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医学の雑談  作者: aki o
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抗がん剤 その1

脱線ついでに、抗がん剤について、何回かに分けて、書いていこうと思います。

今回は、抗がん剤に関する話である。始めに書いた通り、薬には、副作用が付き物で、抗がん剤の場合は、強力な副作用が現れる、というより、それを覚悟で用いる、ということである。どの抗がん剤にも共通して見られる副作用は、胃腸障害、骨髄抑制がある。いずれの器官も、細胞の増殖が盛んであり、それ故、細胞分裂を阻害する抗がん剤の作用を、直に受けてしまう訳である。胃腸障害は、例えば、出血、潰瘍の形成、嘔吐などがある。骨髄抑制は、白血球の新生が行われなくなる。つまり、免疫系の異常を引き起こす可能性がある。

(余談であるが、白血病は、通常、白血球数の上昇を示すのであるが、時に、減少を示すことがある。)

 さて、西洋薬には、ターゲットがある、と最初に述べた。抗がん剤のターゲットは、癌促進分子、癌抑制分子、更に、腫瘍血管がメインである。癌促進分子を阻害し、癌抑制分子の働きを促進、加えて、癌細胞自らが作り出した血管をブロックすることにより、癌細胞の更なる増殖を抑えることを目標にする。

 最初に、説明するのは、アルキル化剤である。アルキル化というのは、化学的な分子修飾のことである。別名、ニトロジェンマスタードとも呼ばれているのだが、これは、第一次世界大戦時に開発された毒ガスの成分である。殺人兵器として開発された薬品が、百年の時を経て、医療に用いられるというのは、何んとも奇妙な話だと思えるだろう。

 アルキル化剤の作用は、がん遺伝子の化学的修飾による、セントラルドグマ阻害ということが出来る。セントラルドグマとは、設計図であるDNAから、RNAを介して、タンパクを合成する経路のことであり、生物、細胞、全てにおいて普遍的な原理である。(ドグマは、日本語では、教義、と訳される。)正常なDNAを化学的に修飾することによって、DNAの異常と認識され、分裂が進まなくなり、増殖を抑えることが出来る、という理屈である。作用が強力であるため、当然副作用も現れる。主なものは、膀胱の障害である。

 アルキル化剤に属する薬品は、シクロフォスファミド、イフォスファミド、メルファランなどがある。

 アルキル化剤と似たような作用を持つ薬品に、白金製剤がある。元々、抗菌薬として開発されたのであるが、研究が進むうちに、抗がん剤としての機能を有することが分かり、シスプラチン、カルボプラチンなどが、抗がん剤として使用されている。


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