両想い ~Part4
「佳き日」
あなたと出逢ってから
もう四年の月日が経つ
あなたは思い遣り深く
いつも正義感にあふれ
曲った事をとても嫌う
そんなあなたに心惹かれ
いつしか私は変ってゆく
いつも胸を張って生きる
そんな人間になれた事を
今あなたに感謝している
あなたに出逢えて本当に良かった
変わりゆく自分がひたすら嬉しい
なによりあなたと共に生きてゆく
明日からの人生の目映さを
心から幸せだとかみしめる
明日こそは人生最良の一日
「アニバーサリー」
今日は朝からそわそわと
午後のお茶もそこそこに
クローゼット内の洋服全て並べて
鏡の前で思案顔
スーツにしようか大人の女
それとも清楚なワンピース
服を決めたらヘア&メイク
華やかな夜会巻き風に髪を結い
ルージュとシャドウの色に迷う
そんなこんなで日が暮れそうで
ああ、時間に遅れてしまう
今夜は特別な待ち合わせ
昔よく来たホテルのロビーで
リクエスト通りの花束を手に
少し照れたように待っている
あなたの姿が目に浮かぶ
結婚する時、約束したの
恋人時代に還るディナータイムを
年に一度の「結婚記念日」には
「前略……」
毎日が温かくゆっくりと
穏やかに過ぎてゆくから
時折貴男のこと思い出す
今、どこで暮らしてますか
ご飯はちゃんと食べてるの
平凡な結婚を私に残し
一人去っていった貴男
私ではなく自分に正直に
生きることを選んだ貴男
あなたのあの夢が叶う日を
遠い空の下で祈っています
「恋の病」
眠る間際、彼から必ず携帯に
「おやすみ」のメールが届く
ただそれだけでどきどきして
いろんなこと考えて胸が一杯
途端に眠れなくなってしまう
そんな不眠は恋の病の第一歩
「匂いの記憶」
煙草の匂いは父の匂いだった
儚いけれど深い記憶の奥底で
まだ恋を知らない少女の日々
けれど月日は過ぎてゆき
匂いの記憶は形を変える
煙草の匂いはあの男の匂いへと
「たゆたい」
顎をわずかに持ち上げて
左手の指、軽く
握る
望んだのは私
けれど躰震えて
心臓の音、鳴り響き
もう後へは戻れない
ただなされるがまま
たゆたうだけ……
「ふたり」
自然に求めあい
口唇を吸う、そして
キスの味しめてしまう
戻ろうなんて思わない
惹かれあう心と躰さえあれば
ふたり怖くない
「その一瞬」
例えば行為の最中に
女は瞬間、目を開き
男は無心に唇を吸う
その一瞬が好き
「それが一緒にいる理由」
ひとりでは耐えられない耐えがたい諸々も
二人だったらきっとなんとかなる気がする