誘いの時
そしてまた、月は昇る
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おや、貴方は?
そう、この小説を読んでいる、画面の前の貴方ですよ。
それで、今日はまたどういったご用件で?
というか、何処で僕のことを?
…ほう、そんな話を聞いたのですか。それでご用件は?
……ふむ…ほーう…そうでしたか。それはさぞ大変でしょうなぁ。
おっと、自己紹介がまだでしたね。僕は古藤。古藤玄白と申します。
貴方のお名前は?
…おぉ。良いお名前じゃないですか。えぇ。とても素敵ですよ。
さて、それで貴方は…そう、その件で悩んでいたのでしたね。
さぞ辛かったでしょうね……その痛み、僕には判りませんが、貴方が深く苦しんでいることだけはよく判りますよ……。
それで、やはり解決手段が欲しいですか?
そうですか……では、此方のお薬などいかがでしょう?
飲むと青い影が見えましてね…あぁ大丈夫、怪しくなんてありませんから。
実を言いますとその青い影というのは、最良の道を選んだ場合に於ける、貴方の未来の姿なのですよ。
えぇ。そうです。この影の通りにしていれば、貴方は何もかも上手く行きます。
何よりその動きは、結果的に貴方の欲を最大限に満たしてくれるでしょう……。
ただ、注意せねばならないことがあります。
この薬を飲むに当たって、一つだけやってはならない事が…。
大丈夫。そんなに難しい事じゃありません。
えぇ。簡単ですよ。
それは本当に、至極簡単なことなのです。
貴方はこの薬を飲むにあたって、決して現れる影を疑ってはなりません。
影を疑ってしまった者は……失礼、これについては前例が無いもので、僕にもよくわからないのですが……
とんでもないことに、なるでしょうねぇ…。




