予想外の結末
ちょっと、オーバー……。
えー、2重の意味で謝らないといけないことがあります…。
まず1つ目、昨日は2度目の投稿が出来なくてすみませんでした。目が疲れたーっということで顔を突っ伏して横になっていたら寝てました。はい、また寝てました。でも、昨日中にはギリギリ間に合わなかったと思うのでこれで良かったのかも…?その理由は次へ
2つ目、実はこの話で終わりません。えぇ、終わりませんよ。
ちょっと調子に乗…いい感じにやっていたら予想以上に長くなりました。本当にごめんなさい。予想外で自分でもビックリしました。今後、こういうことがないように気を付けるのでお許しください。
多分、20時半にこの続きを投稿するので少々お待ちください。
追記ー
少し和む?話を1つ。
この章を読み返すようなことがあったんですけど、誤字がありました。いやーギリギリだとはいえ、とうとうやらかしましたねー。これからはこういうことがないように気を付けるのでお許しを…。
時間が限られている中、クロノは1つの選択を選んだ。その選択というのは――
「時間がないので1つだけ、教えてください。僕は、僕達がここに来た理由は、貴方の日記を手に入れるためなんです。だから、貴方の日記の在り処――いえ、日記を譲ってもらえないでしょうか?」
そう、クロノが選び取った選択というのは他でもない、この場所へ来た当初の目的そのものだった。普通、自身の日記を欲しがる人間なんて不気味に思ったり、気味悪がられるのが関の山だ。しかし、ヒルデは特にそういった態度を取ることなく、納得したように頷く。
「そう、……やっぱりその選択をしてしまうのね。でも、クロノくんが私の思っていた通りの子で良かったわ。――それじゃあ、取りに行ってくるから、ここで待っていてくれるかしら?」
ヒルデはさもクロノが何を選択するのか分かっていたかのような反応をすると、朗らかな笑顔で彼に笑い掛ける。そして、自身の日記を取りに別室へと行ってしまった。さっきの首飾りに反応した後の反応といい、彼女には未来を見通せるような、そんな印象を受ける。だが、それは不可能だということが言える。確かに、似たような能力を持っている人物なら存在する。しかし、それはあくまで自分や自分の周囲の人間だったり、精々数年程度が限度である。200年も先の未来を視ることなど、到底出来得るものではない。
――出来ないはずなのだが、現にこうして似たようなことをしていることから、もしかしたら出来るのではないか、という考えを改めそうになってしまう。それに、クロノは今まで到底起こりえないような現象を目の当たりにしている。だからこそ、彼女の言動を根底から否定してしまうことが出来ないのだ。むしろ、ヒルデの言動を追求したいところだが、今優先するべきことは彼女の日記なので好奇心には引っ込んでいてもらうしかない。
クロノが考えている間に、ヒルデは日記を抱えて彼の元へと戻っていた。彼女の持っている日記の数は3冊と、意外にも少ない数であった。ヒルデはその日記をクロノへと差し出す。クロノはそれを躊躇することなく受け取ろうとする。しかし、クロノがちょうど受け取ろうとした時、ヒルデは彼を――いや、彼等に警告するようなことを口にし出した。
「クロノくん、疑わずに聞いて欲しいの……。これから貴方達には――特に貴方には辛いことが起こるわ。だけど、決して心を折らないで欲しいの。そして、出来れば貴方の使命に気付いて――」
アインの去り際と少し似たようなことを口にしたヒルデにクロノは面食らってしまう。しかし、クロノはそんなことを不安に思うことなく、ヒルデを安心させるために言葉を掛ける。
「ふふ、アインさんにも似たようなことを言われましたよ。確かに、昔はいろいろありましたけど、今は乗り越えることが出来ました。だから、何が起きても大丈夫です」
クロノの言葉を聞いたヒルデは初めて驚いた表情を彼に見せる。いや、彼の言葉というよりも、彼の祖先の言葉が自身の言葉と似ていたということに驚いたのだ。そのことを呟きながらも、改めてクロノへと警告を発する。
「そう、アインくんが……。あの子も辿り着くことが出来たのね……。……そんなことよりも――クロノくん。くれぐれも、私の言ったことを忘れないでいて。これからの貴方の人生に関わることだから――」
心配そうに自分のことを思てくれることを嬉しく思いながら、信用されていないことに少しムッとしそうになる。知り合って間もないのだから仕方のないことだが、信用されていないことに残念に思ってしまう。それ以上に、自分が頼りなく思われているのは悔しく思ってしまう。彼女はクロノの人生の背景を知らないから何とでも言えるが、彼にとっては頼りなく思われるのは父親と比べられているような気がして堪らなく嫌な気持ちになってしまうのだ。こんなこと、彼女に言ってもどうしようもないことだから口が裂けても言わないが……。
「……分かりました。覚えておきます。お気遣いありがとうございます」
クロノは極めて態度に出さないように努めたが、言葉の端から少しだけ機嫌が悪そうに言葉を返してしまう。そのことを感じ取っているのかどうかは分からないが、ヒルデは穏やかに返答する。
「……えぇ、いいのよ。貴方も、大切な子だもの。当然のことよ。それよりも、そろそろ行った方がいいと思うわ。あの子の魔力が少なくなってきている――恐らく、あと数分で魔力が切れてしまうはずよ」
「え……、そんなことが分かるんですか? 僕は全然分からないんですが……」
「かなり初歩的なことなんだけれど……、そう。この時代の子達は衰えてしまっているのかしら……。とりあえず、早く行ってあげて! あの子は貴方が来るのを待っているはずだから」
「分かりました! いろいろ聞きたいことはありましたが、今はエンテが心配だ。失礼させてもらって、行かせてもらいます!」
後ろ髪を引かれながらもクロノはエンテの待っている戦場へと戻ろうと駆け出そうとする。すると、それを止めるようにヒルデが声を掛ける。
「クロノくん!」
「……はい、何でしょうか?」
「あの子のことを、お願いします……」
ヒルデは静かに深々と腰を折ってクロノに頼み込む。それに対してクロノはにこやかに笑うと、ヒルデを安心させるための言葉を投げ返す。
「はい! 任せてください!」
そして、クロノは小屋の外へと戻っていった。ヒルデはその姿を見守りながら誰に聞かれることなく言葉を呟く。
「これで良かったのよね……、リィン――」
◆
クロノが小屋から出て戦場へと戻ってくると、驚くべき光景を目にしてしまう。その驚くべき光景というのは、マルコシアスの側にエンテが横たわるようにして倒れていたからだ。そんな信じられないものを見たクロノは取り乱しそうになる。すぐにでもエンテの側に駆け寄りたい気持ちを堪えて、彼女の意識があるのかを確かめようとする。
「そんな……、嘘だろ……。エンテっ! 返事をしてくれっ!!」
クロノの呼び掛けにエンテは答えることはない。そのことから、演技で横たわっている訳ではないのだということが分かる。そこへ、マルコシアスがクロノの呼び掛けに被せるように言葉を吐き出す。
「……遅かったな。非常に口惜しかったが、この決闘、我の勝ちだ」
残念そうに哀愁を漂わせた顔でマルコシアスはクロノへと告げる。しかし、クロノは彼の言葉を信じることなく、エンテがいる場所へと駆け寄ろうとする。しかし、マルコシアスはそんなクロノの行動を邪魔するように彼の前に立ち塞がる。
「……そこにエンテがいるんだ。彼女を返してもらう」
「ならぬ。この娘は賭けの代価だからな。今や決闘に勝った我の所有物よ。勝手に連行するのは関心せんな」
「……何を、言っているんだ。決闘の賭けの代価は僕の命だろう! 何でエンテになっているんだ!!」
「簡単なことよ。そこな娘が代価の対象を代えよと言ったのだ。それを我が承認した――それだけのことだ」
「何で、それを承認したんだ……。あの子の力はあなたも知っていただろう。力の弱いあの子があなたに勝てるはずがない! それなのに、そんな無茶な提案を受け入れるなんて、あなたはそれでも戦士なんですか!?」
吠えるクロノの言葉にマルコシアスは異を唱えるように彼に言葉を返す。
「フッ……。お主は少々この娘を過小評価しておるようだな。この娘は、我やお主をも匹敵するほどの力を有しておる。いや、それ以上に成り得る可能性を秘めておるのだ。そんな煌めく欠片を、我が見す見す逃してしまうはずなかろう?」
「……そんなはず、ないだろう。この子は、普通の子なんだ。そんな訳――」
マルコシアスに指摘された言葉にクロノは動揺してしまう。それは、彼女の中に眠っているかもしれない力の一端が彼に見破られてしまった可能性を捨てきれないからだ。それとも、さっき戦っている最中にその力が発揮されたのか――いずれにしても、マルコシアスの興味は完全にエンテに移ってしまっているようだ。
「……思い当たる節があるようだな。くくく、ますます興味が出てきたわ。このまま連れ帰って我好みに染め上げるのもまた一興かもしれぬな」
「っ! そんなこと、許すはずがないだろう!」
「許さぬ、か……。なれば、どうする? 今のお主には戦う理由は最早存在せぬ。」
「……戦う理由なら、ある――改めて、あなたに決闘を申し込む。賭けるのは変わらず、僕の命だ! あなたにはエンテを賭けてもらう!」
このままいけば、マルコシアスがエンテを連れて行ってしまうことになる。そんなことは絶対に阻止しなければ――クロノは彼の行動を阻止するために、改めて決闘を申し込む。
クロノの申し出に対して、マルコシアスは口を歪めた笑みを浮かべるとその申し出を承諾する。
「クックックッ……、良き答えだ! これでようやくお主と本気でやりあえるというものよ!」
マルコシアスは期待に胸を膨らませてクロノへと襲い掛かろうとする。そのことにクロノはまずは間合いを取るために彼から離れようと後ろへと飛び退き、魔術を発動させる。
「地を侮りし愚者よ、その足を取れ――粘土の王国」
地面へと手を突き発動させた魔術はクロノの前方に泥の泥濘を泥濘を作り出す。それを見ていたマルコシアスは引っ掛からないように横へと飛び退く。しかし、クロノはマルコシアスを逃すことなく、追撃を行う。
「地に潜みし者よ、その泥濘を拡げよ!」
マルコシアスが飛び退いた横へ、前へ、後ろへ、泥濘はマルコシアスを追随するように拡がっていく。そうして、マルコシアスの足場を徐々に奪っていく。
「ふむ……なかなか厄介な術のようだな。だが、この程度で――」
マルコシアスは反撃しようと後ろへ飛び退く。しかし、飛び退いた場所は自分が砕いて隆起してしまった大地そのものだった。そう、クロノはマルコシアスの足場を奪いつつ、この場所へと誘導していたのだ。もちろん、マルコシアスも馬鹿ではないので警戒しながら動いていた。しかし、クロノはそれを読みながら巧妙に誘導していった。一枚上をいかれたことにマルコシアスは笑みを浮かべる。
このことを好機と読んでクロノは魔術を発動させる。
「あなたの割った大地を利用させてもらう! 地の底より出でしは泥濘の王。悪しき者を呑み込め――粘土の王国!!」
マルコシアスがいる大地が見る見る内に裂けると、彼を飲み込むような口を形成する。そして、その割れた大地(大きく開いた口)はそのまま彼を飲み込もうとする。しかし、そんなはっきりと分かる術に引っ掛かる程マルコシアスは愚かではない。この窮地から脱するために上へと飛び退き難なくを得ようとする。
「逃がすと思っているのか。粘土の王国を舐めるな!」
クロノはそのことも織り込み済みのように発動させている魔術に魔力を込める。すると、泥で出来た蛇がマルコシアスへ巻き付こうと襲い掛かる。4、5匹と、マルコシアスは蛇の対応が出来ていたが、とうとう彼の足へと蛇が巻き付く。それに追随するように泥蛇は次々と纏わり付いて割れた大地へと引きずり込もうとする。そうならないようにマルコシアスは抵抗するが、絡み付いた蛇のせいで真面な動きをすることが出来ない。そうして、身動きの取れないままマルコシアスは割れた大地へと飲み込まれていった。
これで終わりかと思われたが、クロノは更に追撃を加える。
「泥濘の王よ、悪しき者を閉じ込め封じ給え――」
割れてしまった大地はクロノの言う通り、ゆっくりと元の大地へと戻るために閉じていく。ここまでがこの魔術の効果になる。そして、ようやくマルコシアスの動きを完全に封じたことに成功する。しかし、クロノはそれでも安堵することなく、マルコシアスへと更に追撃をする。
「続けて大地に住まいし者よ。王へと仇なす者に裁きを――粘土の王国!!」
クロノが更に唱えた術は軽く大地を揺らし、マルコシアスへと追い打ちを掛ける。やがて、揺れていた大地は静かに収まり元の通りになる。これで、強大な悪魔・マルコシアスに勝つこと出来た――はずなのだが、クロノは安心することなくマルコシアスを閉じ込めた大地から目を外さない。
「――……落日の、焔!!」
クロノが心配していた通り、マルコシアスは閉じ込めたはずの大地から這い出てきた。それも、拳に例の炎を纏わせている。相手を追い詰めているはずが、こちらが絶対の窮地に立たされることになってしまった。
しかし、クロノはそんなことはお構いなし、といったようにマルコシアスへと駆け出す。そこそこな大掛かりな魔術が通じなかったというのに、クロノは動揺することなく冷静に事に当たろうとする。駆け寄りながらクロノは右の拳を引き下げる。それを見たマルコシアスはクロノの次の一手を察して迎え撃とうとする。
「面白い! 術では敵わぬと思って肉弾戦という訳か! ならば、それを迎え撃つまでよ!!」
「…………」
期せずして、クロノとマルコシアスの一騎打ちになってしまった。しかし、ただの殴り合いになってしまえば、普通の人間のクロノに勝ち目はない。クロノに勝機はあるのだろうか――
そうしている間にもクロノはマルコシアスの間合いへと入り込む。そして、振り被っていた拳を――いや、短剣を握りしめた手をマルコシアスへと突き立てる。そのことにマルコシアスは驚く。
「何!? それは――」
「――これで、本当に終わりだ!!」
クロノの短剣とマルコシアスの拳がぶつかり合う。果たして、勝敗はどちらの手に――




