第1章「再会」
ふと、とあるバンドの曲を聴いていたら思いついた話です。
楽しんで読んでもらえると幸いです。
あと、文の誤字を教えてもらえるとありがたいです。
週一くらいのペースで書いていきたいと思います。
うっすらと広がっていくような綺麗な朝日。
暗かった景色が、太陽の穏和な光に染め上げられていく。
俺、小早川瞬李は、午前6時半のこの町、
茂上町の景色を茂上高校の3-Fクラスからぼっーと見ている。
この高校は茂上町の端にある山の中間あたりのところに造設されている。
簡単に言うと、あのネコ型ロボットのアニメの主人公君が通う学校みたいな感じだ。
---ふと、憂欝が自分の脳裏を過った。
重く深い憂鬱だ。
今までのことは全てリセットして俺はここで、幼馴染の月花と、
高校三年の一年を楽しく過ごす、そうだろ?
自分の憂鬱の原因を消す為俺は自分に言い聞かせた。
そう自分に言い聞かせて、俺はあの時の父の怒りに満ちた表情を忘れようとしていた。
だが、憂欝は晴れないままだった。
まぁ、しかたないかと、俺はため息交じりに苦笑した。
今日は、始業式、俺が茂上高校に編入する初日だ。
-----えー、彼が転校生の小早川瞬李君だ。
みんなも知っての通り----。
と、先生が俺のことをこれからクラスメイトになるであろう人たちに簡単に紹介している。
今俺は、茂上高校3年Fクラスの教壇の前に担任の先生と二人並んでいる。
時刻は8時半。校長先生、先生らへの挨拶、先生との学校の探索をするために登校した6時半から二時間経過している。
外の景色は、朝とは違い晴れ晴れとし、学校の周りの木々たちの木漏れ日が美しい。
と、景色を横目に眺めていたら、隣の若々しい先生の姿にふと視線が止まった。
この先生、いや、西川先生はなかなかの美人さんで、キリッとした顔立ちにサラッとした黒髪ショートボブで、細い足がロングパンツで際立たされており、まぁ、胸は乏しいが、全体的にクールビューティーといった感じだ。
西川先生とは、入学前に課題など貰いによく会いに行ったり、朝もあってるぐらいなのだが、
いまだにドキリとさせられるものがある。
そう思いながら、先生を横目にちらりと見ていたら先生と目があった。
一瞬、あたふたしそうになったが先生の発言で打ち消された。
「小早川、お前も一言挨拶しろ。一様ここに来る前は有名人だったろ?」
と、クールビューティーな雰囲気とは打って変って、子供が悪戯をするときのような笑みを浮かべ、先生は俺に振った。
その言葉を聞いた時、心が一瞬曇ったが、表情には出さなかった。
実を言うと、俺は四か月前まで今空前絶後の大ブームを巻き起こしている「劇団 心 」の団員だった。
その劇団の公演の予約は、1、2年先まで埋まっており、毎回満席は当たり前で、
特別公演でも、チケットは販売して数分で無くなる有様だ。
劇団の演技は、まるで演技でなくその本人にしか見えないというくらいすばらしいものであり、
海外のハリウッドスターもわざわざ日本語を勉強してから公演を演技の参考にと見に来るくらいだった
最近は団員が俳優も兼職したりして、芸能界にも幅を利かせていて、
テレビも週に見ない日はないくらいに出演している。
そんな劇団で俺は普通の団員としてでなく、団長、いや、父の跡継ぎの次期団長として俺は働いていた。
だが、俺は色んなことがあってふっきれて劇団を辞めてしまった。
毎日のようにパパラッチやキャスター、記者に追われて辞めた直後は悪夢のようだった。
最近になって、落ち着いてきたのだが、あの時の事を思い出すだけで吐きそうになる。
人間の好奇の目の嵐があんなに恐ろしいとは、俺はあのときまで知らなかった。
そして、俺はそんな喧騒の少ない小さな田舎に養成のためこしてきたのであった。
まぁ、あんなにテレビで大きく報道されていたので喧騒の少ない田舎といえど、テレビっこのクラスメイトのざわつきは仕方ないと思った。
と、考えていると俺は先生の催促する目に気付いて、巡らせていた思考を止め、心を無心にした。
そして、俺はこう口を開いた。
「小早川瞬李です。テレビでは色々騒がれていましたが、自分はここで頑張って行こうと思います。みなさん、よろしくお願いします(二コリ)」
と、営業スマイルを交え挨拶をした瞬間頭に激痛が走った。
「営業スマイルはいらんわ、ボケ。普通に笑え」
先生はむすっとしていた。
どうやら、営業スマイルに気付いた先生が、気に入らなかったのか俺に拳骨をしたらしい。
あぁ、この先生見た目だけがクールビューティーだったらしい。
一瞬恋に落ちそうになっていた自分が恥ずかしくなった。
まぁ、今の俺は演劇をやるうちに本質的に笑えなくなってしまい、
先生の言う普通の笑顔というものが分からないのだが。
「先生、おはようございます。遅れてすみません。」
と、そんな短い茶番をしていたとき後ろの扉から鈴のように綺麗な声にざわついていたクラスが静かになった。
「おす、生徒会の仕事お疲れさん」
番長、いや、西川先生はヨッと返すように手を軽く上げそう返した。
その声の主は、髪型は黒い艶のあるスーパーロングで、前髪はシンプルな青色のピン止めで止めていた。顔立ちは大和撫子とここに在りといえるくらいに、端正で凜とした顔立ちをしていた。
体系は、スレンダーで、どっかの会長もふつくしい・・・とため息を漏らすくらいバランスの取れた体つきだ。胸は・・・、先生より・・・ある。
そして「彼女は、この高校の生徒会長で、成績トップの女の子で、陸上部のエースで、
-----俺の幼馴染だ。
「おはよう、月花」
俺は、ここにきて一番和らいだ声でそう言った。
その少女は、こちらに気付くと二コリと笑って、
「おはよ、しゅん」
と柔らかな挨拶を返してきた。
俺は、今日はとてつもなくいい日だと思うと同時に、何かが始まる日のように感じた----。