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渇きと命の等価交換

喉の渇きと燃料不足は似ている気がする。


二件目を終えてすぐ、トラックが燃料不足を起こした。丁度おなかが空いていたので小休憩をとることにした。トラックの燃料タンクに燃料ストレージをつなぎ、運転席で栄養食を補給する。この町で配給される栄養食はバー状のものと液体状のものの二つが存在し、バー状は人気が極端にない。なぜならば結局水分が必要となるからだ。きれいな水が貴重なこの町ではそれは致命的である。食事代と別に水分代もかかってしまうくらいならば液状の栄養食一つでまとめたほうが効率的だということだ。

ちなみに水分代と燃料代はリットル換算で丁度同じくらいだ。


液状の栄養食を飲んでいるとふと奥に人影が見えた。干からびているのでおそらくは水分不足による死体だろう。どんな人間であっても水がなければ生きてはいけない。そこに発生する違いといえば水を買うお金があるかないか、それだけだ。


三件目は市立病院だった。この病院は人間だけではなく機械も対応している。だからべらぼうに燃料が必要になってくる。だから今日の配達はもう三件で終わりだ。一機のトラックでは、そのくらいが限界だ。

この町の病院は正直言ってかなり暗い。雰囲気が。その原因は間違いなく機械の合同墓地が横にあるからだ。墓地とはあまりにも名ばかりで実際はただの機械の廃棄場だ。目の死んだ動かなくなった機械がそこにいる。機械には燃料切れや故障はあっても明確な「死」という概念は存在しない。だから動かなくなったら「捨てる」のだ。


病院に近づくにつれやはりどんどんくらーい空気がなだれ込んできた。(といってもこの町の空気はいつも暗い)この町で喋れるものに会うことは本当に少ない。今回の案件でも合わないだろう。と、思っていた。しかし、燃料を指定のボックスに入れた時に、横から話しかけられた。

「こ、ここ、こんにちははははh」

止まりかけの機械だ。おそらく横の墓地にまだギリギリ動く状態で捨てられたのだろう。まったく久しぶりにびっくりした。

「な、ななななにをし、してているnですか?」

「燃料配達です。今ちょうど終わりました。」

そう聞くとその機会は今にも外れそうな瞼を無理やり持ち上げメインカメラをぐっと露出した。

「わ、わ、わわわあわあわたしにものものもも!くださ、!さ!!い!」

いきなりの大ボリュームで正直ドン引きだ。顔には出さないが

「すみませんが指定の燃料補給所に行くことをお勧めいたします。我々はあくまで配達員ですので」

「そんな!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!」

そう叫ぶと機械はつかみかかってきた。とっさにこの世界の標準装備である銃を取り出し動力部を破壊する。完全に機械は動作を停止した。マニュアル通りだ。


倒れた機械からは黒く輝く燃料がこぼれていた。しかしほぼほぼ空っぽだった。その様子を見て二件目の帰りの死体を思い出した。この世界で渇きとは死に直結するものなのだ。おそらくこの機械は廃棄に向けて意図的に燃料を抜かれたのだろう。たとえ機械であってもお金があれば補給所で燃料を買える。それができずに縋ったということは、雇用主に捨てられたということ、自立機械ではないということだ。

幸せはお金で買えないというが、お金がなければ幸せになる前に死ぬ。それがこの世界なのだ。そんな痛いポエムを頭で考えながら水を一口飲んだ。

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