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夢幻(ドリーマー)  作者: 松岡透
第零章 夢幻覚醒編
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零の夢 プロローグ、そして出会い

「グハッ?!」


鳩尾に受けた半端ない衝撃を殺しきれず、僕は無様に地面を転がる。


同時にギャハギャハと下品な笑い声が聞こえる。


「おいおい!如月きさらぎ、お前、たかが一撃で終わりか?」


くそっ!


そう言いながら睨み付けようと思ったが、体が全く動かない。


「じゃあ、今日のを徴収するぞ」


おう、と、奴の取り巻きが近づいてくるが、まだ鈍痛が続き、抵抗すらできずに鞄から財布を奪っていく。


「えっと?今日の徴収額は...はぁっ?!てめぇ、如月、巫山戯てるのか!アァン!?」


そう、この毎朝始まる徴収と言う名のカツアゲに抵抗するため、財布の中身を空にして学校に持ってきたのだが...


ガスッ!ゴスッ!ゲスッ!


思った通り、いつもよりかなり多く蹴られてしまった。


しかも、殴ったり蹴ったりする場所は、絶対に制服ごしから傷が見えない。馬鹿に見えて、そういうところだけは頭の働く奴なのだろう。他はただの馬鹿なんだろうけど。


「...ッチ!今度持ってこなかったら、金属バッドでも用意して待っててやるよ!」


ほら。実際言葉遣いや文脈が間違っているだろう?


あと、もう1つ頭の回らないところがある。


「てめぇら、帰るぞ」


「おっす」


「うっす」


制服の上から殴られるから、人体の弱点に命中しない限りあまり痛くない。


そう思いながら、鈍痛の引いた鳩尾を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。


そして、今いる校舎裏から表に出ると、昇降口へと歩きだした。 


少し、自己紹介をしよう。


僕の名前は如月きさらぎ ゆめ


このなんの変鉄もない公立高校『市立 桜中学校さくらちゅうがっこう』、略して桜中おうちゅうの2年生だ。


突然だけど、今僕は虐めを受けていた。


まあ、見たらわかると思うけど...


あのいじめは、今に始まったことじゃない。


事の始まりは、小学五年生だった。


特に何かしら目立ったことはしていないのに、当時の虐めっ子のリーダー格が、いつのまにか僕のことを標的にしていた。


当時の虐め方は、まだ可愛いほどだった。


持ち物を隠されたり、机にいたずら書きをされたり、シカトされたり...


しかし、中学校には行ってからは、虐めの仕方が豹変した。


殴る蹴るは当たり前、今のように、財布を盗られたり、酷いときは登校するときの鞄まで持ってかれて、学校で1日なにもすることができずに授業が始まる度に先生に注意され、そのとたん教室中にどっと笑いが起きるか、クスクス笑いをわざと僕に聞こえるようにしたり...


一回、水筒にかなりの量の下剤を入れられてそれを間違えて飲んでしまい、3時間分の授業をトイレで過ごした。


そんなことが二年間続いたが、僕は何故かまだ学校に通っている。


何でだろう?いつもと変わらない日々が始まるだけなのに...


僕は、学校に何かを求めているのだろうか...


そう、例えば、変化。


ある日、学校に可愛い転校生が来て、その子が僕に優しくしてくれる...とか...


...いやいやいやいや、流石に妄想も甚だしい。


僕のために微笑んでくれる女神様など、いるはずもない。


いるとすれば...そう、悪魔とか...


...流石に女性の悪魔とかは求めてはいないが...


でも、悪魔との契約なんかで、三つの夢を叶えてくれる代わりに魂をあげるとか...やってみたいよな...


...おっと、話が逸れたかな?


これが僕の癖の『妄想』だ。


多分、これも虐められる原因の内の1つだろう。


キーン、コーン、カーン、コーン....


...朝学活の時間まで、あと5分という予鈴が鳴ってしまった。


さて、そろそろ赴くとしますか...


変化のない、最悪の日常へ...


 †  †  †  †


自分の教室、2ーCに入ると、朝の喧騒の中にあった教室が一瞬静かになって、続いてヒソヒソ声に変わった。


大方、「あいつがきたぞ」とか「今朝お金持ってこなかったからボコボコにされたらしい」とか、馬鹿なことを話しているのだろう...


ちなみに、僕には友達と呼べる存在は一切いない。


虐められっ子にわざわざ近付く人は、一切いないと言うことだ。


よく、小説とかにいる虐められっ子の親友などと言うものは、所詮妄言である。


そして、自分の席につき、諸々の準備を終えたら、丁度朝学活が始まった。


そして、担任の社会科の男性教師である、通称『メガネ』先生...45歳独身...が教室に入ってきて、出欠を取り始める...


と、思いきや、今日は思わぬ話題から朝学活がスタートした。


「お前らー、今日は転校生がきたぞー。紹介しよう」


入ってきなさい、との声と同時に扉がするすると開いた。


そこから入ってきたのは、








蒼髪蒼眼の、だけど、妙に日本人っぽい童顔の美少女だった。


僕は、一瞬心を奪われた、が。


どうせ、話しかけて、万が一仲良くなっても僕が虐められていると知れば、自然と離れていくだろう...


て言うか、そもそも本当に転校生来ちゃったよ...僕の妄想も侮れないな。


...というか、転校生が来た時期が少しおかしい。


今日は、4月10日。


この学校の始業式は、少し早い4月1日だ。


普通は、その日に転校生が来るのではないのか...


そんなことを考えていたら、彼女の自己紹介が始まっていた。


まあ、今は考えないでおこう。


「初めまして!私の名前は天海あまみ しずくです!よろしくお願いします!」


やたらとテンションが高かった。


何でだろう...


「と言うわけだ。ちゃんとお前ら、仲良くしてやれよー」


無理だ、僕には。


しかし、男性陣の視線は熱烈で、女性陣からは憧れの眼差しが注がれていた。


こりゃ、虐めっ子側はないとしても、シカト側には引き込まれそうだな...


そして、天海雫とやらの座った席は...


あろうことか、窓際最後尾...いわゆる、『主人公席』と呼ばれる席に座っている僕の、右の席に...一言で言えば、『隣』に彼女は座ったのだ。


「よろしくね!...えっと...」


ここは、名乗るべきなのか...でも、何も知らない彼女に、『隣の人が冷たい』という理由で不安感を与えるのは、流石に気が引けるので、一応


「...如月、夢です。宜しく」


「へえ...夢くん、か。いい名前だね!」


いきなり下の名前を呼ばれたが、何故か馴れ馴れしさは感じなかった。


彼女が人懐っこそうな感じだからだろうか?


「そ、そうかな、名前を誉められるのは初めて...かな」


これは嘘ではない。


小さい頃はよく覚えていないが、覚えている範囲では一切誉められた記憶がない。


「えー?ちょっと意外かな?それに、夢くんってさ、なんだかいい人の気がするんだ。あ、お世辞じゃないよ?」


「こら、そこ、いつまでしゃべっているんだ?転校生の天海はともかく、如月はちゃんとしろ!」


贔屓か?一瞬、そう思った。なぜなら、メガネ先生には女子生徒には甘いところがある。噂では、ロリコン、とか...


「あ、すいませんでした!すこし、解らないことがあったので、隣の、夢くんに聞いていたんです。叱るなら、私の方を叱ってください!」


なんだこの子!!!いい子過ぎる!!!


しかも、庇い方が上手...って、それは関係ないか。


「む...なら、いいが...」


お陰で、また大笑いされずに済んだ...が、今度は、憎悪の視線を感じ始めた。


まあ、僕に相応しいっちゃ相応しいっか。


そう言えば、この子、なんでこんな髪と眼をしているんだろう?


先生がなにも言わなかったから、多分地毛で、カラコンもいれているわけではないのだろうけど...


まあ、いいか。今は。


そして、一時間目のチャイムがなった。


少し変化の訪れた日常に、そろそろ飛び込むとしますか...

初めましての方は初めまして。


それ以外の方、七彩武装を読んで此方に来てくださったあなたはありがとうございます。


松岡透です。


...このあとがき、どなたかににている気がするのですが...


気のせいですよね。


さて、今回はあまり目立つことのないスタートになりました。強いていうなら、夢くんが羨ましいくらいですかね...


そう、『主人公席』です。


自分は、現在中三なのですが、いまだに窓際最後列に座ったことがありません。


座りたい...なんか憧れる...


まあ、それはそうとして...


今回も、七彩武装経由で此方に来てくださった方、本当にありがとうございました。


そうでない方は、『七彩武装』で検索していただいて、読んでくださると幸いです。


さて、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。


ありがとうございました。


次回、雫の正体が?!

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