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偉大なる人

いやー、何とかなりましたね。間に合って良かったです。

とはいえ、今日はこれからちょっと勉強することになるので明日の分はもしかしたら無理かもしれないです。と、言いつつ投稿するんだろう?って思っている人もいるかと思いますが、結構ギリギリな感じですね。自分を追い込めばいけるかと思ったけど、追い込み過ぎて手が回らないという本末転倒気味です(苦笑)


一応、間に合うように調整しますが、あまり期待はしないでください。私ですしね…

楽しみにしている皆さんには迷惑を掛けますが、ご了承ください。

「――つまり、魔力が集まるのが分かって、攻撃を受け止められると思ったから攻撃するのを止めたっていうことなのかな? それも、魔力の色が変わる、と……」

「はい。攻撃しようとした所が濃い色になっていました」

 エンテの説明を受けたクロノは不思議そうに彼女の話を聞いていた。クロノがそんな反応をしたのは、今までにそういった事例を聞いた事がなかったからだ。しかし、彼はエンテの話を否定することなく、彼女の話を興味深そうに聞いている。

「なるほど……。それであんな行動をしていたんだね。ちなみに、それは今でも分かったりするのかな?」

「そうですね……。さっきと比べると薄らとになりますが、貴方からは白いような黒いような……、何だか形容しがたいよく分からない色をしているのが見えます」

「へぇ、そうなんだね。てっきりその人の属性に定められている色があるかと思ったんだけど、違うのか。ちょっと意外だな」

「……ふぅ。集中して目を凝らさないと見えないのでまだ実戦とかでは使えないですけどね。ですが、いずれ使いこなして貴方を見返してあげますよ」

「ははは、それは頼もしい限りだね。楽しみにしているよ」

「……貴方の口ぶりだと、私のこの現象は分からないみたいですね」

「うん、そうだね。そんなことが出来るなんて聞いたのはきみで初めてになるよ」

「よくそれで信じようと思いましたね。私が見間違えていたり嘘を吐いているかもしれないのに……」

 クロノの言葉に対してエンテは卑屈に毒づくように受け応える。そんなエンテの言葉にクロノは疑うことなく、真っ直ぐと肯定する。

「うーん、そうだな……。否定する、っていうのは簡単なことだろう? だけど、否定していたら本当の答えというのは見えてこないし、もしかしたらその中に"正解"があるのかもしれない。だから、まずはしっかりと聞いてそれが正しいのかを実証していく。実際に、きみはそういうことをやってのけたんだ。だから、それだけで充分信用出来るっていうことなんだよ」

「……魔術師よ常に柔軟な思考であれ、でしたっけ? ですが、それも絶対に正しいというものではないじゃないですか。私がやったことだって、たまたま上手くいっただけかもしれない」

「きみの言いたいことは分かるよ。だけどね、こういうのは裏付けを取ることが出来ているから、昔から言われたりしているんだ。きみが言ってくれたことを聞いたお陰で()()()()()()()()()()の裏付けも確証出来そうだしね」

「彼女……? 一体誰のことを言っているのですか」

「え、あぁ……いや、僕の"知り合い"だよ、知り合い。いつかきみにも話すよ」

 話の流れからうっかりと口走ってしまったクロノは誤魔化すようにその場を収めようとする。ヒルデと話したことをエンテにも話しておきたいところではあるが、話したことで彼女がどうなってしまうのか分からないのでまだ伝えない方がいいのかもしれない。彼女が本当の意味で記憶喪失などが(精神的に)落ち着いた時、改めてヒルデと話したことを話すのがいいだろう。それまでは胸の内にしまい込んでおこう。そう、クロノは決意を胸に灯す。


「あ、そういえば――」

 クロノは思い出したようにエンテに語り掛ける。

「ヒルデさんの家に行く前の模擬戦といい、さっきの組手といい、僕から1本取ることが出来たんだ。これからは本格に魔術を教えるのも鍛錬に組み込んでいこうか」

「……本気で言っているのですか?」

 クロノの言葉にエンテは不愉快そうに返す。エンテの反応から彼女が不機嫌なのだと思ったクロノは彼女を安心させるために承認した理由を説明する。

「あぁ。嘘は言わないよ。行く前よりも動きは良くなっているし、文句はないよ」

「……そう言ってくれるのはありがたいですが、まだ体術だけでいいです」

「え……、いいのかい? あんなにやりたがっていたじゃないか」

「まだ私の体術じゃ駄目だからいいんです。それに、本気を出していないんだったら意味がない」

 含みを持たせるようにクロノを睨むように見つめる。そんなエンテの視線を気にすることなく、クロノは彼女の考えを汲み取る。それと同時に、あの時の出来事に感謝をする。

「分かったよ。それじゃあ、もう少し頑張ろうか(……彼とどんな戦いをしたのかは分からないけど、あの時エンテに任せて良かったのかもしれないな。彼にはお礼を言いたいくらいだけど、もう2度と会うこともないから少し残念かな)」

「魔術で思い出しました。あの時は話が流れてしまいましたが、あの悪魔を撃退するのに短剣だけでは無理なんじゃないですか? 近寄るだけじゃなくて、隙を突くなんてそうそう出来るもんじゃないと思います。一体どうやったんですか?」

「どうやった、か……。うーん、そうだなぁ……、あの時のことは実はそこまで覚えていないんだ。きみが死んでしまったんだと思ったら、頭が真っ白になって……彼に戦いを挑んだ所までは覚えているんだよ。そこから後のことは途切れ途切れな記憶で、いつの間にか戦いが終わっていた、って感じかな?」

「……それはそれで怖いのですが――それはつまり、無意識であの悪魔を往なして屈服させたということでしょう? まぁ、貴方は強いから別に不思議だとは思わないですが……」

「いや、別に強いっていう訳じゃないよ。それに、相手を傷付けることが出来たから勝つことが出来たけど、あのまま続いていたら確実に2人共ここでこうして話すことなんて出来なかっただろうしね。いろいろと"運"に助けられた、と言った方がいいのかもしれない」

 自分の醜態を誤魔化すかのようにクロノは決まりの悪い顔で笑い飛ばす。そんなクロノを見てエンテは小さく息を吐くと、彼がどうやって悪魔を対処したのかを聞くのを諦めることにした。そして、もう1つ気になっていたことをクロノに聞いてみる。

「……まぁ、覚えていないんだったらいいです。ところで、貴方のその短剣は普通の短剣とは違うものですよね。貴方の話からして、魔術師は皆持っているのだというのが分かりますが、何でそんな特殊な短剣を持っているのですか? そんなものを魔術師が持っているのもそうですが、そもそも短剣を持っていること自体、おかしいではないですか」

「おかしい、か……。うーん……、僕が生まれる前からこうだったから不思議には思わなかったけど、確かに傍から見るとおかしいのかもしれないね。そうだな、どこから話したらいいかな――」


 エンテに短剣のことを問い掛けられたクロノは迷いながら考えるように俯いてしまう。少しして考えが纏まったのか、クロノは問い掛けられた答えをエンテに説明する。

「そうだね。やっぱり、最初から――僕達魔術師が短剣を持ち始めた話からしていこうか。前に魔術を使う上で、体術を取り入れた話をしたことがあっただろう? あれの延長の話で、ヒルデさんが初めに意表を突くために持ち始めたというのが伝えられているんだ」

「ヒルデが……体術だけじゃなく、短剣を持ち始めたというのですか?」

「あぁ。彼女はその2つを取り入れたことによって生存率を上げるのと同時に、戦果を上げることも熟したんだ。当時の帝国にとって彼女は脅威だったとは思うけど、その彼女がいなかったら和平も結ぶことが出来なかっただろうし、不思議なものだね」

「ヒルデがそんなことを……」

「それと、今こうして僕達魔術師の寿命が長くなったのも、彼女のそういった功績のお陰なのもある。そういう背景を考えると、きみの大切な人は本当にすごい人だよね」

「そう、ですね。ヒルデはやっぱりすごい人だった。記憶がなくても、彼女がすごいのはなんとなく分かっていました」

 クロノの説明を受けたエンテは表情こそ変わらないものの、声音が少し弾んでいることから嬉しいのだということが分かる。自分にとって大切な人が褒められているのだ、喜ぶなというのが無理といえる。喜び満ちているエンテは続けるように話を聞き出す。

「それじゃあ、特殊な短剣なのも彼女の功績という訳ですか?」

「あぁ、それは僕の祖先、アインさんが変えたようだ。何でも、何かを倒すために普通の装備だと通じないと考えて変えたようだ。結局、その何かを倒すことが出来なくて封印したみたいだけどね」

「……、そうですか」

 クロノの答えを聞いたエンテは考えるように俯いてしまう。



 一方、エンテに話をしていてクロノは1つ気がかりになることを思い浮かんでしまう。それは、彼の祖先・アインが倒すことが出来ず、封印するしかなかった存在のことを考えてしまったのだ。時系列がどうなのか分からないので何とも言えないが、彼はあの大物の悪魔を屈服させることに成功している。その彼が倒すことが出来なかった存在というのはどういった存在(モノ)なのか、というのが気になってしまったのだ。

 そこまで考えたクロノは、その封印したという存在に心当たりがあることに気付いてしまう。その存在というのは、目の前にいるエンテだ。彼女の記憶喪失や魔術が使えないこと、果てにはエンテ自身を封印することなど、彼にとっては造作もないことだといえる。理由としても、何らかの原因でエンテが暴走をして、止めるために止む無く封印せざるを得なかったと考えることが出来る――そう、確かに考えることは出来るのだが、それだといろいろと辻褄が合わないことが出てきてしまう。

 まず第1に、アインがクロノに記憶喪失について触れなかったこと。そして第2に、彼自身、エンテに詳しくなかったこと。最後に、彼女が暴走していることがあるのだとしたら何故それを言わなかったのか、ということだ。

 本当に暴走していたという過去があるのなら、それを伝えないのは不自然だと言える。それに、彼の性格上、そういったことは隠さずに必ず伝えているはずだ。伝えられていないということはつまり、そんな事実はなく、この仮説自体突拍子もない話なのだと言えるだろう。確かに、仮説としては信憑性がそれなりにあると思われるが、所々矛盾点があってどうにも決め手に欠けてしまっている。


 自分の考えたありえない話を否定するようにクロノは頭を振る。そして、エンテと話していたことを思い出し、彼女へと向き直る。すると、エンテも考えていたことが整理出来たのか、ちょうどクロノと視線が合う形になってしまう。視線が合ったエンテは気まずそうにぷいっと顔を逸らすと、考えていたことをクロノに話す。

「……その、ヒルデもすごいですが、貴方の祖先もすごかったのですね」

「え?」

「アイン……と、言いましたか。彼が何に挑んだのかは分かりませんが、彼の発想がなければ、私も貴方もこうして立っていることはなかったと思います。だから、すごいと思ったんです。……名前を聞くと少し苛立ちますが」

「はは。手厳しいけど、確かにそうかもしれないね。そう言ってくれてありがとう、エンテ」

「……別に、そう思ったから言っただけです。お礼を言う必要なんていりません」

「それでも、ありがとう。尊敬している人を褒められるのは嬉しいからね」

「…………」

 エンテからアインのことを褒められたクロノは自分のことのように喜びを表す。そんなクロノをエンテは大げさだろうと冷ややかに見るが、気持ちが分かるからかそれ以上特に口出しすることはなかった。

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