片想い 〜Part1
「碧いおもちゃ箱」シリーズでご覧下さい。
「切ない恋の終わり方」
嫌いになったら別れましょう
そんな台詞で始まったふたり
どんな結末を迎えてもきっと
平気で過ごせると思っていた
その恋を失おうとしている今
泣くでなく取り乱すことなく
唯あなたの背中を見つめてる
君は強いねとあなたは言った
強いわけじゃない側にいたい
そんな叫びを飲み込んで私は
唯あなたが去るのを見送った
部屋の中でひとり膝を抱えて
心に空いた空白に呆然となる
私は自分を知らなかっただけ
恋に対してどんなにか傲慢で
本物の恋をするには幼過ぎた
「憧れの人」
ずっと憧れの人だった
出逢ったあの日からあなたは
私の心の全てを占め
誰よりもかけがえのない人だった
あなたを見つめる時間は
切なく甘く
それは幸せな苦しみだった……
そうあなたにはもう既に
かけがえのない女がいる
あなたはずっと
憧れの人のまま
私の中で
「倫ならぬ恋の夜は更けゆく」
あの女を抱くその腕で
あの女の髪を梳くその指で
あなたは私に触れるのですか
あなたの視線の先にあるもの
あなたの口唇から漏れる呟き
何一つ逃さず
何一つ奪わず
あなたの愛しい女になりたい
あなたが疲れ傷ついた時には
あなたの側に寄り添っていたい
ただそれだけのことが叶わない
倫ならぬ恋の運命の
夜がまた更けてゆく
「あなたを感じる時」
あなたの瞳の色が変わる
わたしの躰から力が抜けてゆく
あなたに抱かれるまで口唇さえ
こんなにも
感じるなんて知らなかった……
「あなたが遠い」
あなたの影が薄くなっていく
あなたのその指先
あなたのその口唇
あなたの全てが
私から離れてゆく……
あなたの心はここにはなく
そしてあなたがだんだん遠くなる
「失なった恋」
心にぽっかりと穴が空いたその日から
だれでもいい、抱かれ続けて
心を充たしたかった
狂おしい程の切なさで
でも本当はわかってる
あなた以外の誰一人
あなたの代わりになんかならない
「呪縛」
抑えきれない
抱えきれない
溢れ出すこの情熱を
どこへぶつければいいのだろう
躰も心もとらわれたまま……
「恋人」
人肌の温もりに唯一度でも
触れれば
離れられなくなる、側に
いて欲しい……
「距離」
側にいる
あなたが私の隣にいる
こんなに近くにいるのにあなたはいつも
いつも遠い……
「熱視線」
泣いてしまう
瞳見つめられない
あなたの視線に射すくめられて
「ソフト・フォーカス」
涙のレンズを通した世界はもう
あなた
あなたしか見えない……