5話
セキトにニンジンを与えた後、ヤトはステータス画面とにらめっこしていた
「スキル欄が1つ空いてる」
鉱石を採掘しに行っている際にできた空きのスキル欄、そこに何を入れるかを悩んでいる
(さて、どうするか。生産スキルを入れるかそれとも攻撃スキルか…フーム、ウーム)
考えている間、取得できるスキルの一覧を確認していく
(セキトに乗って戦闘をするなら槍スキルが良いと思うけど)
うーん、とセキトを預けている柵の前で悩んでいると
『カプッ、もしゃもしゃ』
「へ、ちょ、ちょっと待てセキト。もしゃもしゃす、痛て、痛テテテ」
ヤトの髪にかぶりつきもしゃもしゃを始めるセキト
「や、やめろセキト!」
強く命令すると口を動かすのを止めヤトを見つめる
「はあ~、髪型がめちゃくちゃになったな」
手で髪型を少し直してからセキトを見る
「・・・・」
「・・・・」
両者、無言で見つめる
「お前、俺を乗せて戦いたいか?」
「ブルルルッ!」
ヤトがセキトみ向けて問いかける、それに応えるかのように頷くセキト。なんだかんだでこのゲームのAIってかなり高性能なのか…
「分かった」
その応えで取るスキルを決めたヤト
『槍スキルを習得しますか?』
『槍スキルを習得しました』
ウィンドを操作して槍スキルを習得した
習得した後、ヤトは調教ギルドを出て木材屋で木の棒を買い鍛冶ギルドに向かった
工房を借りて早速作業に取り掛かる
使うのはアイアン・ブロンズインゴッドと木の棒
6個あるブロンズインゴッドを鍛金し品質cに上げる
鍛金したインゴッドは2つ、この2つを炉の中に入れ取り出し、真っ赤に加熱したインゴッドをカンッカンッカンッとリズムよくたたく
インゴッドを持っているはさみで角度を調節しながら片方を剣の先のような形にもう片方を長方形型に整える
買ってきた木の棒を少し切り抜き、長方形の部分がちょうどはまるようにする。冷い下インゴッドを木の棒をはめる、そのあとアイアンインゴッドではめた部分が外れないよう止めて完成
『槍 銅矛の長槍』品質Dレア度2
AP4 耐久値100
先端が銅の矛で出来た槍
完成した槍を手に取り満足気に
「いい出来だ」
職人のような言葉を出す
できた槍を試す兼鉱石の採掘に向かうためセキトと共に東に向かう
草原
「ドウドウ、ここらへんでいいか」
乗馬がうまくなったのか前回通った時よりも早くなっている
「セキト、ここらへんで狩りをするぞ」
今回、洞窟に向かう途中にある草原で槍の性能を確かめる
「ちょっと、待ってろ」
そういうと、ヤトはあるスキルを発動させる
鷹の目発動!
心の中でつぶやくと視界にまるでコックピッドのような視界になった
そしてしばらく進んでいくと
ピコン!
視界の中でターゲットマークが出た
「来た!」
ヤトはそれまでゆっくりとした歩調だったが目標目掛けてまっすぐ突っ込み槍を突き出す
「ギャウン!…」
「グル?ギャぺシ…」
倒したのは草原で出現するウルフ、突き出した槍で1匹、セキトが踏みつぶしたのが1匹で計2匹倒した
手に入ったのは狼の毛皮、獣の肉であった