1話
VRMMO とある中小IT企業が開発し大手の電機企業が増産、初の販売を行った期待の作品
曰く、剣と魔法が混ざったまさにファンタジーの世界
曰く、剣士、戦士、弓兵、盗賊、魔法使いの攻撃職だけでなく鍛冶師、木工師、革師、宝石商といった生産職も充実しているゲーム
曰く、フィールドも広く終わりの見えない
などなど様々な定説がネットで噂されている
そんなVRMMOを俺こと谷戸 和也は今この日やっと購入することができた
『プレイヤー名を決めてください』
購入後、すぐに準備ログインすると視界が真っ白になり何もない空間に飛ばされた。そこで抑揚のない声が聞こえウィンドが開き、キャラメイクが始まった
「えーっと、名前は『ヤト』で」
プレイヤー名のところに『ヤト』と打ち込むと再び声が聞こえた
『ヤト様ですね、かしこまりました。次にスキルを選んでください。ただし必ず攻撃系のスキルをお選びください』
声が聞こえなくなるとウィンドの項目が移動し、スキルの欄になっていた
「じゃ、決めますかね」
スキルは今のところ5つまでしか選べないらしい。なので攻撃スキルには『槌』を選んび、あとのスキルには『鍛冶』『掘削』『鍛金』『鷹の目』
鍛冶・・・文字通り武器を作るスキル
掘削・・・鉄鉱石などの鉱物の採取に影響
鍛金・・・インゴッドを消費し品質の高いインゴッドを造れるらしい
鷹の目・・・目がよく見える?あと戦闘などでタイミングの表示が出るらしい
とこんな感じのズバリ生産という感じのスキル構成だ。鷹の目に関してはある実験をするために取った。スキルを決めると『これでよろしいですか』と確認のウィンドが出たので『はい』を押した
するとまた再び声が聞こえ
『スキルがお決まりのようですね。ではこのゲームの説m.....』
ネットで説明を熟知しているので聞き流す。要約するとこのゲームはファンタジー世界でゴブリン、オークといった魔物が出る。それらを倒したり、ダンジョンを攻略したりといろいろ楽しむ要素があるんでどうぞって感じ
説明が終わったようなので意識を声の方に向ける
『説明はこれで終了になります。これから始めりの町に転送を行います。そちらにある「ギルド」に向かいチュートリアルを行ってください。ではよい旅を』
声が聞こえなくなると真っ白い世界からいきなり街並みの世界に変わった。内心驚きはしたが気を取り直し謎の声が言ったようにギルドに向かう
ギルドの場所を知らないので近くにあった屋台で話を聞く
「すいません」
屋台の店主に目を向けると軽くひげを生やしたおっさんがいた
「おう、何だい」
「ギルドの場所を知りませんか」
「ギルドの場所か知ってるぜ、もしかしてあんた旅人か」
この世界で言う旅人とはプレイヤーのことでそのように言うのはつまりNPCである
「ええ、まあ」
「そうかい、また新しい旅人が来てくれるなんて嬉しいぜ。とギルドの場所だったな、ギルドはこの先だ」
指をさし教えてくれる
「どもありがとうございます」
「いいってことよ、と待ちな」
そういっておっさんは焼いていた串焼きを手に取るとヤトに渡す
「これ、受け取れ。祝いの品だと思ってな」
「それは、・・・ありがとう」
「いいってことよ」
がっはっは、と大笑いするおっさんは「だが次は金をもらうぞ」と言っていた
屋台を後にしてギルドに向かう、その間もらった串焼きを食う
「・・!うま」
串焼きの名前とみると
『ホーンラビット肉の串焼き(醤油)』
とあった。ホーンラビットって確か草原で出てくるMOBだよな、こんなにうまいなんて
ギルドに到着する前に串焼きをたべきりギルドの受付に向かう
「本日はどのようなご用件で」
美人な受付嬢がそこに…はいなかった。年頃の女性がそこにいた
美人受付嬢っていう定番はない、確かネットであったなそんなこと。ゲームでこれってないよなあ
そう感じつつヤトは初めてここに来たことを伝えると受付の裏に案内される
「ほう、次の旅人さんはお前か」
筋肉もりもりの男がそこにいた
そのあと攻撃の仕方について教えてもらうことになった
1つは自身で攻撃する通常攻撃、力加減でダメージが変わるらしく俺の場合初期装備の片手鉄槌で殴ることらしい。もう一つがスキルの武技による攻撃、スキルのレベルによって覚えられる武技があるらしく通常よりも威力は強いが強力な武技は連発が無理らしい、ちなみに槌の初期武技が「スタンプ」ほぼ通常の攻撃と変わらないが威力が少々違う
そんなこんなでチュートリアルを終わらせた
「さて、向かいますかね」
そういって向かったのはギルドの向かい側にある『鍛冶ギルド』
中はギルドと同じような構造であったが少々熱気がこもっていた
「おう、お客かい」
受付にはハンマーを片手に対応する男がいた。ハンマーを方にかけている姿はまさしく親方、その雰囲気に少し恐怖を感じながら会話する
「い、いえ鍛冶のスキルを持っているので教えてもらおうかと」
「ほう、スキルをね・・・」
一呼吸おいて
「・・・ついてきな」
「・・・へ?」
え、今の間って『お前のような弱弱しい奴ができると思ってるのか』とかいうんじゃないの
「ん?どうした。来ねえのか」
「え、あはい今行きます」
そっからはギルドと同じような感じであった。鉱石からインゴッドを作る工程、インゴッドを炉に入れて武器の原型を作る工程、仕上げる工程、あと鞘の作り方といった基礎を目の前で作りながら教えてもらった
説明が終わると親方が炉の前から移動し
「ほら、やってみな」
実践あるのみ、そう語る目線を送る親方
「分かりました」
そういって、炉の前に立った
鉱石からインゴッドを作る過程で親方から銅鉱石を使えとアドバイスをもらった。銅鉱石は安く加工が簡単なようなので初心者には向いていた、そこでヤトは親方にあることを聞く
「親方、鉱石は数を気にせず使ってもいいですか」
「お、親方って俺まだ20何だが…まあいい数は気にしなくていいぞそこにある鉱石はお前みたいな初めてのやつに使わせるためのやつだしな」
その顔で20って…気になる言葉を聞いたがスルーする。許可をもらったってことで銅鉱石からインゴッドを作る。炉に鉱石をまとめて入れた後、ある程度熱したら金槌で叩く。何回か叩くと変形が始まり長方形のインゴッドに代わる
『ブロンズインゴッド 品質Dレア度1』
品質はそのまんまの意味、品質によっては武器の威力や効果が変化する
レア度はレアリティーがどの程度なのか、数値が高いほどレアリティーが高い
ブロンズインゴッド×15
そこからヤトのあるスキルが輝く
『鍛金』インゴッドの品質を高めるスキル。このスキルは同じインゴッドを3つ使うことで品質を高めることができる
金床にインゴッドを置いて鍛金
『ブロンズインゴッド 品質Cレア度1』×5
ピンポン
インゴッドを鍛金し終わると音が鳴りウィンドが開く
『スキル「鍛金」がレベルアップしました』
という文字、それを確認し終わると作業に戻る
そこからは先ほどと同じ武器の形を作っていく
カンッカンッカンとリズムよく金槌を振るう。作っている武器は刃の部分は尖っている、持ち手は丸い棒状に…完成!
『銅のつるはし 品質Cレア度1』
両手槌 AP3 耐久値150
鉱石採取使用時・・スキル「掘削」を付与
・・・・・・・・嘘だろ
せっかくとったスキルが武器で取れるとか・・
数分の葛藤があったが気を取り直しできた武器を見せる
「ほう、つるはしか。耐久値は仕方がないが、スキル付とはなかなかどうして」
ふむふむ、つるはしを手に取り観察する
「なるほどは、うむいい出来だ」
そう褒められるとヤトは小さくガッツポーズする。だが話はそれだけではなかった
「もし、お前が良ければこれを買い取りたいのだが」
「・・・へ?」
三国系で出てくる武器の情報をもしよければ教えてほしいです