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人形の意(こころ)

いつもながら、遅くなってすみません。

原因不明の高熱になってました。まぁ、それは1日で治りましたが……。というより、この話は別にいいですね。


さて、今回は次の章の話にいくのかと思いきや、前の話の続き…次の話の前?いつもなら幕間と言っているのですが、扱いとしては本で挿し込むつもりだったエピローグに当たる話になります。まぁ、幕間と言ってもいいのかな?

次の話が少しだけ時間が進んでしまうので、その前にこの話を入れておこうと思ったわけです。問題は次の話が全然進んでいないことくらいです。今月投稿出来るんでしょうかね…。

 エンテが目覚めてから数日経った頃。

 クロノは心身共に回復したエンテと一緒に、いつもの鍛錬の場所へと集まっていた。久しぶりの鍛錬ということで、肩慣らしという名目で軽く動いて慣らしていこうとしていた。しかし、1週間以上空いてしまっていたので(なま)ってしまっているかと思われたが、そんな様子は一切見当たらなかった。それどころか、気を失う前と同じくらいの動きを見せるエンテに、クロノは驚くのと同時に妙に納得してしまう。それは今までの事から、エンテ自身に元々備わっている性能なのか、将又(はたまた)彼女の中に眠っている魔導具(マギアス)が空いている期間の空白を補うために働いていると思ったからだ。

 とりあえず、問題なく動けたことに安堵したクロノはエンテの欠点や改善点を指摘するため、クロノが受けに回る形で組み手を行うことにした。エンテの攻撃を受けながら、クロノは的確に彼女に指摘をしていく。しかし、クロノに指摘されているにもかかわらず、エンテは返事も碌にせずにただ機械的な行動でクロノに攻撃を繰り返す。特に反応しなかったりするのはいつものことではあるが、それにしてはいつも以上に口数が少ないのが気になる所ではある。それだけじゃなく、話し掛けても攻撃を繰り出していても、何処か上の空でクロノのことが目に入っていないのが見て取れる。そのことに気付いたクロノは心配に思い、エンテの話を聞くために組み手を止めようと声を掛ける。



「……ンテ。聞こえ……?」

「…………」

「……聞いているかい、エンテ!」

「え……、あぁ……何の話ですか?」

 クロノに話し掛けられていることに気付いたエンテは攻撃を止めて彼の話を聞こうとする。エンテの言動を目の当たりにしたクロノは話を聞いていなかったことよりも、彼女の体調が悪いのかと思って軽く息を吐く。

「ふぅ……。やっぱり聞いていなかったか。どうしたんだい? いつものきみらしくないじゃないか。もしかして、体調が悪かったりするのかな?」

「……そんなことはないですよ。話を聞いていなくて、すみません。次から気を付けます」

 心配するクロノの言葉に対して、エンテは事務的な返事を返してしまう。今までになく明らかに様子がおかしいエンテに、クロノは彼女が何か悩みを抱えているではないかと考え、それとなく聞き出してみようとする。

「…………。エンテ、少し話をしようか。何か、悩み事か考え事でもあるんじゃないのかな? 僕で良かったら話を聞くよ」

「……、いえ、大丈夫です。心配を掛けてすみません」

「…………そうか。言いたくないなら、それでいいんだ。それなら、せめて庭園に来てくれないかな? 多分だけど、あの日から来ていないだろう? いつも、僕より先に世話をしていたのに……」

「それは……――私には、……がないから」

「資格……? 一体、何の話をしているんだ」

「……貴方は――……いえ、貴方は知らなくてもいい話です。……途中で投げ出すようですみませんが、あの子達のお世話は貴方がやってください」

 何かを言おうとしたエンテは言い淀むと、そのままクロノの顔を見ることなく庭園の世話を放棄することを彼へと告げる。今までの傾向から、そんなことをエンテが言うとは思っていなかったクロノは戸惑いながらも、彼女の言動の真意を探ろうと聞き出そうとする。

「急に何を言っているんだ、エンテ……。せめて訳を教えてくれ!」

「…………」

 クロノの問い掛けにエンテは答えることなく、2人の間に沈黙だけが流れてしまう。待っていてもエンテの答えは変わることがないと思ったクロノは聞き出すのを諦めて、彼女の望みを受け入れることにした。


「……はぁ、分かった。言いたくないんだったら、無理には聞かないよ。そもそも、僕が無理やり誘ったようなものだしね。ただ、世話をしなくてもいいけど、たまには庭園を見に来てくれないかな。途中までといっても、きみも育てていたんだから気兼ねなく見て欲しいんだ」

「……っ、…………」

 クロノに誘われたエンテは何か言おうとしたが、堅く口を閉ざして黙り込んでしまう。まるで出逢った頃のように戻ってしまったエンテにクロノは困惑しながら、精神的に不安定なのではないかと心配してしまう。その精神的に不安定になってしまっている原因というのが、エンテが薄っすらと思い出しているかもしれない記憶なのではないかということだ。もし、そうなのだとしたら、無理に聞き出すのは得策ではないと言える。

 だが、本当にそれでいいのだろうか……。見るからに、エンテは何か思い悩んでいるというのは分かるが、それが記憶だということはない。他の悩みなのかもしれないし、男である自分には言いにくい事なのかもしれない。それに、自分だけで解決したい悩みなのかもしれないから、こちらから下手に動く訳にはいかないことかもしれない。

 とりあえずは、この場ではこれで話を終わってアルスに後で聞いてもらうことを検討するのが良いだろう。そう考えたクロノは話を一旦切り上げて、元々エンテに言おうとしていたことを伝えることにした。

「そうだ、エンテに言おうとしていたことがあるんだ。前に短剣を使っての体術はまだやらないと言ったけど、明日から組み込んでいこうと思っている」

「――そうですか。分かりました」

「……嬉しくなかったかな?」

「……嬉しいですよ。ですが、急だったので何でなのかと思ったのです」

「きみと話をして、……いや、アルスさんにも話を聞いてもらって、僕がやろうとしていることはただただ息苦しいだけだと思っただけだよ。本当は、あの時にそう思うことが出来ていたら良かったんだけどね……」

「……、それはもういいです。あの時は私も口が滑りましたし、それでチャラということにしませんか?」

 さっきまでの態度と打って変わって、エンテは譲歩するようにクロノへと話を持ち掛ける。エンテの口からそんな言葉が出て来るとは思わなかったクロノは意表を突かれたように少し固まってしまう。珍しさもあるが、それ以上にエンテ自身もこちらに気を許してきているのだと思ったクロノは遠慮なく彼女の言葉を受け入れることにした。

「……ありがとう。それじゃあ、遠慮なくきみの気持ちを受け取っておくよ」

「…………」

「あぁ、それと――それがある程度形になったら、いよいよ本格的に魔術を教えていくよ。だから、今の内に予習をしておいてくれると――」

「……心配しなくても、大体頭に入れたので大丈夫だと思います。一応、このように――……魔力を具現化出来るようにもなりましたしね。短い時間ですが……」

 エンテは少しの間集中すると、以前クロノが作り出した魔力の塊よりも小さく薄っすらとした塊を作り出す。しかし、エンテが言ったように、その具現化された魔力の塊はすぐにでも霧散してしまい消えてなくなってしまった。それを見ていたクロノは感心しつつ、エンテの成長を褒め称える。そして、さきほど発言した事に条件を付け加えるように提案する

「それだけ出来れば十分だよ。ちゃんと真面目にやっている証拠だ。うーん、そうだな……それなら、体術をしつつ、具現化させるのを安定するように並行してやっていこうか。ちょっと厳しいとは思うけど、きみなら問題なく出来るはずだよ」

「分かりました。魔術を使えるようになれるなら、私は何でもやります。私には――」

 何かを口遊みそうになったエンテは口を閉じると、誤魔化すように無理やり話を変えようとする。

「……、なんでもありません。やっぱり今日は調子が悪いので部屋に戻らせてもらいます。ご飯はいらないので作らなくてもいいですよ。それでは、また明日お願いします」

 クロノの返事を待つことなく矢継ぎ早にそれだけ告げると、エンテは踵を返して屋敷へと戻っていった。エンテの背中を見送りながら、クロノは彼女の言動を思い返して大きく溜息を吐いた。


「(やっぱり無理にでも話を聞くべきだったかな……。今更そんなことを考えても意味がないけど、無理をしているエンテをこのまま放っておくわけにもいかない。なるべく早くどうにかしないと、最悪なことになりかねない)」

 エンテに続くように、クロノは今後の対策を考えながら屋敷へと向かうのだった。





 クロノベルトといろいろと話した次の日。私は彼に言われたように庭園へと来ていた。いや、正確には彼に言われたからではなく、私自身、()()()をつけるためにここへと訪れたのだ。私はこの子達に相応しくない穢れた存在だから――

「…………」

 思い残すことなく、一頻り庭園を見ていた私はとある"モノ"を見つけ、それへと近づく。

「これは――花……? 何故、もう花が咲いているのですか……」

 私が見つけたモノというのは他でもない、1本だけだが紫色の花がそこに咲いていたのだ。彼と一緒に種を植えてから、約1カ月半くらいは経っているだろうか。普通に考えて花は疎か、蕾すら実るには早過ぎる期間と言えるだろう。それなのに、私の目の前には歴とした花が1本だけ咲いている。思い返してみると、確か種を植えてから数日くらいでちらほらと芽が出ていたというのを思い出す。あの時は品種違いで差が出ているのだと思っていたが、それは違うということが今なら分かる。違う品種であっても、区画毎に1つ、2つと成長具合が異なっていたからそれは考えられない。それなら、何故こうまで成長速度に差が出来てしまったのか。それも、普通ならまだ咲くこともない花が咲くほどになるなんて……。

 彼が何かしたのかと考えてみたが、そんなことをする意味が思い当たらない。そもそも、育っていく過程を楽しんでいように見えたのでその可能性は考えられないだろう。それなら、一体何が原因だというのだろうか……。

「(分からない……。分からないが、この子を見つけたのは良かったのかもしれない。私の未練を断ち切るために――この子を利用させてもらおう……)」

 心の中で思いながら、私は1本だけ咲いているその紫色の花へと手を伸ばす。そして、その花を引き千切ってそのまま握り潰す。握り潰した手を広げ、ぐちゃぐちゃになってしまった花を見下ろすと、私はその無残な花へ声を出すことなく別れを告げる。

「(これで、貴方達とはお別れです。こんなことをする私は、友達でも何でも、ないから……。さようなら……)」

 声を出して謝るなんて卑怯なことはせずに、私はその散り散りになってしまった花を手から落とす。ひらひらと舞い落ちていく花が地面に落ちてしまうのを見送ることなく、私はその場を後にすることにした。

 これで、私に繋がっているモノは何もなくなった。後戻りは出来ない。……いや、する訳にはいかない。これが私の決めた小路(みち)なのだから――






今回は後書きもあるなんて書いていないから気付かないだろうし、ここまで読んでいる方はいないと思いますが、少しだけお話をしておきます。

実は、前に言っていた資格試験は受かりました。ちなみに、先に言っておくと、私がやろうと思っているのは心理カウンセラーになります。昔の私を考えるとかなり皮肉が効いてますが、私なりに答えを出してやりたいと思っているので悪い結果にはならないと思います。これはあんまり言いふらすようなことをしたらいけないんですが、一応お知らせしておきます。私なりに考えがあるようで、ないような報告なのかな?(笑)


まぁ、この話は別にどうでもいいんですよ。実際、まだ資格取らないといけないですし…。

本題に入ると、私がこういう物語にしようと思ったことですかね。時勢的にはこういった前時代な物語は滅多な事じゃない限りは流行らないというのを承知で書いています。ただ単に、私自身が最初から強かったり誰彼構わずモテるような物語が好きじゃないというのはあります。ですが、それ以上に「愛」をテーマに扱うんだったら、昔ながらのゆったりとしたペースで進めるのがいいと思ったので、古いと思いながらこういう手法にすることにしました。とはいえ、それだと流石に誰にも読んでもらうことがないとは思っているので少しは今の時代の要素も取り入れています。話の流れが分かりやすいように伏線も簡単にしていますしね。もちろん分かりにくいものもありますが。

独りよがりだと愛というのは成立しないから、私なりに考えながらどうするのがいいのか、というのを試し試しやっています。こういった言葉のやり取りも一応含めているつもりです。まぁ、物語しか興味がない人もいると思うので、特に相手にしなくても大丈夫です。読んでくれるだけでも大切な人というのは変わりないですしね。


あー一応これも言っておくと、クロノとエンテに関しては感情移入しづらいキャラ設定になっています。普通は感情移入しやすい方がいいとは思うのですが、この2人だけはちょっと特殊なのであまり深く考えなくてもいいと思います。というより、エンテの場合、下手したら病んでしまうと思うので気を付けてくださいね。まぁ、私しか理解出来ないと思うけど、一応ご注意を…。


それでは、長くなったのでこれで終わります。ここまで読んでくれている方は本当にありがとうございます!報告なんかは普通に出来るのですが、こういった自分の考えを話すのはあまり慣れていないので所々変だと思います。また何かの機会で話すかもしれないので、その時はまたお付き合いください。

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