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【完結】悲劇の継母が幸せになるまで  作者: やきいもほくほく
四章 家族で幸せになるために
70/70

⑦⓪

彼はよくワインを飲みながら話すのだが、その時のギルベルトが憂いを帯びた瞳で、酔うとほんのりと頬が赤くなるのでつい見惚れてしまう。

大人の魅力と可愛らしい少年のような姿を見せてくれるギルベルトにヴァネッサは振り回されっぱなしである。


そんなギルベルトの姿を見られるようになったのも、ヴァネッサの咳や肌の痒みが落ち着いて寝室が一緒になったからだ。

咳をしても我慢しなくてもいい。

むしろすぐに対応してくれる心強さに安心して眠れるのだが、ギルベルトは一緒に眠るようになってから何故か寝不足気味だそう。

ヴァネッサが心配していると「今は耐えるしかないな」と、よくわからないことを言っていた。


少しずつ淑女としても講師のレッスンを受けていたが、ダンスや歴史、ドレスの話題などまだまだやるべきことはたくさんあるようだ。


けれどこれからも努力を重ねていくだろう。

ヴァネッサは今日も健康な体に感謝しつつ生きていくのだろう。



今日も三人で朝食を食べていた。

最近、食事はギルベルトとアンリエッタと食べるのが当然になっている。

みんなで食べる食事はとても美味しい……のだが、まだアンリエッタと同じくらいの量しか食べられない。

ヴァネッサがもう少し食べようかと迷っていると……。



「ヴァネッサ、無理はしなくていい。ゆっくりでいいんだ」


「……はい」



すぐにギルベルトに見透かされてしまう。


王家主催のパーティーの後から、家族で過ごす時間も増えたことをアンリエッタは心から喜んでいた。

ギルベルトもあの日からつきものが落ちたように明るくなったような気がした。

ずっと後悔があったのだろう。

ギルベルトは抱えていたものを少しずつ少しずつヴァネッサに話してくれる。

そのことで肩の荷が降りたのかもしれない。



「わたしがアンリエッタとギルベルト様を幸せにしますから!」


「……それはこちらの台詞だ」


「ヴァネッサ、大好きよ。これからもずっと一緒にいてね」



ヴァネッサはもじもじと恥ずかしがりながらも気持ちを伝えてくれるアンリエッタを思いきり抱きしめる。



「お父様もヴァネッサを泣かせたら許さないんだから」


「ああ、わかっている。二人は俺の大切な家族だ」



ヴァネッサはアンリエッタを抱きしめながら顔をあげて微笑む。

すると次第に近づいてくるギルベルトの顔になんだろうと思っていると……。


軽いリップ音とともに唇が触れる。

驚いたヴァネッサは目を見開いた。

イタズラが成功した子どものように笑うギルベルトを見つめながらヴァネッサは頬を真っ赤に染めた。


だが、いつまでもやられっぱなしでいるヴァネッサではない。

ヴァネッサも負けじとギルベルトの唇にキスをする。

すると彼はキョトンとしたあとに「……もう一回」といって、ヴァネッサに深々と口付けをする。

息ができずにヴァネッサが「んー!」と、抵抗しつつ声を上げたことでアンリエッタは二人が何をしているかわかったのだろう。



「もうっ! またわたくしを忘れて二人でイチャイチャして! ずるいわ」


「アンリエッタ、違うのこれは……!」


「ああ、ヴァネッサが可愛いのが悪い」


「~~~~っ!?」



なんの悪びれもなくそう言ったギルベルトをじっと睨みつける。



「お父様ばっかり……じゃあ、わたくしも!」



そんな可愛らしい声とともにアンリエッタのふわふわと柔らかい唇がヴァネッサの頬に触れた。

ヴァネッサの次はギルベルトの頬に口付けをする。

ギルベルトの表情はわかりにくいがかなり嬉しそうだ。



「二人とも大好きよっ」



アンリエッタの満面の笑みが可愛らしく、再び彼女を抱きしめた。

その上からギルベルトが両手を広げてアンリエッタとヴァネッサを抱きしめたのだった。






Happy end ♡


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ここまで物語を読んでくださり大変嬉しく思います。

ありがとうございました!


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― 新着の感想 ―
アンリエッタの可愛さに癒されました。
アンリエッタの存在がとても大きかったですね この子、好き
 お幸せに。だが、朝から七歳児の前で何してるんだ(笑)
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