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ごめんなさい

お待たせしてすみません。この話でこの章が終わりになります。これで完結しても大丈夫なくらい、いい感じな打ち切りエンドだと思いませんか? …あ、ごめんなさい、冗談です。かなりひどいタイプの打ち切りエンドでしたね(苦笑) 本編はまだまだ続きますので、ご心配なく!


今回の投稿はかなり酷かったので、次の投稿はちゃんとしたいと思います。戒め、大事……。

 クロノは1人、自分の部屋で考え事をしていた。彼の考えていた事というのは他でもない、気を失う前にエンテが口にしていた言葉――そして、(うな)されている時に漏れ出ていた言葉のことを考えていた。エンテには呻き声を聞いただけと言ったが、実際には偶に呻き声以外の言葉を聞いてしまうことがあったのだ。エンテが気を失った時に聞いた言葉と似ていたので、彼女に伝えることはせずに言葉を濁してその場を収めたということになる。それが正しい選択だったのかは分からない……。だが、変に掘り起こしてしまうより、誤魔化して話を流した方が良かったと言えるだろう。エンテには悪く思うが――

 部屋にいるクロノは今までのことを踏まえ、頭の中を整理するために紙に書き出して纏めようとする。



「(エンテがヒルデさんを殺したっていうこと……。信じたくはないけど、無意識に夢にまで出るっていうことは、やっぱりエンテがヒルデさんを――)」

 紙に書き出しつつ、改めて頭の中でそのことを思い描いたクロノは頭を抱えてしまう。エンテがそんなことをしないと信じたい気持ちと、やってしまったのではないかという考えで葛藤してしまったのだ。本人に聞けば手っ取り早い話なのかもしれないが、これはそんなに簡単な話ではない。真実というのは、時として残酷にその人を傷付け、苦しめてしまうことがある。どちらが本当の真実なのだとしても、彼女の精神に多大なダメージを受けるてしまうのは目に見えている。だから、この話はなるべくエンテの耳に入れないように自分で解決しなければならない。

 ただ、1つだけ懸念すべきことは、エンテ自身、そのことを薄っすらと覚えていることだろう。おそらく、雷雨がきっかけで記憶の一部が呼び覚まされたのだと考えることが出来る。それが原因で記憶喪失になったのだとしたら、それが再現されることで本人の意思とは関係なく、嫌でも思い出されることになってしまう。今回はその時のことが完全に再現されていないから、中途半端に記憶が呼び起こされて錯乱してしまったのだろう。そうだとしたら、それが完全に再現されることになったらエンテは――

 そうなってしまった時の事を考えてしまったクロノは背筋が凍り、思考が止まりそうになる。そんなことにならないように、ディードやリシェにも説明して一緒に真相を明らかにする、という方法もあるだろう。今までの付き合いの長さから、彼等なら快く話を聞いて協力してくれるだろうと言い切れる。だが、ただでさえ協力してもらっているのに、これ以上更にこんなややこしい話をしてもいいのだろうか、と躊躇いが生じてしまう。アルスに話したのだって、説明せざるを得なかったから説明しただけで、本当は伝えるべきではなかったと考えているくらいだ。

 何も打つ手が思い浮かばないクロノは難しい顔で仰ぎ見ると、深く重い溜息を吐き出す。自分だけでは抱えきれない問題にクロノは気分が沈みそうになってしまう。しかし、クロノは机に置かれているある()()を見て気持ちを持ち直す。彼女の――ヒルデが残した日記を見て一縷の希望を見出そうとする。そう、本当にエンテに殺されたのだとしたら、あんな穏やかな表情をしたり、真剣に彼女のことを頼むようなことをするはずがない。そう考えると、エンテの記憶がどこか改変されてしまっているのだと考える他ない。

「(そうだ。ヒルデさんも、アインさんも、エンテを僕に託してくれたんだ。僕がこんなことで折れたら駄目だ。ヒルデさん(彼女)の言葉を信じて、日記(これ)を解き明かさなければいけない。あの子の記憶が戻ってしまう前に――)」


 日記の謎――そして、エンテの身に起きた出来事を彼女よりも先に解き明かすために、クロノは優先的に解明するために動き出すのだった。





 私が気を失い、目覚めてから1日が経とうとしていた。考えるのに最適な場所を探していた私は例の如く、屋敷の外にある庭園へと赴いていた。

 私は自分に起きたこと――夢で見た出来事を思い出しては、それが何を意味するのかを考えてみた。夢で対峙していた人物は、私と同じ様相で私よりも幼いような印象を持つ人物だったのだと思う。あの子は私を責め立てるような、それでいて庇い守るような子だったのだと思う。だけど、ヒルデを悪く言って、嫌な事ばかりを言う子だったというのは分かる。あの子は、私に一体何を伝えたかったんだろうか……。

 いや、私は分かっている。本当は分かっているけど、それを認めたくないだけなのではないだろうか? 私がヒルデを殺してしまったこと――それも、身勝手な理由で彼女の命を奪ってしまったことを……。あの子はそれを報せ、教えに来たんじゃないだろうか。私がそのことを忘れて、のうのうと生きて暮らしていることを戒めるために――

 つまり、あの子は、私自身――私の中にある、悪意そのものなんじゃないだろうか……。それなら、納得出来るのかもしれない……。やはり、私は欠陥品だったのだと再認識することが出来た。彼女よりも強くなりたいと思ったり、悪魔との戦いで心が躍ったり――どこかおかしいとは思っていたが、それは私が壊れてしまっているからなのだろう。そうじゃないと説明がつかない。

 それなら、あの子の言っていたように、やっぱり私はヒルデを殺したということなのか……。何で、私は、こんな最低な記憶を忘れて存在しているのだろうか……。一番大事で重要なはずの記憶を忘れて、自分にとって良い記憶だけ覚えているなんて……、どれだけ都合の良いヤツなんだ……! そんな出来損ないの人形なんて、封印されても仕方ないと言える。むしろ、何でまだ存在しているのかも不思議なくらいだ。どうせなら、破壊された方が良かったのに……。

 ……そうじゃない。まだ存在することで、私は苦しみ続けなくてはいけない。ヒルデが私に掛けた呪いも、そういう意味なのだとしたら全て納得出来る。愛を求めることも、与えることもしてはいけないことなのだと……。それなのに、私は都合良くヒルデの幻を見て幸せに浸ろうとしていた――こんな私に、そんなことを求める資格なんて、ないのに……。

 罪を認めてそのことを思い出して一生苦しみ続けること――あの子が言っていた()()()()とは、()()とは、きっとそういうことなんだろう。

 だけど、責め苦を受ける前に私にはしなくてはいけないことがある。それは、せめてもの償いとして、彼女を蘇らせることだ。それしか、私が彼女に出来ることはない。謝ってどうにかなる話ではない。それが成功したら、大人しく消えてしまおう。私は存在してはいけないのだから――


「生まれてきて、ごめんなさい……」

 誰に対してでもなく、自分を呪うような言葉が口から零れ落ちてしまう。私は一体、何なのだろうか、と……。







 ×××、私はどうすればいいの……。

 助けて――

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