倍だ!」
「ふっざけんなっ!」
九十九倍って。百万円の九十九倍っていったら九千九百万円ってことで……大体一億円じゃん!
「なんだ、嬉しくないのか?」
「嬉しいわけないだろ! 人生の中で一番貯蓄がある六十代の平均貯蓄ですら一千万とかそこらだぞ!? 一億円なんて貯まるわけあるか!」
「そ、そうなの?」
「そうなんだよ!」
一億貯めるまで金を引き出せない貯金箱なんて、凡人にとってはもはやシュレッダーと変わらない。
「なあ、どうするんだよ! 俺の九十万円はこのままなかったことにされるのか!? それとも実は言ってなかっただけで、どうにかして引き出す方法があったりするのか?」
泣きそうな俺に向かって、付喪神は誤魔化すように笑い、人差し指で俺の胸辺りを示した。
「あー……臓器って高く売れるらしいぞ?」
「お前が売れよぉおおおおお!」
とある土曜日の午後二時過ぎ。
閑静な住宅街に一人の大学生の悲痛な叫びが響いたのであった。