西洋薬のターゲット
西洋薬のターゲットは大きく分けて4つあります。
今回は、そのうち、3つについて書きます。
西洋薬vs東洋薬その2
9月から始まった薬理学の授業は、12月で終了した。最後の授業のテーマは、妊婦や、小児に対する処方で注意すべきことだった。子供は大人のミニチュアと考えると、大変であるということが深く印象に残っている。薬は、身体に入ると、代謝を受けるのであるが、子供の場合、肝臓の機能が、大人に比べて未熟であるため、投与量や、使用可能な薬剤を細かく検討しなければならない。
前回、風邪薬の話を簡単にした。アスピリンは、風邪薬の中でも、比較的有名であり、誰でも服用したことがあると思う。ところで、小児に対しては、アスピリンを処方することは、推奨されておらず、代わりに、アセトアミノフェンという薬が処方される。
それでは、前回の話の続きをしよう。西洋薬には、ターゲットがあり、東洋薬には、ターゲットがない、または、不明であると述べた。今回は、ターゲットについて、書こうと思う。
薬理学の基本原理として、薬物は、ターゲットに結合することで働くという概念がある。医学的に、ターゲットは、受容体、転写因子、酵素、イオンチャネルトランスポーターに区分できる。
この中で、一番わかりやすいのは、恐らく酵素であると思う。私たちの体内で営まれている、様々な代謝を促進したり、抑制したりする、非常に重要な分子である。酵素に薬剤成分を作用させることで、酵素反応を促進したり、抑制したりするわけである。
転写因子、という言葉は、あまり馴染みがないかもしれない。転写、という言葉は、元々遺伝学の用語である。私たちの細胞の中には核があり、この中に、身体の設計図である、DNAが折りたたまれている。設計図から作り出されるもの、それは、タンパク質であり、私たちの体の構成成分になっている。
転写という言葉は、タンパク質を作る時に出てくる。DNAからタンパク質を作り出すことは出来ないので、転写、という作業を行って、mRNA(メッセンジャーRNA)を作る。この後、もう一つのRNAである、tRNAが、タンパク質の構成単位であるアミノ酸合成に関わることで、私たちの身体を作ることが出来る。この転写を促進したり、抑制したりするものがあり、そこに働きかけることで、転写の制御を行う(今回は、詳細は延べないが、癌の発生メカニズムにおいて、重要な意味を成している)。
受容体は、鍵を想像してもらえばいいと思う。適切な鍵が、鍵穴に入ることでドアが開くように、様々な生体内の物質が、細胞を覆う膜などの受容体に結合することによって、生体反応が引き起こされる。ホルモンは、受容体に結合する物質の代表例である。